安倍晋三がリーマンショック級不況を理由に消費税増税を延期したなら、絵に描いた餅を大盤振舞いすることになる

2019-04-01 11:08:48 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる


 "餅"とは幼児教育無償化や高等教育無償化等の全世代型社会保障制度似関わる政策を指す。その"餅"が、誰にも分かりきっていることだが、消費税増税を延期したなら、絵に描いた餅を大盤振舞いすることになる。そうされて喜ぶ国民はいないはずだが、消費税増税延期の方をこそ、喜ぶ国民の方が多いのかもしれない。 

 大盤振舞いすることになる理由は、これも誰もが察していることだが、二つある。誰もが察していたとしても、社会保障制度充実の財源として消費税増税は必要だという姿勢を取りながら、増税の延期を選挙勝利の便利な道具としてきたことを改めて突きつけなければならない。

 国民誰しも消費税を上げるよりも上げない方がいい。国民のそういった利害感情を利用して国政選挙を勝ち抜いてきた。そして安倍一強をつくり上げた。獲得した頭数で特定秘密保護法や憲法解釈変更による集団的自衛権行使の容認を含めた新安保法制等々を強行採決で成立させてきた。その狡猾さ・権謀術数は際立っている。

 安倍晋三は2014年11月18日に衆議院の解散を国民に告げる「記者会見」 を開いている。

 「本年4月より8%の消費税を国民の皆様に御負担いただいております。5%から8%へ3%の引き上げを決断したあの時から、10%へのさらなる引き上げを来年予定どおり10月に行うべきかどうか、私はずっと考えてまいりました。消費税の引き上げは、我が国の世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡し、そして、子育て支援を充実させていくために必要です」――

 8%から10%への消費税増税分は社会保障制度の持続性確保と子育て支援拡充に欠かすことのできない重要な財源だと先ずは指摘している。

 だが、「消費税を引き上げることによって景気が腰折れてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないということになっては元も子もありません。経済は生き物です」の口実で、「本日、私は、消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました」と延期を告知、延期したのは増税だけではなく、社会保障制度の持続性確保と子育て支援拡充も先送りすることになった。

 この記者会見の約半年前の2014年4月の5%から8%への消費税増税以降、増税前の駆け込み需要の反動で需要の落ち込みが激しかった。このことに懲りて、2015年10月の8%から10%への増税を1年半先送りするということなのだろうが、このように懲りること自体、この記者会見の日を起点にして1年半延期の2017年4月までの約2年半近くの間に需要落ち込みに対する自らの景気対策の効果が出ることに自信を置いていないことを意味することになる。

 ところが、この同じ記者会見で、「3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています」云々と、2014年の消費税5%から8%への増税時以降の需要落ち込みをモノともせずに自らの経済対策アベノミクスの成果を自信満々に吹聴している。

 そしてこのような消費税増税延期とアベノミクス経済に関して「国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います」と宣言、消費税増税延期の何よりの効果が記者会見3日後の2014年11月21日の衆議院解散、2014年12月2日公示・12月14日投開票の総選挙で与党の自由民主党は単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得、公明党は選挙区で全員当選の現行制度下最多の35議席獲得、合わせて議席数の3分の2以上を維持することに成功した。消費税を上げるよりも上げない方がいい国民の利害感情を巧みに刺激したことが功を奏したに違いない。

 民主党政権時代の菅無能が2010年7月の参院選直前に消費税10%を突然打ち出して選挙に惨敗したこと、あるいは同じ民主党政権の野田佳彦が2012年に自民党と公明党3党で社会保障と税の一体改革に関する合意の代償として衆院を解散、一体改革の財源として打ち出した2014年8%、2015年10%の消費税増税がマニフェスト違反と攻撃されて、大惨敗を喫したのと雲泥の差である。

 バカっ正直に社会保障制度持続性確保に務めた民主党政権が選挙に敗北し、一方の安倍晋三は消費税増税延期と共に社会保障制度持続性確保までをも先送りして、選挙に大勝利した。

 安倍晋三は消費税増税延期を選挙勝利の道具としたのはこの衆院選のみではない。2016年6月1日に通常国会閉幕に合わせて「記者会見」を開いているが、消費税増税再延期の告知ともなっている。

