「安倍・麻生道路」の不必要性が安倍晋三指示から始まり、忖度へと発展した政治権力の私的行使を証明

2019-04-18 11:54:00 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる


 

 2019年4月4日参議院決算委員会で立憲民主党の小川敏夫と安倍晋三の間で次のような質疑応答があった。

 小川敏夫「総理、端的にお尋ね致しますがね、この道路(「安倍・麻生道路」と言われている下関北九州道路のこと)について総理としてはやはり建設したいというお考えはお持ちなんですか」

 安倍晋三「総理として建設したいかどうかということはですね、まさにこここで私がそういうこと申し上げるとですね、そういう、小川先生としてはそういうプレッシャーをかけているのではないかという誤解を呼びますから、私はそういうことは申し上げませんが、しかし私は議員個人としてですね、先程麻生大臣が述べられたように関門トンネルはですね、相当古いものでありまして、しょっちゅう工事をしておりまして、片側一車線、あるいは閉鎖になっているときが非常に多いわけでありまして、九州と本州を繋ぐですね、大事な幹線がそういう状況になっている。

 勿論、一方橋梁もありますけども、橋もありますけども、もう一つの方はそういうことになっているということででしてね、あの、これでいいのかっていう問題意識はずっと、これは持っていたわけでありまして、例えば本州とですね、本州と四国をつなぐ橋は3本かかっているわけでありますが、人口規模としては相当大きな九州と繋ぐ道路はそこだけ。

 あるいは地震が起こったときにですね、果たしてそれでいいのか。九州で大きな、例えば火山の噴火というがあったときにですね、本州と繋ぐもの、そこであれが、関門トンネルがですね、不通になっているときに橋の状況もですね、厳しくなったときにそれでいいのかということは、随分、これは議論になっていた訳で(小川敏夫が席から何か言う)、あのちょっと説明してくれと言われたんで、あの、説明をさせて頂いているところでございまして、それはそういう議論がありですね、私も地元の議員としてはそれはよく承知をしているところでございますし、理解もしているところでございます」

 先ず「Wikipedia」から下関北九州道路の概要を見てみる。

 〈山口県下関市彦島から福岡県北九州市小倉北区に至る約6 km(陸上部:約4 km、海上部:約2 km)〉で、〈現在、関門海峡を横断する交通網として、関門橋、関門トンネル(国道2号)、関門鉄道トンネル(山陽本線)、新関門トンネル(山陽新幹線)があるが、そのほとんどが壇ノ浦から門司港にかけてのルートを通過しており、異常気象や不測の事態などで壇ノ浦付近が通行不能になると、代替交通網がほとんどなくなる事態に陥る。この状況を解消するため、下関市彦島から北九州市小倉北区を横断する新たな交通網の整備が検討されている。

 最初に構想が浮上したのは、1980年代後半の「北九州地域産業・港湾都市計画調査」であり、1991年(平成3年)11月には関門海峡道路整備促進期成同盟会が設立された。

 現在は構想段階であり、ルート、構造等の調査を行っている。開通すれば、関門橋や関門トンネルのバイパス路線として道路ネットワーク全体の信頼性向上に重要な役割を果たす道路になる。〉――

 確かに〈開通すれば、関門橋や関門トンネルのバイパス路線として道路ネットワーク全体の信頼性向上に重要な役割を果たす道路になる。〉だろうが、この記事は費用対効果について触れていない。

 2019年3月5日付「しんぶん赤旗」記事に、〈2013年に公表された関門海峡道路建設促進協議会(当時)の試算によると総事業費2000億~2700億円〉と出ている。最近工事単価、人件費が高騰しているから、3000億円近く掛かるかもしれない。

 道路ネットワーク全体の信頼性向上の利益が一部にとどまった場合、税金のムダ遣いとして国民全体に降り掛かってくる。

 では、安倍晋三のここでの答弁を見てみる。関門トンネルは経年劣化(年数経過による品質・性能の低下)を来していて、頻繁に工事が行われ、片側一車線とか全面閉鎖といった交通規制が掛かることが多いだけではなく、関門トンネルの不通に重なって九州で地震誘発の大規模な火山の噴火が発生した場合、地上剥き出しの関門橋の交通は噴石、火砕流等の影響を受けることになり、3本の本州四国架橋と比較した四国に対する九州の人口規模から言っても、もう一本道路が必要だという議論がなされていたといった趣旨の発言をしている。

