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幸福優位7つの法則(ショーン・エイカー)という本はとてもオススメ!

2020年04月20日 01時00分00秒 | 

 

 幸福優位7つの法則という本は、実は人は努力の結果幸せを得るのではなく、順序が逆さまで、幸せは「成功に先行する」のであり、幸福感や楽観主義は実際に業績を高め優れた成果をもたらし、幸福感そのものが競争力の源泉ということについて書かれています♪

これらはポジティブ心理学や脳科学の10年以上にわたる研究によっても裏付けされているようです♪

本書では具体的にはそれら以外にも特に以下の7つの法則について詳しく分かりやすく書かれていて、どれもより良い人生や仕事のためのヒントとなり素晴らしいと思います♪
ぜひ私も今後の習慣に取り入れたいと思います♪

法則1 ハピネス・アドバンテージ(幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす)
法則2 心のレバレッジ化(マインドセットを変えて仕事の成果を上げる)
法則3 テトリス効果(可能性を最大化するために脳を鍛える)
法則4 再起力(下降への勢いを利用して上昇に転じる)
法則5 ゾロ・サークル(小さなゴールに的を絞って少しずつ達成範囲を広げる)
法則6 20秒ルール(変化へのバリアを最小化して悪い習慣を良い習慣に変える)
法則7 ソーシャルへの投資(周囲からの支えを唯一最高の資産とする)

 幸福優位7つの法則という本は、より良い人生や仕事のためのヒントがたくさん書かれてあり、とてもオススメですね!

以下は本書のポイント等です♪

・膨大な量の調査を終了して分析を終えたとき、具体的で行動に移すことができ、効果が実証済みの、成功と達成に関わる7つのパターンを特定することができた。
法則1 ハピネス・アドバンテージ(幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす)

 ポジティブな脳は、平常時の脳やネガティブな脳に比べて、生物学的な優位性を持つ。この法則から脳を再訓練して積極性を高めることで、生産性や業績を改善する方法が学べる。

法則2 心のレバレッジ化(マインドセットを変えて仕事の成果を上げる)

 自分の置かれた状況をどのように経験するか、またその中で成功できるかどうかは、マインドセット、すなわち心の持ちようによって絶えず変化する。この法則から幸せと成功をもたらすテコの力が最大になるように心の持ちよう(テコの支点)を調整する方法が学べる。
 
法則3 テトリス効果(可能性を最大化するために脳を鍛える)

 ストレスや悪いことや失敗にばかり注目するパターンが脳の中に出来上がってしまうと、挫折への道に自らを追い込むことになる。この法則から脳を再訓練して肯定的なパターン(ポジティビティ)を探せば、どんな状況からもチャンスが見いだせるということが学べる。

法則4 再起力(下降への勢いを利用して上昇に転じる)

 挫折やストレスや困難のさなかでも、人の脳はそれに対処するための道を考え出す。失敗や苦難から立ち直るだけでなく、その経験があったからこそ、より幸せになり成功をつかむ道を見出せるということがこの法則から学べる。

法則5 ゾロ・サークル(小さなゴールに的を絞って少しずつ達成範囲を広げる)

 大きな試練に圧倒されると、理性が感情に乗っ取られてしまう。まず達成可能な小さなゴールに注目してコントロール感覚を取り戻し、それから徐々に範囲を広げて大きなゴールを達成する方法を、この法則から学ぶことができる。

法則6 20秒ルール(変化へのバリアを最小化して悪い習慣を良い習慣に変える)

 人間の意志の力には限界がある。いい方向に変化してもそれを持続させることは難しい。意志の力が尽きれば、もとの習慣あるいは「最も抵抗の少ない道」にずるずると戻ってしまう。この法則から、エネルギーの調整によって、別の道を「最も抵抗の少ない道」にし悪しき習慣を良い習慣に置き換える方法を学べる。

法則7 ソーシャルへの投資(周囲からの支えを唯一最高の資産とする)

 試練とストレスに見舞われると、身を丸めて自分の殻の中に閉じこもってしまいがちだ。しかし最も成功している人々ほど、友人、同僚、家族との人間関係を大事にして、それを推進力としている。この法則からは成功と卓越をもたらす大きな因子、人のネットワークにもっと投資する必要があることを学べる。