 「少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生き甲斐を感じられる社会を創る。一億総活躍の未来を切り開くため、大きな一歩を踏み出す。『未来へと挑戦する国会』になった」との物言いで、今国会で社会保障制度を望ましい姿に変えつつあると自負し、その一方で、「足元では新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面しいる」こと、「中国など新興国経済に『陰り』が見える」こと、だからと言って、「現時点でリーマンショック級の事態は発生」しているわけではない上に「1年半前、衆議院を解散するに当たって、正にこの場所で、私は消費税率の10%への引上げについて、再び延期することはないとはっきりと断言した」

 だから、「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります」と訳の分からないことを言って、「2019年10月には消費税率を10%へ引き上げることとし、30か月延期することとします」と、2017年4月の増税予定を一気に2年半もの延期を決定して、「『新しい判断』について国政選挙であるこの参議院選挙を通して、『国民の信を問いたい』と思います」と参院選への抱負を語っている。

 最初に増税を告知した記者会見では、「再び延期することはない。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずや(増税できる)その経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています」と宣言した国民への約束を全て翻したことになる。

 国民から見た場合、そんな約束を破られることよりも消費税を上げるよりも上げない方がいい利害の方が大切なのだろう、2016年6月22日公示・7月10日投開票の参院選は自公連立政権の与党は合わせて70議席を獲得。目標としていた改選議席の過半数である61議席を大きく上回る大勝利を収めている。また非改選議員を含めた参院全体では自公と改憲勢力をあわせると、衆議院と共に日本国憲法改憲の発議が可能な圧倒的多数となる3分の2を確保する効果絶大を消費税増税再延期は呼び込んだ。

 勿論、この延期は日頃約束していると言うか、日頃宣伝している社会保障制度の充実化の先送りを伴うことになる。いわば絵に描いた餅にしている。

 安倍晋三は2017年10月10日公示・10月22日投開票の衆院選挙を消費税増税延期という手ではなく、増税分の還元という形で自民党284議席、公明党は29議席、合わせて313議席の衆議院議席三分の二を維持する勝利を収めている。2017年9月25日の「記者会見」

 「幼児教育の無償化も一気に進めます。2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0~2歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化します。待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに32万人分の受皿整備を進めます」と高齢者に手厚かった社会保障制度を全世代型へと転換、その財源を2019年10月8%から10%への消費税増税税収分約5.6兆円のうち、幼児・高等教育無償化に2.8兆円、低所得層の高齢者支援として1.1兆円、その他の使途内訳で増税分の還元を策している。

 現在もリーマンショック級の不況が訪れた場合は増税の再延期の可能性に触れているが、その手の不況は望んでいないはずだ。ただでさえ景気の実感を与えることができない片肺飛行のアベノミクスを完全に墜落させてお先真っ暗にさせてしまうことは明らかだからだ。

 当然、いよいよ増税をせざるを得なくなって、国民の利害感情を利用、増税2%分どころか、ポイント還元等々の方法で増税相当分の2%を大きく上回る5%を還元する意向を示して、2019年7月に予定している参院選の再度の勝利を狙うことになった。

 2019年3月27日午後の参院本会議で一般会計総額過去最大の101兆4571億円となる2019年度予算が自公明両党などの賛成多数で可決、成立した。財務省の「2019年度予算のポイント」には「幼児教育・保育の無償化」、「介護⼈材の処遇改善」、「待機児童の解消」、「低年⾦の⾼齢者等に対する年⾦⽣活者⽀援給付⾦」等々の社会保障充実化の予算が組み込まれている。

 官房長官の菅義偉も、正月のラジオ番組で2019年度予算成立後が消費増税について最終判断する区切りだと発言していたという。もしここでリーマンショックだろうと何であろうと、どのような理由であれ、2019年10月の10%への消費税増税を延期したなら、「幼児教育・保育の無償化」にしても、それ以下のこれまで絵に描いた餅にしてきた社会保障充実化の政策は、全てが決定的に絵に描いた餅とすることになる。予算を組んでおいて、それを執行せずに済ますことなど、許されるはずはない。

 例え国民の大多数が増税延期を望んだとしても、ウソの上にウソを上塗りすることになるこれ以上の絵に描いた餅の大判振舞いには拒絶反応を示して、増税延期という実利だけを取るべきだろう。


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