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「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法(小松公夫)

2009年09月25日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は、成績不振に悩む多くの受験生と固い信頼関係を結び、有名中学や医学部、司法試験等に合格させた実績を持つ著者が、およそ30年に亘る指導経験、数多の元受験生への取材、自身の子育てから得た結論を説く本です。

 第1章では、伸びていく子供の「原動力」とは一体何か、プラスの方向に人が成長する法則の秘密を7つのケーススタディをもとに追求しています。

 第2章では、なぜ優秀な人が突然できなくなる「逆行現象」が起きるのか、をテーマに6つのケーススタディを紹介しています。

 第3章では、筆者の子育て体験、失敗例などを述べ、第4章では、過去に中学受験生を教えた経験から過熱する中学受験を勝ち抜く強靭な子供を育てるために、親は子供とどう向き合うべきか、また、何ができるかを、アドバイスしています。

 そして第5章ではいわゆるエリートと呼ばれる職業を目指す学生たちの実態・日々の努力をリポートし、第6章では学問を「学ぶ」こと以上に、人間にとって大切な「何か」があることを記しています。

 とても分かりやすく子育てのヒントが書いてあり、ためになります。特に、子供が質問するのを答えるだけでなく、こちらから質問して考えさせることが大切だということがよく分かりました。また目標や自主性を持たせないといけないということも改めて認識しました。

 とても、とてもオススメです!!


 以下はこの本のポイントなどです。

・私は皆さんに一覧表を作ることをお勧めします。この子の創造性はどうか、記憶力はどうか、分析力はどうか、といった一覧表を作り、子供の特性を親なりに把握するのです。子供にその一覧表を見せて、どうこう話をするのではありません。特性を理解した上で、良いところを褒め伸ばしていく。その言葉が子供の自信となり、子供はさらに向上していくのです。

・自分の場合、明確な目的があったから勉強が続けられたのです。大抵の人間は、目的が定まり、自分が何をしたらいいかがわかれば、学力はある程度伸びてくると思います。でも、目的が見つからず、宙ぶらりんであれば努力も続かないし、そこで終わってしまうのではないでしょうか。

・このとき、彼が行ったのが、本番よりもずっと難しい問題を収めた予想問題集に集中的に取り組むことでした。難しいといわれる問題集で鍛錬しておけば、本番のときに気が楽になると考えたからです。実際、初めのうちは3~4割程度しか解答できませんでしたが、それでも繰り返し肢を覚えることで、5~6割正解できるようになり、基本書を読んでも内容が簡単に理解できるようになったのです。実際、本番直前に過去問を試してみると問題がとても易しく感じられ、それが大きな自信につながりました。

・実際の勉強時間は1日6~7時間程度だったそうです。しかも、人間の頭が本当に有効に働いている時間は午前中の2時間程度しかないことに気づいてからは、この貴重な2時間を最もエネルギーが必要な不得意分野の克服に充てたと言います。こうすることで、苦手な分野でも比較的スムーズに勉強を進めることが可能となるのです。そして、残りの2時間でそこそこ大切なところを、さらに残りの時間で軽く流してでも対応できそうな問題に取り組みました。問題の質によって勉強時間を3等分すれば、より勉強の効率が上がるというわけです。

・親に勉強を強制されてできるようになった子は、ただの一人もいないのです。実はこの結果がすべてを物語っていると思います。つまり、「できる子」の親は教えないで伸ばす傾向にあるのです。一方、子供に勉強を強いる親は、勉強さえできれば社会で生きていける、という固定観念に縛られています。

・うまくできなかったものは、嘘をついてまで褒める必要はありません。自信が付くのは、子供自身が「うまくできた」と思えたときです。親は子供の気持ちを察して、それを追認する形で褒めるのです。単純に、「褒めると自身が付く」という解釈は誤りです。褒めすぎは逆に親子の信頼関係を傷つけかねません。子供は叱って育てるか、褒めて育てるか、という二者択一ではなく、叱るときは本気で向き合う。子供が何か達成できた、と感じている瞬間を見究め、一緒に喜び、評価する。できる子の親は子供の心に常に寄り添いながら、自然に、この二者を併用しているのです。

