なすがままに

あくせく生きるのはもう沢山、何があってもゆっくり時の流れに身をまかせ、なすがままに生きよう。

猫の話 その1

2005-05-01 21:06:38 | 昭和
僕が物心ついた頃から猫がいた。猫は常に家族と共にいた。昭和30年代には猫をペット感覚で飼っている家庭はまれだった。当時下水道なども未整備な住宅地ではネズミがどこの家庭にも出没していた、そのネズミ対策のため猫を飼う家庭が多かった。僕の家で飼っていたミケ猫はメスで名前を「ミー」と言った。僕の母親は大の猫好きで猫の躾に関しては近所でも評判だった。猫は生まれて直ぐにトイレのしつけをさせなければならない、そして、爪とぎも所定の柱でさせなければならない、母にかかれば子猫は2日もすればトイレと爪とぎは教えられた場所でするようになる。近所の人から「猫の調教師」といわれていた。猫は年に一回子供を生む、僕の家のミーも毎年一回に3、4匹の子猫を生んでいた。いつも元気な子供を生んでいた。ミーの子供は妊娠している時から貰い手が決まっていた、子猫の乳離れが済むと同時に躾をして予約している人に引き渡すのだ。ミーの利口な性質と母の躾のおかげで生まれた子猫を捨てたりしたことなど一度もない。母は今だったら猫のトップブリーダーでも通用するに違いない。僕は猫の出産にも立ち会い、猫の子育てなど猫の習性を現代の子供達よりもよく知っている。僕にとって猫はペットではなく家族の一員だった、食べ物も人間と同じものだ、その当時ペットフードなどあるはずもない。ご飯に味噌汁や煮魚の残り物をかけて与えるいわゆる「猫まんま」だ。「犬は人に付き猫は家に付く」とよく言われる。しかし、僕は「猫は家族の平和と幸福を守っている」と思っている。それを確信させる出来事が昭和32年に起こった。その出来事は次回へ続く。