・今までは懸命に働けば成功する、成功して始めて幸せが訪れると教えられてきたのである。しかし今、新しいポジティブ心理学の飛躍的進展によって、真実はその正反対であるということが分かってきた。人は幸福感を覚えているとき、つまり心のあり方や気分がポジティブである時に、頭もよく働き、やる気も生じ、結果的にものごとがうまくいく。幸せが中心にあって、成功はその周りを回っているのである。

・幸せ研究の膨大なメタ分析ではおよそ200の心理学研究を統合したもので、対象となった被験者の数はおよそ27.5万人にのぼる。このメタ分析によって、仕事のみならず、結婚生活、健康、友人関係、地域社会とのつながり、創造性など、私たちの生活のほぼすべての面で、幸福感が成功を導くということが実証された。幸福度の高い社員は、生産性が高く、売上も多く、リーダーとしても優れ、高い業績を上げるので給料も高い。また職も安定し、病欠も離職も少なく、仕事のストレスに負けることもない。さらに、幸福度の高いCEOの下で働く社員は、幸福度も高く健康で、職場の雰囲気が好成績つながっていると感じている。「幸福な職場」の利点は数え切れないほどだ。

・幸福に関する長期研究のうち非常に有名なもので、ユニークな資料を使った研究がある。ノートルダム教育修道女会に属する180人のカトリック修道女たち(全員1919年以前の生まれ)の古い日記である。彼女たちは毎日、思ったことを自伝風に日記に書くように言われていた。50年後、ある優れた研究者のグループが、この日記に含まれるポジティブ感情をコード化することを思いついた。20歳のときの幸福度が修道女たちのその後の人生に関わりがあるかどうかを調べたのである。そして関わりは大いにあった。楽しそうな内容を書きつけていた修道女たちは、ネガティブなあるいは普通の内容を書いていた修道女よりも、10年近く長生きした。修道女達が85歳の時、幸福度が高い方の25%に入っていた人たちの90%がまだ存命だったのに対し、幸福度が低い方の25%に入っていた人たちは34%しか生き残っていなかった。二十歳の時に幸福度の高かった修道女は、自分が長生きすると知っていてハッピーだったわけではない。彼女たちの健康と長寿は幸福感がもたらしたものでありその逆ではない。

・幸福感が健康状態を改善しうるということだ。健康であれば、てきぱきと長時間にわたって働くことができるわけで、ひいては成功する可能性が高くなる。この発見によって、企業が社員の幸福度に注意を払う必要があることがいっそう明白になった。健康であれば、仕事においても生産性が上がる。幸福度の低い社員は病欠も多く、平均して1ヶ月当たり1.25日、1年に15日、ほかの社員よりも多く休むことが調査の結果から分かっている。ここでも幸福が健康の「原因」として機能していることが明らかだ。健康だから幸福なのではない。ある研究では、まず実験協力者の幸福度を測り、それから全員に風邪のウイルスを注射した。一週間後、調査のスタート時点で幸福度が高かった人たちは、低かった人たちに比べ、ウイルスに打ち勝つ率がはるかに高かった。単に気分が悪くないという本人の自己申告だけではない。実際に医師が診察したところ、くしゃみ、咳、のどの腫れ、鼻づまりなどの、風邪の客観的症状も現れていなかった。つまり、企業や経営者がハッピーで上機嫌な職場をつくる工夫をすれば、社員がより生産的で有能になるだけでなく、病欠も減り医療費も減少するということだ。

・最先端をいくソフトウェア会社の社員ラウンジに、テーブルサッカーゲームが置かれている理由は、この「幸福優位性」にほかならない。ヤフーが社内にマッサージパーラーを設けたのも、グーグルの技術者たちが愛犬と一緒に出勤することを許されているのもみな同じ理由である。単なる宣伝効果を狙ってのことではない。優れた企業が職場環境を好ましいものに整えるのは、社員が束の間の幸福感を味わう度に、ポジティブ感情が生じ、創造性と革新性が高まるからである。この幸福感のおかげで、普段なら見逃してしまうような解決策に気づくことがある。ヴァージングループ会長のリチャード・ブランソンは「職場が楽しいということが、何よりヴァージンの成功の秘訣です」と言った。楽しいことをするのは、「気持ちが浮き立つ」という効果だけに留まらない。それよりはるかに重要な結果に結びつくのである。

