安倍晋三は国民騙しはもうやめた方がいい 米との日米物品貿易協定交渉をFTAではないと言いくるめる国民愚弄

2018-10-01 10:52:43 | 政治


 安倍晋三は2018年9月26日、トランプとニューヨークで首脳会談を行い、その後の内外記者会見で日米物品貿易協定の交渉入りをすることで合意したと発言した。

日米首脳会談に同席した経済再生担当相茂木敏充が会談終了後、安倍晋三とトランプが日米2国間交渉の開始で合意した「日米物品貿易協定」について発言している。

「NHK NEWS WEB」(2018年9月27日 6時56分)

 茂木敏充「国際経済の不安定要因が増大している中、日米が関税について自由で公正な新たな枠組みを確立することで日米間の貿易を安定的に拡大させることは、日米のみならず国際経済全体にとってもよい影響を与えるものだ。

 日米物品貿易協定の交渉中は自動車に関する通商拡大法232条に基づく制裁関税を課されることはないと理解している。新たな協定はFTA=自由貿易協定ではない。今回交渉する協定は、あくまで物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まないもので、包括的なFTAとは言えないと考えている。

 決して簡単な交渉ではないが、わが国としては攻めるものは攻め、守るべきものは守る観点から、国益に沿った形で今後の交渉をしっかりと進めていきたい」

 茂木敏充は「日米物品貿易協定はFTA=自由貿易協定ではない」と断言し、その理由としてモノの売り買いに関する「物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まないもの」だから、「包括的なFTAとは言えない」としている。

 「コトバンク」は「自由貿易協定(FTA)」を、〈自由貿易協定。2国間または地域間(多国間)で交わした協定により、関税や非関税障壁を相互に撤廃し、自由貿易を行うための取り決め。現在ではモノだけでなく、サービスや投資なども対象とした広範囲な分野での取引の自由化が含まれる場合もある。〉と解説しているから、サービスや投資を対象としていないことを以ってFTAではないとの茂木敏充の発言は一見して正当性を持つことになる。

 安倍晋三も首脳会談後の同日「内外記者会見」(首相官邸サイト)で同じ発言をしている。

 NHK原記者「総理、今日の日米首脳会談で物品貿易協定の締結に向けた交渉に入ることに合意されましたけれども、トランプ大統領は、貿易赤字の削減に向けて各国との貿易摩擦を厭わない姿勢を示していますが、今後トランプ大統領とどのように向き合っていくお考えでしょうか。

 また、トランプ政権はFTA交渉、FTAの締結に意欲を示してきましたけれども、物品貿易協定の先にはEPAですとかFTAというものを総理は見据えていらっしゃるのでしょうか」

 安倍晋三「先ず申し上げたいことは、貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならないということであります。日本と米国は、長年、自由貿易体制の下で大きな恩恵を受けてきました。時計の針を逆戻りさせるようなことは、決してあってはならないと考えています。

 当然、米国には米国の立場があり、日本には日本の立場があります。双方の違いはお互いに尊重しながら、両国の間の貿易を一層促進することによって、ウィン・ウィンの経済関係をつくり上げていくことが必要であり、そして、それが本日の合意であると思います。

 その上で申し上げれば、今回の、日米の物品貿易に関するTAG交渉は、これまで日本が結んできた包括的なFTAとは、全く異なるものであります。いずれにせよ今後、しっかりと双方にメリットがある結果が得られるように議論を進めていきたいと考えています」

 「日米の物品貿易に関するTAG交渉は、これまで日本が結んできた包括的なFTAとは、全く異なるものであります」と、茂木敏充と同じことを言っている。

 「異なる」ことの理由として茂木敏充の「物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まないもの」だからとのより具体的な説明はないが、同じ理由でなければならない。官房長官の菅義偉も9月27日午前の記者会見でモノの売り買いに限定されているから、FTAではないと理由づけている。安倍晋三のみ、異なる理由を上げていたなら、閣内不一致となる。