 だが、安倍晋三にしても費用対効果に触れていないし、構想されている下関北九州道路(安倍・麻生道路)にしても地上剥き出しの道路であって、大規模火山の影響は受けませんとすることできないのだから、ご都合主義な建設推進論となっている。

 勿論、全面的にカバーを掛ければ、火山の影響は受けないが、総事業費はもっと掛かることになるし、カバーを延々と掛けることは不可能で、必ずある出入り口は噴石、火砕流等の影響を受けることはありませんとすることもできない。

 つまり「安倍・麻生道路」だけ、大規模火山の影響は受けませんと請け合うことはできない。多くを納得させるとは言い難い、かなりデタラメな論理展開となっている。

 安倍晋三がどうして地震誘発の大規模な火山噴火を持ち出したのか分からないが、九州にしても、四国にしても、地震列島日本の一部だから、大規模地震発生とそれに伴う火山噴火は想定内としなければならない道路ネットワークであることは間違いない。「やまぐち経済月報2013.11」《関門トンネル、関門橋の現状と関門海峡道路の必要性》は大規模地震はを前提とした「必要性」となっている。文飾は当方。

 〈2.高速道路としての関門橋(一部抜粋)

〈関門トンネルは片側1車線の対面通行道路であるから、ひとたび事故等が発生すれば、たちまち通行止め、あるいは大渋滞となる。関門橋も、台風等の影響で風速25m以上になると通行止めとなる(その点トンネルは風に強い)。このように片方が通れなくなったときは、もう一つのルートが使える。補修時期に限らず、日常的に補完し合っている。もしどちらか1本しかルートがなかったら、通行止め期間中は九州と本州の自動車ルートが完全に途絶えてしまう。〉

 要するに関門橋が台風や豪雨の影響を受けて通行止めになったとしても、これらの影響を受けない関門トンネルが補完してくれる。現実がそうなっている以上、〈もしどちらか1本しかルートがなかったら、通行止め期間中は九州と本州の自動車ルートが完全に途絶えてしまう。〉という仮定は成り立たない。

 但しトンネル部以外の国道や一般道路が台風や豪雨の影響受けずに関門トンネル内のように通行止めとならないとすることはできない。このことは「安倍・麻生道路」を新たに建設したとしても、風速25m近辺で通行止めとなるだろうから、関門トンネルと同様の条件(トンネル部前後の通行止め)ということになる。

 関門トンネルの条件と変わらないことは左に上げた画像が証明する。約1センチが2キロメートルとなっていて、関門橋から下関側の「安倍・麻生道路」の始点が7~8キロ、終点が12~13キロの距離であって、まともに台風や豪雨に直撃されたなら、「安倍・麻生道路」にしても、関門橋にしても、どちらも通行止めの影響を受けることになるだろうし、関門トンネル外の国道や一般道路が通行止めされない保証もなくなる。直撃でなければ、どちらも影響を受けないことになる。「安倍・麻生道路」と関門橋の一方だけが影響を受けることになるとすることはできないし、あるいは関門トンネル外の国道や一般道路が絶対的に影響を受けないと保証することもできない。

 つまり台風や豪雨の影響を受けた通行止めといった条件を付さない、純粋に費用対効果で建設の必要性を論じなければならないと言うことになる。

 〈3.耐用年数は限界に近いのか

 関門トンネルは開通して55年が経つ。関門橋も、ちょうど開通40周年を迎えたところだ。そろそろ耐用年数的に限界に近付いているのだろうか。

 結論的には、関門トンネルはまだまだ持つ。トンネル本体には厚さ1mのコンクリートが打ってある。55年前、良質のコンクリートで丁寧に作り上げてあるので、いまのところ、トンネル本体に劣化はない。関門トンネルの断面形状が、車道の床版で仕切って下部に人道を配置した円形形状になっていることも、トンネル本体が強さを保っている要因となっている(周囲からの負荷が均等にかかる)ようだ。