・4歳の子どもたちにいくつかの知的な作業をさせる。たとえば、さまざまな形をした積み木を組み合わせて別の形を作るというような作業である。子どもたちを2つのグループに分け、1つのグループには「積み木をできるだけ早く組み合わせてください」というような普通の指示を与える。もう1つのグループにも同じ指示を与えるのだが、指示のあとに「何かうれしかったことを考えましょう」と言う。もちろんたった4歳だから、幸福経験が豊富にあるわけではない。仕事で素晴らしい業績を上げたこととか、感動的な結婚式とか、初めてのキスとかを思い出したりはしない。多くの子どもたちが考えつくのは、ランチに好物のゼリーが出たという程度のことだ。しかし、たったそれだけのことが、違いを生じさせる。幸福感を持ったこどもたちの成果は、他グループの子どもたちの成果を大幅に上回った。与えられた作業を素早くやり遂げ、間違いも少なかったのである。脳にポジティブな思考を持たせることの利点は、子どもも大人も、学問の世界でもビジネスの世界でも、人生のすべてに関わってくる。たとえば、数学の共通テストの前に、これまでで最も楽しかった日のことを考えるように促された生徒たちは、それをしなかった生徒たちに比べてはるかによい成績を取った。またビジネスの交渉中に、ポジティブ感情をより多く表していたビジネスマンは、ニュートラルな感情やネガティブな感情を表していた人よりも、ずっと効率よく交渉を成立させることができた。

・利他的な行為をすると、ストレスが軽減され、精神の健康度が高まるということが、2000人以上を対象とした大掛かりな研究を含め、たくさんの実証的研究によって確認されている。著名な心理学者であり「幸福の方法」を著した、ソニア・リュボミルスキーによれば、1日に5つ何か親切な行為を行うように指示された人たちは、それをしなかった人たちに比べ、はるかに幸福度が上がり、しかもその感情がその後、何日も続いたという。これをやってみたい人は、1週間のうちの1日を選んで、5つの親切を実行するといい。

・天気のよい日に外へ出ることも、非常に効果が高い。ある研究によれば、いい天気の日に20分間外で過ごすと、ポジティブな気分が高まるだけでなく、思考の幅が広がり、作業記憶が改善されるという。

・ネガティブな内容のテレビ、特に暴力的な番組を見ないようにすると、幸福度が高まるという研究結果もある。心理学者によれば、テレビを見る時間が少ない人は、犯罪や悲劇や人の死が報道されることの多い夜10時のニュースを毎晩見ている人と比べ、我々の暮らしがどれくらい危険でどれくらい良いことが起きるかという判断を、より正確にできるという。センセーショナルで情報源の偏った報道に接することが少ないので、現実を明確に認識できるのである。

・運動をすると、快楽をもたらすエンドルフィンという化学物質が放出されるということを聞いたことがあると思う。だが運動の恩恵はそれだけではない。身体的活動は、モチベーションを上げ、自己統制感を増し、ストレスや不安を減らし、「フロー」の状態を生じさせる。(フローとは人が最も生産的になっているときの「完全に没頭した状態」のこと)そのために気分がよくなり、仕事の能率が上がるのである。

・運動の効用がどれほど高いかを実証した実験がある。うつ病の患者を3つのグループに分け、第一グループには抗うつ剤を処方し、第二グループには1週間に3回、45分ずつ運動をしてもらい、第三グループにはその両方を行った。4ヶ月後、3つのグループはそれぞれ幸福度の改善が同程度に見られた。運動が抗うつ剤と同じだけの効果があるということで、それだけでも驚きだが、さらに驚嘆すべきことがある。実験を終了して6ヶ月後、それぞれのグループについてうつの再発を調べた。抗うつ薬を飲んだだけのグループは38%が再びうつ状態に戻っていた。抗うつ薬と運動を組み合わせたグループは、それより多少いいというくらいで、31%の再発率であった。素晴らしい結果を出したのは、運動だけをしたグループである。彼らの再発率はわずか9%だった。つまり、身体的な活動は気分を向上させる効用があるだけでなく、その効果が持続する。ウォーキング、サイクリング、ジョギングのほか、ただストレッチ、縄跳び、ホッピングをするだけでもいいし、身体を使うゲームなどをしてもいい。ともかく身体を動かすことがいいのである。