 「ロイター」(2018年9月27日/12:16)

 菅義偉「自由貿易協定(FTA)とは異なり、物品貿易に限定されるものであり、包括的なものではない。背景には農産品については国内での懸念が強いと理解している。

交渉中は(米国側が自動車関連に対して)制裁関税を課するものではないと首脳・閣僚間で確認した。今後予定される交渉は、決して簡単なものでないが、国益にかなう形で進めていく」

 要するに茂木敏充が言っていた「物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まない」から、FTAではないと安倍晋三も菅義偉も説明したことになる。

 トランプはアメリカの巨額にのぼる貿易赤字の削減に拘っていた。9月28日(2018年)のブログに載せた新聞記事から引用の中国、日本、ドイツに対する米国の貿易赤字の画像を再度ここに載せてみる。「時事ドットコム」(2017年4月6日)

 但しアメリカのサービスの貿易収支に関しては「世界各国のサービス貿易収支~受取超過 上位50」から2016年のそれを見てみると、アメリカは第1位にランクされていて、2015年から136億9800万ドル減らしているものの、2477億1100万ドルの黒字となっている。

 対して日本は「(収支尻~支払超過) 上位50」の中で上から多い順の12位となっていて、2015年から50億5200万ドルの赤字削減とはなっているものの、108億8900万ドルの赤字を記録している。

 一方、「ジェトロ世界貿易投資報告2017年版」から2016年の日本の米国に対する、米国の日本に対する直接投資額を見てみる。

 2016年日本から米国への直接投資額、521億9400万ドル
 2016年米国から日本への直接投資額、 57億6100万ドル

 日本からの対米投資額の方が464億3300万ドルも上回っている。要するにトランプは種目別の個々のサービス貿易に不満はあっても、赤字となっている日本と比較して黒字を維持していることから、全体的にはそれなりに満足しているはずで、投資に関しても日本の対米投資額が464億ドル(日本円で5兆円を超える)も上回っていて、贅沢は言えない。

 となると、トランプは米国の対日貿易赤字の大部分を占めるモノの貿易からの赤字削減をターゲットとしていて、その中でも自動車関連への追加関税25%をちらつかせた関係からも、8割弱を占めているその赤字を問題としているのであって、投資・サービスを日米貿易交渉に含める必要はなかったと見ることもできる。

 つまりトランプが含める必要がなかったから、投資・サービスが除外されただけのことだとしたら、そのことを以って日本側が「自由貿易協定(FTA)」ではないと定義づけることは可能でも、アメリカ側がモノに限った「自由貿易協定(FTA)」を頭に置いていたなら、茂木敏充が言うようにモノの貿易である「物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まないもの」だからと言って、FTAではないとすることはできなくなる。

 その証拠となる「ロイター」(2018年9月27日/05:45)記事がある。

 記事は、〈ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は9月26日、日本に対し完全な自由貿易協定(FTA)締結を目指す考えを表明〉し、〈協定には米議会の承認が必要で、大統領貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)法に基づき作業に着手する方針を示した。〉と伝えている。

 その上記事はライトハイザー米通商代表部代表の発言を裏付けるためにだろう、〈トランプ米大統領は同日、安倍晋三首相と会談し、二国間の自由貿易協定締結に向け協議を開始することで合意したと明らかにしている。〉と解説している。「自由貿易協定締結」とはFTA以外の何ものでもない。

 トランプが日本とFTAを締結する意向であるのに対して日本側が反対であるなら、はっきりと反論すべきであって、反論しないままトランプの意向には手を付けずに「物品貿易に限定されて、投資・サービス等のルールを含まない」からFTAではないと言うのはトランプに対する言いくるめではなく、日本国民に対する言いくるめとなる。安倍晋三と菅義偉と茂木敏充が揃って日本国民を言いくるめたことになる。

 国民を騙すのはもうやめた方がいい。国民を違った情報で言いくるめようとするのは国民を愚弄していることになる。



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