安倍晋三の任命責任者としての無責任が盗人猛々しいまでに露わになった国交副大臣塚田一郎「忖度」発言

2019-04-08 11:05:48 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 国土交通副大臣の塚田一郎(中央大学法学部卒・55歳 新潟県選挙区)の2019年4月1日、北九州市内開催福岡県知事選自民党推薦候補集会での発言がマスコミに問題視されて、繰返し報道され、野党も批判の俎上に載せることになった。

 その発言の主な内容とマスコミに問題視された以後の福岡県政記者クラブに文書で送った「忖度」発言撤回と謝罪のコメントの要旨を2019年4月2日付「asahi.com」から取り上げてみる。

 私は麻生太郎(副総理)命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です。

 私は新潟県連の会長をやってまして、地元も県議選、市議選(が行われている)。帰って応援しようと思ってたが、かわいい弟分の(自民麻生派の)大家敏志(おおいえ・さとし)参院議員が小倉に来て激励してくれと。渡世の義理には勝てません。麻生派は渡世の義理だけで動いています。ほとんどやせ我慢の団体。私はやせてませんが。私は夏に参院選があるが、自分の票を削って北九州に参った。

 国交副大臣なので、ちょっとだけ仕事の話を。大家さんが吉田博美・自民参議院幹事長と一緒に、「地元の要望がある」と副大臣室に来た。下関北九州道路(の案件)です。

 これは11年前に凍結されているんです。何とかせにゃならん。下関と北九州ですよ。よく考えてください。下関は誰の地盤ですか。安倍晋三総理です。総理から麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっている。

 吉田幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度(そんたく)します。「分かりました」と。

 そりゃ総理とか副総理がそんなこと言えません。でも私は忖度(そんたく)します。この事業を再スタートするには、いったん国で調査を引き取らせてもらいます、と。今回の新年度の予算で、国で直轄の調査計画に引き上げました。

 別に知事に頼まれたからやったわけじゃないですよ。大家敏志が言ってきた、そして私が忖度した、ということですので。

 おそらく橋を架ける形で調査を進めて、できるだけ早くみなさまのもとに、橋が通るように頑張りたい

 「私は麻生太郎命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です」とか、「かわいい弟分の大家敏志」だとか、「渡世の義理には勝てません」、「麻生派は渡世の義理だけで動いています」等々は感覚的にはヤクザの世界に身も心も置いている人間の言葉遣いそのもので、特に「麻生派は渡世の義理だけで動いています」は「政策で結びついているわけではありません。政策はそっちのけです」と言っているも同然で、このような程度の低い、みすぼらしい政治感性の人物を副大臣にふさわしい資質の持ち主として起用した安倍晋三の人物を見る目の不確かさ・いい加減さとその任命責任は重大となる。

 記事は、〈下北道路は、関門海峡を挟む安倍首相の選挙区の山口県下関市と中選挙区時代に麻生氏の地盤だった北九州市を結ぶ構想だ。財政難で福田康夫政権時代の2008年に凍結されたが、2017年度に地元自治体の予算と国の補助で調査を再開。国は3月29日、2019年度からは国が調査費用を全額負担することを発表した。〉と解説していて、今のところ安倍晋三と麻生太郎が陰で指示を出した凍結ゾンビなのかどうかは不明だが、自民党参議院幹事長吉田博美の「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」の一言を塚田一郎が「総理とか副総理がそんなこと言えません」とばかりに忖度して、地元自治体の予算と国の補助で調査してきた案件を自らの一存で2019年度から事業化に向けた調査を国直轄で行うよう取り図らったという話の展開となる。

 塚田一郎が「忖度」発言の翌日の4月2日に福岡県政記者クラブに送った謝罪・撤回のコメントの要旨。

 1日に行われた自民推薦候補の応援演説で、「総理とか副総理が言えないので、私が忖度(そんたく)した」「これは総理と副総理の地元の事業だよと言われた」「私は物わかりがいい。すぐ忖度する。分かりましたと応じた」と発言しましたが、一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪申し上げます。