・ロバート・フランクは著書「ラグジュアリー・フィーバー(贅沢率)」の中で、モノを買ったときに得られるポジティブ感情は、腹立たしいほど短時間で消失するのに対し、経験、特に他の人と共有する経験にお金を使った場合は、価値のあるポジティブ感情が長続きすると書いている。研究では150人に、最近の消費についてインタビューした。コンサート、知人とのレストランでの食事など、経験にお金を使った場合は、靴、テレビ、高級時計などのモノを買った場合に比べ、はるかに大きな喜びをもたらしていた。また他人のためにお金を使うことも、その人の幸福度を高める。

・優れたリーダーは「幸福優位性」を、チームのモチベーションを上げて、部下の可能性を最大に引き出すためのツールとして使う。組織レベルでそれを行っている例もよく見かける。グーグルは廊下にスクーター、休憩室にビデオゲームを備え、カフェテリアに腕自慢のシェフを置いていることで有名だ。アウトドア用品パタゴニアの創業者は「社員をサーフィンに行かせよう」という社訓を作った。社員は気が向いたときに、オフィスの戸棚からサーフボードを出してビーチへ行くことができる。こういう方針が会社にとって安定した大きな収益につながっていることは明らかである。

・また、もう少し一般的な、スポーツジムのメンバーシップ、医療費補助、社内保育施設なども効果がある。たとえば飲料のクアーズ社は、企業が従業員向けに提供するフィットネス・プログラムは、投資額1ドルに対して6ドル15セントのリターンがあると報告している。トヨタは、北米パーツセンターで、従業員の「固有の強み」に基づく研修を取り入れたところ、生産性が急上昇したという。

・単に部下の長所を頻繁に評価して励ますだけでもいい。それによって部下の生産性を上げられることが実証されている。しかもその効果はわずかなものではない。ある研究によれば、部下を肯定的に励ますマネジャーのチームは、なかなか部下を褒めないマネジャーのチームと比べ、業績が31%も上回った。また、その評価が具体的に意識的に伝えられた場合の動機付け効果は、金銭による動機付け効果を上回ったという。

・私が気に入っているのは、ビジネスコンサルタントのアレクサンダー・シェルルフが紹介しているデンマークの自動車会社の話だ。「象の勲章」という制度で、この象というのは60cmほどの大きさのぬいるぐみである。社員は誰でもこの象を模範となるような優れたことをした人に褒美としてあげることができる。これは褒められるべき人が褒められるというだけの意味にとどまらず、その効果は周囲に波及していく。シェルルフによれば通りかかった他の社員が象を見ると「や、象をもらったんだね。何をしたんだい」と聞く。それによって、模範となるような行為や成功事例が、社内に次々に広まっていくのだという。

・大手ビジネスホテルチェーンのCEO、チップ・コンリーは、役員会議の最後に時間を取り、一人のエグゼティブが一分間、社内の誰かのことを褒める時間をもうけている。褒める相手は同僚でもいいし、ずっと下のレベルの社員でもいい。マネジャーでも客室メイドでも誰でも構わない。そのエグゼクティブが一分間、なぜその従業員が褒められるべきなのかを話した後、別のエグゼクティブがその従業員に電話をしたり、メールを送ったり、あるいは訪ねて行ったりして、素晴らしい仕事ぶりに感謝するのだそうだ。これは単なる会社の優しさの表現にとどまらない。このことによる恩恵ははかりしれない。褒められた従業員はもちろん最高の気分になるし、その人を推薦したエグゼクティブも、褒め言葉を届けたエグゼクティブも非常に気分がいい。周りの社員もみな気分の高揚を覚える。褒められた社員のいい仕事ぶりは周囲に伝わる。それを聞いた社員は2,3日はそのことを考える。そして自分なら誰を推薦しようかと考えるだろう。

