柳瀬唯夫の従来の国会答弁も今回の面会を認める軌道修正も官邸の意向を反映して決めたと読み取れる新聞記事

2018-05-04 10:53:36 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 5月2日(2018年)付けで各マスコミが元首相秘書官柳瀬唯夫が今まで国会で「記憶にない」を理由に否定してきた2015年4月2日の首相官邸での加計学園関係者や今治市職員などとの面会を認める方向で調整に入ったことを自民党幹部の話として伝え始めた。

 この否定から肯定への軌道修正は2018年4月10日付の朝日新聞が面会の事実を記した文書の存在を報道、その日の午後に愛媛県中村知事が記者会見して、愛媛県職員の備忘録という形で面会記録が残されていることを認めたことに端を発している。

 そこには面会の事実を次のように記してあった。(「福山“龍馬”雅治のブログ」から一部引用)

 〈1 4/2(木)、獣医師養成系大学の設置について、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原次長及び柳瀬首相秘書官らとそれぞれ面談した結果は、次のとおり。〉――

 この愛媛県文書と内閣府が文科省に当てた同趣旨のメールが文科省で見つかり、さらに農水省でも見つかって、全ての文書に柳瀬唯夫の発言、「この件は首相案件」の文字が記載されていた。
  
 では、軌道修正の経緯を二つの記事から見てみる。文飾は当方。

 「柳瀬氏、面会肯定へ=来週にも国会で証言-野党、審議復帰探る」時事ドットコム/2018/05/02-19:05)    
 国家戦略特区での学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、元首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官が首相官邸で学園関係者と会ったことを来週にも国会で認める方向となった。与党関係者が2日、明らかにした。面会の事実を示す文書が相次いで見つかったことを踏まえ、従来の説明を軌道修正する。これを受け、立憲民主党などは審議復帰のタイミングを探る考えだ。

 柳瀬氏が面会を認めれば、特区活用が政府にとって「加計ありき」だった疑いがより強まる。昨年1月20日に新設計画を知ったとする安倍晋三首相の答弁も整合性が厳しく問われそうだ。

 柳瀬氏の修正に関し、自民党幹部は2日、「いろいろな文書が出てきて、面会の事実は認めないと始まらない」と指摘した。別の幹部は、面会の際に愛媛県や今治市の担当者は学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかったと説明する方向だとし、「学園関係者との面会を認めても、従来の答弁は虚偽にはならない」との見解を示した。

 与党側は来週、衆参両院の予算委員会に柳瀬氏を参考人招致することを検討。野党側に非公式に打診しており、実現すれば柳瀬氏は面会について説明する見通しだ。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は2日、記者団に「首相の関与も含め、疑惑はますます深まった」と強調。審議復帰については「早期に真実を話してもらう必要が強まった。他の野党と相談したい」と述べた。

 自民党幹部「いろいろな文書が出てきて、面会の事実は認めないと始まらない」と指摘、別の幹部〈面会の際に愛媛県や今治市の担当者は学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかったと説明する方向〉だとして、「学園関係者との面会を認めても、従来の答弁は虚偽にはならない」との見解を示した。

 この記事を読む限り、自民党幹部主導の軌道修正となっている。勿論、柳瀬唯夫も加わってだろう、複数の自民党幹部と協議し、その主導に従って、柳瀬唯夫の参考人招致を受けた過去の国会答弁と可能な限り整合性を持たせる方向で再び柳瀬唯夫を国会で参考人招致に立たせることにしたという構図になっている。

 このような経緯は柳瀬唯夫を参考人招致した2017年7月24日の衆院予算委、翌2017年7月25日の参院予算委での柳瀬唯夫の国会答弁にしても、複数の自民党幹部と協議し、その主導に従って決めたチームワークだったことを示すことになる。

 このチームワークに官邸の誰かが参加していたか、あるいは最低限、官邸の意向が反映されていなければならない。何しろ、柳瀬唯夫が面会を認めた場合、直接影響を受け、時と場合に応じて進退問題に発展しかねない張本人は安倍晋三を措いて他にいないからだ。

 いわば安倍晋三の進退に悪影響を与えかねない都合の悪い文言は回避させる方向で、その内容を決定し、柳瀬唯夫に答弁させた。それが、「記憶をたどる限り」、あるいは「記憶する限り」は会っていないという答弁だった。

 と言うことは、このような文言を用いた答弁は安倍晋三を守るためという目的を当初から持っていて作られたことになる。このことは安倍晋三の政治関与が疑われた加計学園獣医学部新設疑惑だから、当然と言えば当然の作り事と言うことができる

 別の幹部が、〈面会の際に愛媛県や今治市の担当者は学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかった〉と、面会時の配置をこのようにすることで、「学園関係者との面会を認めても、従来の答弁は虚偽にはならない」〉としていることは、柳瀬唯夫参考人招致の国会では野党は首相官邸面会者を今治市の職員に限って、「会ったのか、会わなかったのか」と質問していて、そのような質問に対して柳瀬唯夫は記憶していないことを理由に今治市の職員とは会っていないとしていたことへの整合性付与であろう。

 但し愛媛県と今治市の職員に関しては〈学園事務局長の後ろにいて記憶に残らなかった〉とすることに正当性を持たせるために愛媛県や今治市の担当者、さらに加計学園事務局長、その3人いずれとも、名刺交換も自己紹介もしなかったとしなければならない。