 下関北九州道路については今般、国において事業の必要性などを鑑み、直轄調査を実施することとしたところです。

 要するに発言したような事実はなかった。自分でつくり上げた何の根拠もない妄想・虚構に過ぎなかった。

 もしこのことが事実なら、日本の国旗である日の丸と「必勝」の文字を書いた鉢巻をしてまで口にした妄想・虚構ということになって、この点からも副大臣としての資質と共に安倍晋三の任命責任が問われることになるが、4月4日の参議院決算委員会で安倍晋三は野党の罷免要求に対して「本人の発言撤回と謝罪がある上に説明責任を肝に銘じて職責を果たしてもらいたい」といった趣旨のことを述べて、逆に職にとどまることを容認、自らの任命責任をそこに置く、国民感覚とズレていないはずはない人事対応を披露することになっている。

 この解釈が間違っていないことは塚田一郎は4月4日の参議院決算委員会で野党側から厳しい追及を受けて翌5日に辞任することとなったが、辞任についての安倍晋三の「記者会見発言」(首相官邸/2019年4月5日)からも証明できる。

 安倍晋三はこの記者会見で「行政においては、国民の信頼が何より重要であります」という名言と、「その場において政治家が語る言葉は真実を語らなければならないと、このように思います」との名言を、二つ吐いている。この名言は、当然のことだが、塚田一郎の事実と異なることを喋ったとしていることに対する裏返しの意味を取ることになる。要するに塚田一郎は「政治家が語る言葉は真実を語らなければならない」にも関わらず真実に反する言葉を聴衆に向かって吐き連ねたことで何よりも重要である「国民の信頼」を失ったとなかなか手厳しい批判を加えている。

 但しこの二つの名言は、その中で示すことになった手厳しい批判にしても、塚田一郎を職にとどめることを一旦は決意した自らの意志をも覆す体裁を取ることになる。いっときは職にとどめたことの釈明を次のように発言している。

 安倍晋三「まず、本人が国会の場において、きちっと説明をすることが重要であると考えておりました。その上において、本人が行政に遅滞があってはならないと判断したわけでありまして、石井大臣もその意向を尊重したということであります。この上は、我々も一層気を引き締めて国民の負託に応えていく決意であります」

 つまり塚田一郎の説明責任を先ずは待ったが、満足にその責任を果たすことができなかったことから行政の遅滞が生じる恐れが出てきたと本人が判断、そのような判断に基づいて自ら辞任する決意を固め、上司である国交大臣の石井啓一にしても本人の意向を尊重して辞任を受け入れることになったという流れを取ったことになる。

 と言うことは、国交副大臣の職にとどめるかどうかの出処進退に関わる任命責任者としての安倍晋三自身の判断は自ら下すことなく、塚田一郎本人が説明責任は果たすことができるかどうかの一点に期待して出処進退は本人の判断に丸投げ、全て本人任せにしていたことになる。

 ところが、辞任するや一転して、手厳しい批判となる二つの名言を吐くことになった。一般的な国民感覚からしたら、「忖度」発言があった時点で任命責任者の立ち場から塚田一郎本人に対して二つの名言を吐き、国民の目に見える手続きで説明責任を求めて、事実かどうかを問い質し、その上でその出処進退を任命責任者自らが判断すべきであり、そのように手続きを経て初めて任命責任者としての意味や立ち場が出てくる。

 だが、そうしなかった。全てが国民感覚とズレた人事対応となっている。要するに記者会見の発言の趣旨自体からも窺うことができるのだが、それらしく見える二つの名言は塚田一郎本人にのみ非があることとして、その責めを全ておっかぶせて、任命責任者としての自らの非については何ら認識せずに口にすることができた「行政においては、国民の信頼が何より重要であります」という名言と、「その場において政治家が語る言葉は真実を語らなければならないと、このように思います」との名言に過ぎないということであり、この矛盾は目に余る。

 自らが任命した閣僚に対する国民の信頼は偏にその人物を見る任命責任者の目・見識に掛かっている。メガネ違いが生じたなら、先ずは自身の目・見識に非を置かなければならない。この意識が安倍晋三には全然ない。

 安倍晋三のこの任命責任者としての自らの非を何ら認識しない態度は4月4日の参議院決算委員会での国会答弁からも見て取ることができる。文飾は当方。

 先ず社民党党首又市征治。

 又市征治「塚田国交副大臣、総理と副総理に忖度をして、道路の調査をやることにしたんだと、何でも忖度、忖度、こんなことを公然と選挙の集会で何度も言う。もう、垂れっ放しじゃないですか、これ。