・仕事に対するマインドセットは、業績に影響するだけでなく、その人の「能力そのもの」を変える。つまり、自分の能力を信じれば信じるほど、成功するということだ。もっともらしい精神主義みたいに聞こえるかもしれないが、ここ20年ほどの間に数多くのまじめな科学的研究がそれを裏付け始めた。

・自分の人生はよい方向に行くと信じるだけで、モチベーションも仕事の成果も上がるということも実証されている。つまり、成功というのは「自己達成的な予言」だというのである。112人の新人会計士を対象に行った研究では、自分で決めた目標が達成できると信じていた人は、10ヶ月後に上司から最も高い評価を得た。自己能力に対する信念の度合いが、実際に測定された能力レベルや、これまでどんな研修を受けてきたかよりも正確に、仕事の成果を予測したというのは驚くべきことだ。

・自分が持っている能力を信じること以上に重要なのは、その能力を今よりさらに向上させられると信じることである。「固定したマインドセット」の人々は、成長の機会を逃し、常に劣った成果しか出せないのに対し、「成長のマインドセット」の人は常に能力が向上していくということが実証された。

・デュイックは同僚との共同研究で、中学1年生373人を対象に「固定」と「成長」のどちらのマインドセットを持っているかを調べるテストを行った。それから子どもたちの学業成績をその後2年間にわたって追跡した。子どもたちのマインドセットは、次の学年に上がる頃には、数学の成績に大きな影響を及ぼしていた。「固定」の子どもたちの平均点がほとんど変化しなかったのに対し、「成長」の子どもたちは、平均点が上昇の軌道を描いた。この変化が起きたのは、自分は成長できると信じていた子どもたちだけだった。

・長時間テトリスをする若者たちは、どこを見てもテトリスの形が見える認識パターンができてしまうために、正しくものが見えなくなる。みなさんも、一種の「テトリス効果」にとらわれている人を一人くらいは知っていると思う。思考や行動が一つのパターンにはまって、そこから逃れられない人である。しかも、たいていの場合は、ネガティブなパターンだ。たとえば部屋に入ってくるなり、いつも何かしら気に入らないことを見つける人。部下の未熟な点ばかりに注目し、前よりよくなっている点は絶対に見ない上司。状況のいかんに関わらず、ミーティングでいつも悪い結果を予言する同僚。もしかしたらみなさん自身がそういうタイプかもしれない。フォーチュン500企業数社でコンサルティングをしている間に、私は非常に大事なことを学んだ。こういうネガティブな人たちは、自分から進んで気むずかしくしたり、不平不満を言おうと思っているわけではない。彼らの脳は、環境をスキャンしてネガティブな要素を見つけることに熟練してしまったのである。彼らはどこを見ても、気に障ることやストレスや困った問題にたちまち気づく。彼らの脳はテトリス中毒者同様に、長年の訓練によってそういう能力が鍛えられているので無理もないのである。

・しかし幸いなことに、私たちは脳を訓練して、ポジティブな面を探すようにすることもできる。「幸福優位性」を最大に活用するエキスパートになって、どのような状況にも必ず潜んでいる可能性を見出せるようになれる。

・テレビゲームをマスターするには、何日も集中して練習する必要があるのと同じように、もっとチャンスに気づくように脳を鍛えるには、ポジティブなことに注目する反復練習が必要である。それを始める一番の方法は、仕事や生活の中に起きたいいことを毎日リストアップすることである。わざとらしいとか、単純すぎてバカバカしいと思うかもしれない。実際に、やること自体は単純だが、10年以上にわたる実験的研究によってそれが人の脳の配線に及ぼす重大な効果が証明されている。たとえば「今日起こった3つの良いこと」を書きだそうとすると、脳は一日のできごとを振り返り、ポジティブと思えることを探し始める。ちょっとおかしかったこと、大笑いしたこと、仕事で達成感を得られたこと、家族との絆が強まったこと、未来への希望がきざしたことなどを思い返す。一日にたった5分間これをすることで、脳が自分の個人的及び職業的な成長の可能性に気づき、それに働きかける機会を見つけることができるようになる。また人は、一度に注目できる範囲に限界があるので、ポジティブなことを考えると、それまで頭を占めていた他の小さな心配やイライラは背後に追いやられるか、意識の外に押し出されてしまう。この練習の効力は持続する。ある研究によると、一週間毎日「3つのよいこと」を書き出した人たちは、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の追跡調査でも、それをしなかった人たちよりも、幸福度が高く、落ち込む回数が少なかった。驚いたのは、エクササイズを止めた後も、幸福度、楽観姓ともに高い状態が続くということだ。身の回りのよいことをスキャンするのが上手になるにつれ、特に努力しなくても、どこを見てもよいことが見出せるようになるのである。