・できる子の親は、積極的に手助けするというわけではなく、子供の苦手な漢字の書き取りや鉄棒の練習に、根気良く付き合います。早くできるようになるコツや攻略法を追い求めず、手間暇をかけてでも子供に弱点を克服させ、自信を付けさせていきます。そういう粘り強い姿勢を持っています。

・子供をダメにする親の典型は、一言でいうと、「子供の前にあるものを取り除く親、はしごをかける親」だといいます。そのような親は、我が子を傷つけたくないがために、子供が行動を起こす前に先回りして、障害になるものをどかしたり、はしごをかけて橋渡しをしてしまうのです。

・是非これは実行していただきたいのですが、自分の親に、あなたが子供のときの話を時間をとってじっくりと訊いてみてください。赤ん坊のときから始まって、幼稚園、小学校、中学校、高校と、あなたがどういう子供だったか、どんなエピソードがあったか、話をしてもらいましょう。ポイントとしては、①約束を守れるか、②忘れ物をしないか、③後片付けがよくできるか、④人の話をよく聞ける子供か、⑤お手伝いができるか、⑥自ら進んで学校の準備ができるか、⑦友人とどのように関わっているか、などです。それに加えて、通信簿に記された先生のコメントなどもチェックしてみましょう。驚かれるかもしれませんが、大体の部分において、ご自身が自分の子供と似ていることに気が付くはずです。そして、ここからが大切です。そのとき親は子供だった自分に対して教育面でどのように取り組んだかを尋ね、それと比べ自分は今どのように行動しているかを分析するのです。もし親の口から「お前の育て方を間違った」といったニュアンスの言葉が聞かれたら、その間違った点が何かをよく追求してみることです。そして、あなた自身はその過ちを是正して、自分の子供と向き合ってみることです。

・一般に「なぜ?どうして?」と親を質問攻めにするのは子供の専売特許のように言われていますが、私は親こそが子供に対して「なぜ?何?」君になるべきと考えています。

・子供と一緒に机に座って教科書を熟読したり、練習問題を解いたりするだけが勉強ではないことは、ここまでの話でおわかりいただけたと思います。日常起きる、ごく普通の出来事や会話の中には、多くの学ぶべき素材がころがっています。実は特別な道具もいらなければ、お金もかからないのです。ただ、ひとつ必要なことといったら、それは、子供を導く親の側が学ぶことではないかと、私は考えています。親自らが教養を磨き見識を広げ、子供の価値観や世界観を広げるために何をすべきか、考えてみる必要はあると思うのです。日常の子供との会話にも、できればそのような話題を意識的に取り入れたいものです。

・最近わかってきたのですが、子供が言うことを聞かないとき、腹を立ててガミガミと怒っても効果はありません。「何やってるの!」「コラーッ!」と威圧感を与えたところで、なぜいけなかったのか子供は不思議と理解しておらず、効果が無いどころか、逆に親子の信頼関係にダメージを与えるように感じます。では、どうしたら効果が得られるのでしょうか。たとえば別の日、別の場所で親子ともに落ち着いている状況で時間をとって話すのです。大切なことを確実に伝えたいならば、お互いが平穏な気持ちのときに限る、と私は実感しています。そんな状況で話をすると両者の関係が民主的になります。一度や二度では難しくとも、頭の回転のいい子もそうでない子も、親の心意をとてもよく理解します。

・今日あった出来事から、何を思うか子供に考えさせて、自分なりの答えを見つけさせることが大切なのです。答えがうまく出てこなくても、怒ったり、親の考えを押し付けたりしてはいけません。子供が自然に自分の頭を使うことが大切なのです。