 ただし、トンネル本体に劣化がなくても、車が走る床版、あるいは天井板など、本体に付随している部分は年月とともに傷んでくる。また漏水対策としての手入れも必要となる。適切な補修・管理は続けなければならない。そのためにしばしば通行止めにしなければならない状況は続く。逆に言えば、適切な管理をしている限り、まだまだ関門トンネルは持つ。〉

 〈一方、40年前に日本の土木技術の粋を集めて作られた関門橋についても、現状劣化が著しいわけではない。ただ、通行車両に大型車が多いことに加え、通常の道路と違って常に潮風にさらされていることもあって、経年による傷みはみられる。そこで、本格的に傷んでから補修する事後保全ではなく、計画的に維持・補修を行う予防保全、いわゆるアセットマネジメントの観点から、現在「百年供用」を目指して様々な学術的検討を行いながらリフレッシュ工事をしているところだ(2019年に完了予定)

 なお、この間で実際に補修工事を行う時期には、片道3車線のうち2車線を通行止めにして、1車線で車を通過させる形をとっている。補修工事時期も全面通行止めになるわけではない。

 このようにして「百年供用」が目指されている関門橋は、まだまだ持つ。

 関門橋は「百年供用」を目指したリフレッシュ工事を行っていて、「2019年に完了予定」。つまり2019年から先100年の耐用年数を手に入れることになる。つまり関門トンネルにしても、関門橋にしても、耐用年数に問題があるわけではない。

 〈4.交通量は飽和状態か

 前述のように、関門橋の交通量は1日当たり37,600台、関門トンネルは1日当たり28,600台である。いずれも、開通当初と比べれば激増している。そろそろ交通量が飽和状態に近付いているのだろうか。

 関門橋と関門トンネルを合わせると、1日当たりざっと65,000台が関門を通っていることになるわけだが、関門橋が6車線(片道3車線)、トンネルが2車線、合わせて8車線ある。これは1日当たり80,000台の通行が可能な容量である。現状は65,000台だから、数字的にはまだ余裕がある。九州自動車道の太宰府~筑紫野~鳥栖の間のように6車線道路で100,000台以上の交通量があるところもあるわけで、関門間の道路の容量が飽和状態に達しているわけではない。

 ただし、関門橋は一般の高速道路と違って、海上に架かっている橋である。関門トンネルも、一般の道路と違って対面通行の海底トンネルである。飽和状態ではないものの、後述するように、道路交通として様々なリスクや課題を孕んでいる。〉

 関門トンネルと関門橋合わせて〈1日当たり80,000台の通行が可能な容量である。現状は65,000台だから、数字的にはまだ余裕があ〉り、〈関門間の道路の容量が飽和状態に達しているわけではない。

 交通量に関しても何ら問題ではない。但し〈道路交通として様々なリスクや課題を孕んでいる。〉

 では、その「様々なリスクや課題」を見てみる。

 〈1.唯一のルートであることの怖さ

 道路とは、地域と地域を繋ぐものであり、地域間をネットワーク化するものである。関門橋は、九州ブロックと本州を繋ぐ経済活動の大動脈である。人の移動だけでなく、トラック物流も担う。物流品目には、工業製品だけでなく、一大農業地域である九州の農産物もある。また九州ブロックで発生した貨物だけでなく、アジアのゲートウェイである九州到着の海外貨物の国内各地への陸送もある。

 この大動脈が、九州-本州間は関門橋というたった一本の橋で支えられている。関門橋が不測の事態になったとき、九州経済は麻痺する。ひいては日本経済も麻痺し、九州と本州を結ぶ経済・社会活動全体が機能不全に陥る。これを関門トンネルで代替するにしても、対面通行の一般国道では不十分だし、もし大規模災害等で関門橋がダメージを受けたときには、同じ位置に並行している関門トンネルもまたダメージを受ける可能性が高い。

 そこで、現在の関門橋や関門トンネルから距離が離れたところに、もう1本、高規格道路を通しておく必要がある。関門海峡道路がそれである。国土強靭化のため、大規模災害発生時における代替機能確保、いわゆるリダンダンシー(大規模災害時における代替機能)の確保が必要なのだ。