・私はビジネスリーダーたちに「3つのよいこと」を書き出すエクササイズを就寝前や朝食時に奥さんと一緒にやることを勧める。周囲のできごとからポジティブなことを拾い上げるのが上手になってくると、結婚相手に対しても感謝するべきことがたくさん見えてくるのがうれしいおまけである。このエクササイズの効用は、年齢にも職業にも関係がない。大学生にも幼稚園児にも、また中間管理職、中小企業のオーナー、大起業家、ウォールストリートの証券アナリストなどどんな人にも同じように効果がある。大事なのは練習と継続である。
・直感には反するかもしれないが、失敗はできるだけ早く、たびたびする方がいいと言う。タル・ベンシャハーも著書「最善主義が道を拓く」で「失敗に対処する方法は、実際に失敗を経験し、それを切り抜けることによってしか学べない。困難や不運に直面するのが早いほど、生きる上で避けがたい困難に対処する準備ができる」と書いている。いくつかの研究がこのことを裏付けている。その一つが90人の協力者にソフトウェアのトレーニングを受けてもらうという実験である。一つのグループにはミスが起きないようによく指導し、他のグループはミスを犯すように誘導した。その結果はどうだったか。ミスするように促されたグループは、より高い自己効力感を示したばかりか、自分で失敗を切り抜ける方法を発見していったために、他グループよりずっと早くそのソフトウェアを正確に使えるようになった。

・優れたリーダーとは、ビジネスの絶頂期にではなく、困難な時期に真価を発揮する人のことである。金融危機などが起きると、多くのリーダーは、本能的に身を縮めて事態が持ち直すまで待とうとするだろう。しかしウォールストリート・ジャーナル紙は、それはまったく間違ったやり方で、マネジャーは平常の2倍の努力をすべきだと強調している。「危機の時こそ創造性が引き出される」からである。目の前の障害物を見て身動きできなくなってしまうリーダーは、この大きなチャンスを逃すことになる。無力感はマネジャー自身の能力を低下させるだけでなく、社員を不安にし、会社の利益も損なう。一方で危機によって気力とモチベーションが高まるようなリーダーは、さまざまな面で素晴らしい成果を手にすることになる。

・「説明スタイル(起きたできごとの本質をどのように説明するか)」が、幸福度や将来の成功に決定的な影響を与えるということが実証された。「楽観的な説明スタイル」を持つ人たちは、逆境を「限定的で一時的なもの」と解釈する。一方「悲観的な説明スタイル」を持つ人は、同じできごとを、より「大々的で永続的」だと考える。こういう信念はそのまま行動に表れる。後者のタイプの人は無力感に落ち込み、努力を止めてしまうが、前者のタイプの人は、よい結果を出そうといっそう努力する。

・成功への道のほぼすべてを、説明スタイルが決定するということが実証されている。「説明スタイル」を調べれば高校生がどんな成績を取るかも予測できるし、陸軍士官学校の新入生がうまくやっていけるかどうかも分かる。「楽観的な説明スタイル」を持つ士官学校の一年生は、入学時のテストの成績から予測されるよりもいい結果を出し、他の生徒に比べて脱落する率も低い。スポーツの世界でも、大学の水泳選手からプロ野球選手まで、どんな選手も「説明スタイル」によって成績が変わってくることが実証された。心臓バイパス手術後の回復状況にまで「説明スタイル」が影響する。