・彼女が興味を示している男性から「僕がそばで見守っているから、勉強しよう」と言ってもらうしかないのです。何百人と受験生を見てきた私の経験から、女の子に「頑張りなさい」と言って素直にその言葉を聞くのは、相手に好意を持っている場合に限られることが多いです。女性を救う一番の手段は愛情である場合があるのです。ですから逆に、女子受験生は失恋をしてはいけません。

・「学力がある」「能力が高い」ということ以上に重要な事柄として、ここまで「正直である」こと、「社会性を育む」こと、という2つの要素をお話ししてきましたが、3つ目に重要な要素は、自分の興味あること、目標に向かい熱中できるかということです。

・私は知人から「あなたが虚しく生きた今日は、昨日亡くなった人があれほど生きたいと願った明日」という名言を教えられました。まわりくどい表現なので、私にはその意味がただちにはわかりませんでした。しかし、ほどなく一切を理解しました。そのとき、背中がゾクゾクッとしたのを覚えています。そして、なぜか私は恥ずかしくてあたりを見回してしまいました。「無為に時を過ごせば、限りある人生はさらに短いものになる」。その日から、私は努めてそう考えるようにしています。


<目次>
はしがき
第1章 できる子はここが違う!
 1.実例① 子供の人生を肯定する親は子供を伸ばす
 2.実例② 同じ目標を持つ強力集団でやる気が倍増
 3.実例③ 長所を伝えることで子供は伸びる
 4.実例④ 9年間の浪人生活で耐えられた理由
 5.実例⑤ 「背水の陣」で道が拓けた
 6.実例⑥ 1年間勉強を休んだら司法試験に合格!?
 7.実例⑦ 身近な成功例をポジティブに捉え、法科大学院に合格
 8.「できる子」の親は教えないで伸ばす
第2章 できなくなるには理由がある
 1.実例① 難関国立中に入ったものの成績が急降下
 2.実例② 子供を放任してきた親が受験期に突如参戦
 3.実例③ AM6時開始の早朝補講に脱落していった者
 4.実例④ 中・高での話題はテレビと部活動だけ
 5.実例⑤ プレッシャーをかけすぎたエリート両親
 6.実例⑥ 才女が主婦になりたい驚きの理由とは?
 7.「できない子」の親には特性がある
 8.これを身に付ければ「できる子」になる!
第3章 著者の子育て奮闘記
 1.自分の子供ということを、まず自覚すべし!
 2.自分をさらけ出して本音で向き合えば、子供は必ずわかってくれる
 3.子供の興味の対象を理解できているか
 4.価値観、世界観を広げる話題を選ぶ
 5.子供との会話に必要なスキル
 6.子供の宿題は親子交流の場
第4章 中学受験生を教えた経験から
  -中学受験を戦うために親がやるべきこと-
 1.出題周期表を作り、戦略を立てる
 2.志望校の先生の問題意識・好みを発見する
 3.森を見て、木を見るな
 4.どんな中学にも何かしら特色がある
 5.中学受験は親も育てる
 6.国語の入試問題に潜む9つのパターン
 7.中学受験に必要な2大能力
 8.塾や家庭教師を全面的に信用するな
 9.食べすぎは学習を妨げる
10.子供によって頭の体力が違う
第5章 多くのエリート志望者と接して
 1.エリートを目指す者たちの知られざる努力
 2.医学部受験生の場合
 3.法科大学院生の場合
第6章 社会の人間として「できる力」を身に付ける
 1.正直であること
 2.優等生の涙のワケ
 3.社会性をいかにして育むか-香具師から学んだこと-
 4.銭湯の効用
 5.ラーメン屋の少年に教えられたこと
「あとがき」にかえて

面白かった本まとめ(2009年上半期)


<今日の独り言>
5歳の息子には毎月最低1冊は好きな本を買わせているのですが、今回はすごろくの本が欲しいとのことなので、「わくわくすごろくワールド」という本を買いました。最近はその特大付録の「ヒーローおたからバトル」にハマっています^_^;) もう1冊は、息子は鉄道オタクなので、やはり駅の本で「電車の駅なんでも百科」でした^_^;)
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コメント (1)
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