 また、前述したように、関門橋は現在「百年供用」を目指してリフレッシュ中だが、全面更新は百年後でも、ケーブルの取り換えなど部分更新の時期はその前に必ず来る。その工事中は、長期間に亘って全面通行止めとならざるを得ない。そのときに九州ブロックの経済が止まらないようにする用意も必要である。関門海峡道路がそれである。この用意は早くから進めておかないと、必要になったからといってすぐに出来上がるものではない。そして、この用意がなかったら、関門橋は部分更新ができず、寿命を縮めてしまう。

 九州と本州を繋ぐ唯一の大動脈という、極めて重大な交通システムにおいては、バックアップシステムが組み込まれていなければならない。これは現在の交通量が容量オーバーであるかどうかといった議論とは別次元の重要課題である。〉

 ここで言っている「関門海峡道路」とは下関北九州道路のうちの海上部と前後取り付け部を指す名前だそうだ。

 〈大規模災害等で関門橋がダメージを受けたときには、同じ位置に並行している関門トンネルもまたダメージを受ける可能性が高い。〉と言っている「大規模災害等」とは南海トラフ地震のことなどを指しているのだろう。

 この必要性に関わる論理には説得力がある。

 大規模災害時に於けるこのような関門橋と関門トンネルの共倒れダメージに対して関門橋から橋の中間点までの距離が10キロから11キロ程度しか離れていない「安倍・麻生道路」をダメージゼロとするには南海トラフ巨大地震クラスの地震が発生しても耐え得る耐震設計を持たせた橋梁の建設を目指すということなのだろう。

 では、南海トラフ巨大地震での予想震度を、「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」(気象庁)から見てみる。
 
 〈政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(以下、「南海トラフ巨大地震」という)が発生した際の被害想定を実施しています。

 この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。〉

 この記事が載せている強震動生成域を陸側寄りに設定した場合の「南海トラフ巨大地震の震度階級図」を左に掲げておく。 

 「安倍・麻生道路」にしても、関門橋と関門トンネルにしても、この周辺の震度階級は5弱から4となっている。勿論、南海トラフ巨大地震の予想最大震度7に備えた耐震設計であっても、構わないわけではある。

 関門橋と関門トンネルはどの程度の耐震設計となっているのだろうか。

 「日本共産党北九州市議団」(2015年9月議会報告)なる記事から見てみる。

 〈ネクスコ西日本によると、関門橋・トンネルともに阪神・淡路大震災クラスの震災でも耐えられ、完成後100年間はもつと太鼓判を押しています。〉

 阪神・淡路大震災の最大震度は神戸市の一部地域で7だそうだ。因みに東日本大震災の最大震度にしても宮城県栗原市で観測された7だという。南海トラフ巨大地震の予想最大震度7であり、阪神・淡路大震災の最大震度も7ということなら、このクラスの地震が発生したなら、関門橋と関門トンネルがダメージを受けるとすることは無理があり、当然、「安倍・麻生道路」だけがダメージを受けないとすることも無理が生じる。

 となると、既に触れたように費用対効果のみで必要性を論じなければならないが、上記「やまぐち経済月報2013.11」《関門トンネル、関門橋の現状と関門海峡道路の必要性》はこの点に関しては一切触れていない。

 要するに様々な無理で成り立たせた建設必要性の正当性であって、このような正当性を押し通そうとすること自体が牽強付会以外の何ものでもない。つまり合理的な必要性を論じることができないでいる。建設の合理的な正当性がないままに不必要を必要に変えようとすると、ある種の強権が必要になる。国交副大臣だった塚田一郎の発言や安倍晋三に近いとされる参院幹事長の吉田博美の動き、さらに「安倍・麻生道路」の一方の麻生派であり、この道路の北九州側の起点である福岡県選挙区選出の参議院議員大家敏志の動きを見ていると、ある種の強権とは安倍晋三の指示という名の政治権力の私的行使以外に何があるだろうか。指示を吉田博美や大家敏志や塚田一郎が忖度して動き出した。

 無理が通れば道理が引っ込むことになるのは政治権力の世界の常であろう。

 

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