・生命保険会社から、セールスパーソンの高い離職率という問題の解決を頼まれた時、彼はまずセールスパーソンたちの「説明スタイル」に注目した。調査をした結果、楽観的な説明スタイルのセールスパーソンは、悲観的な人に比べ、37%も多く保険を売っており、最も楽観的な人たちと最も悲観的な人たちを比べると、なんと88%も売上に差があった。また楽観的な人が仕事を辞める割合は、悲観的な人の約半分だった。これこそがメットライフ社が探していた答えだった。会社は「説明スタイル」だけのテストを行い、特別セールスチームを結成した。その効果は歴然だった。さっそく次の年に、この楽観チームは他のセールスチームを業績において21%上回り、さらに翌年には57%上回ったという。これが図星だったと理解したメットライフは、急遽採用の基準を完全に変更することにした。業界の一般的なテストで不合格でも「説明スタイル」の評価テストで良い成績であれば、その候補者を採用した。逆に、一般的なテストでどれほど優秀でも、「説明スタイル」の成績が悪ければ採用しなかった。その結果、わずか2、3年でメットライフ社の離職率は急低下し、市場シェアは50%近く上昇した。

・小さな成功が積み重なれば大きな成果につながる。

・「20秒ルール」が役に立つのは、何かの行動に要する時間を増やしてその行動を抑制するという面だけではない。選択肢を制限することによって、良い変化を起こす上での障壁を低くすることにも役立つ。人は選択肢を多く与えられる程、身体的スタミナ、計算能力、失敗してもやり続ける根気、全体的な集中力などが急激に低下するのだという。

・仕事上の試練とストレスを切り抜けて成功するために不可欠なことは、周囲の人々とのつながりを失わないことである。しかし職場で警報が鳴り響くと、現実が見えなくなって単独でそれに立ち向かおうとしてしまう。
・心理学者のエド・ディーナーとロバート・ビスワスディーナーは、「幸福」に関するここ20年ほどの、異文化も含む膨大な量の研究を調べた。そして、共著書の中で「人が生き生きと暮らすためには、食物や空気と同様に、他者とのつながりが欠かせない」と結論づけている。信頼できる人間関係、つまり夫や妻、家族、友だち、同僚などに囲まれていると、人は感情的、知的、身体的リソースを何倍にもすることが出来るからだ。良い人間関係を持っている人は、挫折からも早く立ち直り、多くを成し遂げ、人生の意義をより多く感じることができる。また幸福感が増すので、その結果「幸福優位性」が得られ、両方の効果は即座に表れて長く続く。まず人との関わりを持つと、その瞬間にポジティブな気分が一気に高まる。その後、時間と共に人間関係が強まるにつれ「幸せのベースライン」が持続的に上昇していく。

・周囲からの支えをより多く持っている人ほど幸せだということだ。

・シカゴ大学の心理学者、ジョン・カシオポは、30年以上にわたる研究の結果、著書「孤独の科学」の中で「社会的つながりの欠乏は、ある種の病気と同じ程度に人の健康を破壊する」と断言している。精神的に有害であるのは言うまでもない。2万4千人の労働者を対象にした全国調査によれば、社会的つながりがほとんどない男女は、重症のうつにかかる割合が、しっかりした社会的絆を持っている人に比べ、2倍から3倍も高いというがそれもうなずける。一方、周囲の支えが十分な人の場合は、挫折から立ち直る能力も非常に高く、寿命も長い。ある研究によれば、心臓発作を起こした後の6ヶ月間に、感情面で支えが得られた人は、そうでない人に比べ生存率が3倍高かったという。また別の実験では、乳ガンの支援グループに参加した患者は、参加しなかった人に比べ、手術後の寿命が2倍長かったという。周囲からの支えが寿命に与える影響は、喫煙、高血圧、肥満、定期的な運動などが寿命に与える影響に匹敵する大きさだということも証明されている。人生の荒波を漂流するような状況では、いかだにしがみつくだけでなく、いかだ仲間との絆を手放さない人が、沈まずにすむということのようだ。