 愛媛県も今治市も加計学園に対して獣医学部新設に関して多額の補助金を出す身であり、今治市が無償譲渡した評価額36億円以上もする土地に獣医学部の建物を建てることになっていた関係から、加計学園事務局長は両自治体の顔を立てなければならない立場にあり、そうである以上、加計学園事務局長だけが名刺交換と自己紹介を行ったとすると余りにも不自然となる。
 
 さらに柳瀬唯夫に対して発言したのは愛媛県と今治市の職員、加計学園事務局長三者の内、加計学園事務局長のみだったことになる。もし前二者がそれぞれ発言していたなら、県と市、それぞれの立場からの発言となっただろうから、最低限、加計学園関係者ではないことは自ずと明らかになるからだ。ただ単に〈「愛媛県や今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていない」 とすることはできなくなる。

 当然、前二者を名乗らない存在・発言もしない存在だったとすることになる。このような点をクリアするためにどのような作り事を用意しているのだろうか。最初の作り事を次の作り事でカバーする。次の作り事を通用させるためにはさらに新たな作り事を用意しなければならない。

 柳瀬唯夫からしたら、愛媛県と今治市の職員は加計学園事務局長の背後にただ単に控え目に立っていた加計学園関係者にしか見えなかった。作り事もなかなか大変である。

 いずれにしても、官邸の意向を反映したチームワークで柳瀬唯夫が面会を認める軌道修正を図ることを決めたとしても、愛媛県文書に柳瀬唯夫の発言として記載されている「本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」をも含めて切り抜けることができると計算しているはずだ。切り抜けるためのあの手この手の作り事を既に準備していなければ、軌道修正を図ることはできない。

 その切り抜けの秘策に対して当てにならない野党だが、どう阻止できるか、腕の見せ所となる。

 次の記事を見てみる。

 「加計問題 柳瀬氏、面会認める意向 国会答弁へ」毎日新聞 2018年5月2日 02時00分)
 
 学校法人「加計学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、2015年4月2日に同学園関係者と首相官邸で会ったことを認める意向を固めた。面会をうかがわせる文書が愛媛県や農林水産省などで見つかり、否定し続けるのは難しいと判断した。与野党が国会招致で合意すれば、答弁で説明する。自民党幹部が明らかにした。

 愛媛県と同県今治市職員、加計学園事務局長らが柳瀬氏と面会したという県職員作成の文書が報じられた4月10日、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」とのコメントを出した。文書では柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとされるが、柳瀬氏は「私が外部の方に対して、首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」と否定した。

 その後、愛媛県の文書とほぼ同じ内容の文書が農水省で見つかり、文部科学省が内閣府から受け取ったメールには、15年4月2日に柳瀬氏と愛媛県や今治市職員、加計学園幹部らが面会する予定と記されていた。

 立憲民主党など野党6党は柳瀬氏の証人喚問を要求し、参考人招致にとどめたい与党と駆け引きが続いている。いずれの方法にせよ国会招致は避けられない状況になり、安倍晋三首相は4月26日、衆院予算委員会で「柳瀬氏は国会に呼ばれれば、しっかりと誠実にお答えする。知っていることをすべて明らかにしてもらいたい」と答弁した。

 柳瀬氏は、面会の有無が国会で問題になった昨年7月、職員らと会った可能性を周辺に認めていたことが明らかになっている。名刺交換しなかったため、記憶がないという。

 自民党幹部は1日、柳瀬氏の4月10日のコメントを踏まえ「愛媛県や今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていないのだろう。学園関係者との面会を認めても、うそをついたことにはならない」と述べ、従来の説明との整合性はとれるという見方を示した。

 しかし、柳瀬氏が加計学園側との面会を認めれば、特区での認定が「加計ありき」だったという疑いはより深まる。野党が会談内容を追及するのは確実で、政府はさらに追い込まれる可能性がある。【村尾哲】

 前の「時事ドットコム」とほぼ同じ内容となっている。軌道修正を〈自民党幹部が明らかにした。〉

 この文言からも、柳瀬唯夫を加えた自民党幹部とのチームワークで軌道修正を図ったことを窺うことができる。勿論、官邸の意向を反映させていない軌道修正などありようはずはないから、官邸の意向に基づいた軌道修正ということになる。

 違う点は、〈柳瀬氏は、面会の有無が国会で問題になった昨年7月、職員らと会った可能性を周辺に認めていたことが明らかになっている。名刺交換しなかったため、記憶がないという。〉

 周辺に会った可能性を認めていながら、〈名刺交換しなかったため、記憶がない〉とする。どういうことなのだろうか。参考人招致の国会答弁では「記憶にない」理由を名刺交換しなかったことに置いてはいなかった。

 但し加計学園事務局長の背後に愛媛県と今治市の職員が控えていたが、名刺交換しなかったために職員だと気づかなかったとすることで次回予定の参考人招致での国会答弁はクリアできることになる。

 自己紹介までしなかったとすることについてはどのような作り事でクリアするのだろうか、見物となる。

 この記事からも、当然と言えば当然だが、柳瀬唯夫を加えた自民党幹部たちのチームは愛媛県職員と今治市職員を名乗らない存在・発言もしなかった存在と扱うことで国会を乗り切る腹づもりでいることを窺うことができる。

 勿論、この腹づもりは官邸の意向を踏まえていなければならない。

 名乗った存在・発言した存在とした場合、話し合って決めた軌道修正は意味を失い、国会を乗り切るための作り事はたちまち破綻してしまう。


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