描かれている王侯は、右から、ペルシャ王、アビシニア王(エチオピア王)、フランス王アンリ4世、イギリス王あるいはギーズ大公フランソワ・ド・ローランあるいはカール5世とされている。異教徒のペルシャ王は黒人で槍を持つのに対し、
キリスト教国の3人の王は王笏を持ち、ペルシャ王の方を向いている。キリスト教国の三人の王が、ペルシャ王にかしづいているような不思議な構図なのである。
神戸市博物館に保管されている方は、右から タタール汗、モスクワ大公、トルコ王、および神聖ローマ皇帝ルドルフ2世とされ、キリスト教徒と異教徒の王が闘う構図になっている。構図も不思議な絵なのだ。世界地図の周囲に飾りのように描かれていた小さな絵を、等身大にまで拡大して描いた人は、まったく無名のキリシタン画家とはいえ、すばらしい才能である。
これが基になった絵か?