・グーグル社は、人と人のつながりの重要性を本当に理解していることで、最も有名な会社だろう。これはお世辞ではない。しかもグーグルはその理解を実行に移している。会社のカフェテリアは既定の就業時間を過ぎてもずっと開いている。社員同士ができるだけ一緒に食事できるように配慮しているのである。またグーグルの社員は、社内に設けられた託児所を利用でき、勤務時間中もヒマをみて子どもの顔を見に行くことを奨励している。

・UPS社もまた、人間関係への投資を行って成功している。全米の都市や地方の町で、UPSのトラックが3、4台一緒に停まっているのをよく見かけるだろう。あれは、ドライバーが集まって一緒に昼食を取っているのである。その機会に面白い話題や情報を交換したり、積み間違えた品物を入れ替えたりする。これをするには、ドライバーが決まったルートから外れなければならないので、一人でランチを食べるよりも時間が取られる。効率にうるさいUPSの経営陣がこういうことを奨励するのは、多くの人にとって驚きである。しかし彼らは、長期的に見てこの人的交流がドライバーたちにとってだけでなく、組織全体にとって有利に働くということを知っているのである。

・サウスウェスト航空、ドミノ・ピザ、ザ・リミテッドなどの企業は、人間関係への投資、つまり健康を害したり経済面の窮地に陥ったりした同僚のために社員が寄付することのできるプログラムを設けている。その結果、それに関わった社員たちは互いに強い絆を覚え、会社への愛着も深まった。社員たちのこういう気持ちはやがて、欠勤率や離職率を下げ、モチベーションや情熱を向上させるなど、実質的な利益となって会社に戻ってくる。

・カリフォルニア大学のトップ心理学者、シェリー・ゲーブルによれば、他者のよいニュースに対する反応の仕方は4種類あり、そのうちの一つだけが人間関係にプラスに働くという。それは、肯定的で発展的な反応である。情熱的な支持を表すと同時に、具体的なコメントをし、さらに関連した質問をする。「ワァ、それは素晴らしい!君がずっと頑張ってきたのを上司が認めたのが嬉しいよ。それで昇進は正式にいつから?」という具合である。ゲーブルの研究は、会議などにおいても、肯定的で発展的な反応が、絆と満足感を強めること、また自分が理解され、認められ、心にかけられていると感じる度合いを高めることを確認した。

・信頼関係を築いて、影響を及ぼすための一つの方法は「アイコンタクト」である。お互いの目をしっかりと見合ったとき、二人の間の信頼関係は強化されるという研究結果がある。「必ず相手の目を見て話せ」という昔からの商売の知恵は、科学的にも正しいアドバイスだったことになる。だからカップルはしょっちゅう「話しているときはこちらを見て」と言うし、相手の目を見ているときにオルガズムも強まるのである。アイコンタクトは、ミラーニューロンを発火させ、そうすると会議室でもベッドルームでも、よりよい成果が上げられるということになる。

・ポジティブ感情の感染力は、リーダーの立場にあれば何倍にもなる。研究によれば、リーダーがポジティブなムードであれば、部下もポジティブになりやすい。そうすると協調的に助け合うようになるので、より少ない努力で効果的に仕事を成し遂げることができる。不機嫌な顔つきの上司、あるいは不安な表情の上司の近くに長時間いれば、部下はもともとどういう気分だったかに関わらず、悲観的になりストレスを感じるようになる。

・あるエグゼクティブは、毎晩眠りにつく前に「感謝のリスト」を書いている。それによって朝のチームミーティングの時には、ポジティブになる機会をたくさん見つけられるようなマインドセットになっている。心がそういう状態だと、部下の仕事を褒めずにいられない。
(a)褒められた部下の脳にはポジティブ感情が生じ、クリエイティブに効果的にものを考えられるようになる
(b)部下はまた、小さいことでも何かをやり遂げたという感覚を持ち、さらにもっと難しい仕事に挑戦しようという自信が生まれる
(c)部下との間の上質のつながりが、これをきっかけにでき始める。
こうしてグループ全体の結束と組織に対する責任感がしっかりと根付く。こうして、ポジティブ感情の恩恵を受けた部下は、さらにそれぞれの部下にポジティブ感情を伝え、それが広まって組織全体がその恩恵を受ける。経営陣の一人が自分の家で始めたエクササイズが、組織の全てのレベルにその影響を及ぼすことになるのである。


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