 そういう意味では、これ、利益誘導で、こういうことはやってはならない不見識だし、忖度で政治決定はやってはならないし、本当にそう思うんなら、総理、塚田さん、直ちに更迭すべきじゃありませんか。そういうことはっきりと答弁願いたいと思います」

 安倍晋三「えー、発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めております。そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回をし、謝罪したところと承知しておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えております」

 次は午前中の立憲民主党民小川敏夫。

 小川敏夫「先ず最初に下関北九州道路に対する国交副大臣の発言についてお尋ねいたしますが、この発言ですね、よーく分析しますと、『私は総理とか副総理はそんなことは言えません』という発言がある。

 この言葉の趣旨にですね、依然、重大な意味があると思うんですね。即ち副大臣のところに頼みに行ったのは自民党の政治家でありますけども、しかし内容は実は、総理とか副総理が望んでいると言っていることなんだけども、総理や副総理は自分の口では言えないから、だから、代わりに自分達は来たんだと、こういうやりとりというふうに理解できるわけです。

 ですから、これ忖度でなくてね。まあ、阿吽の呼吸だね。総理や副総理のご要望を伝えに来た人を通じて、分かったということだと思うんですが、総理、この副大臣の発言についてどのようにお考えですか」

 安倍晋三発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりまして、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回をし、謝罪したところと承知をしておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えております」

 午後、引き続いての小川敏夫。

 小川敏夫「塚田国交副大臣の発言はですね、自民党型の利益誘導政治、あるいは利益誘導選挙というものをですね、実に如実に表した貴重な証言であるというふうに思っております。この重要な発言についてですね、事実でなかったという副大臣の弁明はですね、その弁明自体がウソであるというふうに思わざれるを得ない。

 そこで改めて総理にお尋ねします。これは塚田国交副大臣を罷免しないんですですか」

 安倍晋三「えー、発言の詳細は承知しておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めており、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回し、謝罪したところと承知しておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております」

 共産党仁比聡平。

 仁比聡平「自民党というのはそういう(忖度や政治家個人の指示で政策が動く)ところなんだと国会の声(ヤジ)が上がっておりますけども、そういう中で利益誘導そのものという自民党の選挙の実態というものが図らずもあからさまになってるわけですね。

 今回の副大臣の発言はそうしたイキサツの中で飛び出したものです。大体ですね、夏、昨年8月の概算要求に今度の国直轄調査というのはなかったんですよ。この件についてまだ予算が成立する前の3月の19日に県知事選挙の告示前、2日前ですよ、この日に石井国土交通大臣が福岡、大分の両県知事に伝えたと。

 先程のと言いますか、11年前の冬柴大臣のことを思い起こしますとね、公明党も変わったもんだと、思いますね。まさに政治家への忖度、政治路線、なんじゃありませんか。私は4千万円を費やす国直轄調査はやめて、第二関門橋構想、下北道路構想って言うのは直ちに断念すべきだと思います。副大臣を罷免することは当然だと思いますが、総理、如何ですか」

 安倍晋三発言の詳細は承知しておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりましては、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回し、謝罪したところと承知をしておりますが、先ずは本人からしっかりと説明をすべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えています」

 任命責任者でありながら、「発言の詳細は承知していない」とする無責任。そして「承知していない」いないにも関わらず、「そうした発言をしたことは問題だ」と問題視できる無責任。

 生徒が自殺し、イジメを匂わす遺書が見つかった学校の校長や担任が「自殺の詳細は承知していない」と言うことができるだろうか。校長は学校責任者として、担任はクラスの責任者として、学年主任等と共に「詳細」を調べて、明らかにする責任を有する。

 安倍晋三にしても閣僚の任命責任者として自らの手を使ってか、官房長官なりに指示して「詳細」を調べ、発言の理非・事実の所在を明らかにする責任を有する。明らかにしてから、出処進退を任命責任者として自らが判断すべきだった。

 そういったことをしなかった無責任、逆に出処進退を塚田一郎本人に丸投げした無責任。非は塚田一郎にあり、我にはなしとする無責任等々。

 この発言がどれも同じになっているのは全て原稿を読んでいたからであり、自身が任命した閣僚の発言の是非・事実の所在に関して原稿を読んで同じ答弁で済ます無責任も付け加えなければならない。

 任命責任者でありながら、何重もの無責任が盗人猛々しいまでに露わとなっている。


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