安倍晋三の桜田義孝任命責任を国民の目から逸らさせる、ここへ来ての東日本大震災関連の発信

2019-04-15 12:16:11 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 ご存知ように桜田義孝オリンピック・パラリンピック担当大臣が2019年4月10日夜、衆議院比例代表東北ブロック選出、岩手県出身自民党の高橋比奈子議員のパーティーで「東京オリンピックは来年でございますんで、世界中の人が日本に来ますんで、岩手県にも行くと思いますんでね。おもてなしの心をもって復興を協力していただければありがたいと思います。そして復興以上に大事なのは高橋さんでございますので」(NHK NEWS WEB)と発言、発言即日、安倍晋三によって辞任の形を取らせた更迭の裁きを受けることになった。

 桜田義孝はこれまでも何回かの失言、担当大臣にふさわしくない幼稚な発言を繰返して、その不適格性が指摘されてきた。2月12日に競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを自身のTwitterで公表、公表を受けた桜田義孝の同じ2月12日の発言、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」は発言の順番から言っても、趣意から言っても、金メダルの獲得数を人命よりも優先させていて、醜悪そのものであった。

 だが、安倍晋三の擁護によって命拾いすることができた。

 そしてとうとう最後にやっちゃったという感じで自爆&自滅の結末を迎えることになって、当然、安倍晋三の任命責任が問われることになる。

 そもそもからして桜田義孝は大臣就任会見で、〈「東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝です」と自己紹介するところを「東京ぱらんぴっく、ぱらぴっく、パラピック競技大会、東京パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝でございます」と3回も間違えた上に「オリンピック」を飛ばして自己紹介した。〉と「Wikipedia」に永久保存されることになっている。

 2018年11月5日の参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫に東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本コンセプトと大会ビジョンを聞かれて、事務方から渡されたメモの間違えた箇所を読み上げ、事務方に注意されて、どうにか答えることができたといった醜態を曝け出している。

 蓮舫は桜田義孝に三つの基本コンセプトと大会ビジョンを聞く前に安倍晋三に「総理、櫻田大臣をなぜオリパラ担当大臣に指名したんですか」と尋ねている。

 安倍晋三「東京オリンピック・パラリンピックに向かって、まさに当時、文部科学副大臣としてしっかりと担当として頑張ってこられた方でございまして、この情熱を再来年に迫ったオリンピック、パラリンピックの成功に生かしていただきたいと、こう思っております」

 要するに安倍晋三は桜田義孝が東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣として適任者だと保証を与えた。この保証はダイヤモンドの鑑定書よりも確かでなければならない。でなければ、総理大臣の価値がなくなる。

 少なくともダイヤモンドの鑑定書より確かであるとの心積りのある保証でなければならないはずだ。

 蓮舫は返す刀で桜田義孝を「御自身でオリパラ担当にふさわしいと考えるのはどこでしょうか」と追及、桜田義孝は「なぜ選ばれたかは私は分かりませんが、それは総理が適材適所と思って選んでいただけたと思って、その選んでいただいた人に、立派に任務を果たすようにしっかりと取り組んでいくつもりでございます」と、国民を対象に任務を果たすべきところを安倍晋三に置き換える答弁。じゃあ、というわけで蓮舫から基本コンセプトと大会ビジョンを問われて、自分では答えることができなかった。

 桜田よしたか政策広報誌「絆 170号」には、〈私は現在、文部省副大臣として、特に学術・スポーツ・東京オリンピック準備の分野で業務をしております。国会だけでなく、日本全国のみならず、世界を飛びまわる日々を過ごしております。〉の記載がある。

 桜田義孝は2013年9月30日に文部科学副大臣に就任、2014年9月4日に退任している。約11カ月間、「学術・スポーツ・東京オリンピック準備の分野」で活動してきた。安倍晋三が「東京オリンピック・パラリンピックに向かって、まさに当時、文部科学副大臣としてしっかりと担当として頑張ってこられた方でございまして」と答弁していることは、桜田義孝のこの自己紹介に当たることになる。

 そして2018年10月2日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣に就任した。約1カ月後の2018年11月5日の参議院予算委員会を迎えて、東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本コンセプトと大会ビジョンに関して自力では答えることができなかった。

 要するに文部科学副大臣就任の間、東京オリンピック・パラリンピックについて何も勉強してこなかった。そのような不勉強、その程度の心掛けしかない桜田義孝に安倍晋三はダイヤモンドの鑑定書に優る閣僚としての保証を与えた。

 この適材適所どころではない見当違いな任命責任は重大であるが、その見当違いが「復興以上に大事なのは高橋さんでございます」の発言によってこれまでにない先鋭な形で曝け出されることになった。

 桜田義孝が4月10日夜の不謹慎な発言で即日辞任し、その翌日の4月11日の午前、安倍晋三は後任について記者団に発言している。「産経ニュース」(2019年04月11日))

 安倍晋三「被災地の皆様に内閣総理大臣として、この発言について深くおわび申し上げたいと思います。任命責任はもとより内閣総理大臣たる私にあります。こうした事態に至ったことにつきまして、国民の皆様におわびを申し上げる次第でございます」

 記者「副大臣と閣僚の辞任が相次いだ」

 安倍晋三「こうした結果となったことについて、内閣全員がより一層身を引き締めていかなければならない。さまざまな批判があることも真摯(しんし)に受け止めなければならない。内閣全体で信頼を回復し、復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」

 「内閣全体で信頼を回復し、復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」と言っている。前段の「内閣全体で信頼を回復」は理解できない発言ではない。だが、後段の「復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」をおかしいと思わないのはまともな感覚とは言えない。

 桜田義孝は東京オリンピック・パラリンピック担当大臣であって、被災地でも競技が行われるということ以外に東日本大震災の復興政策そのものに関係する所管大臣ではない。被災地岩手県盛岡市出身で衆議院比例代表東北ブロック選出の高橋比奈子議員のパーテイの挨拶で「復興以上に大事なのは高橋さんでございます」と見識ゼロの発言をしたのみである。自身の所管ではないにも関わらず足を引っ張って復興政策に何らかの打撃を与えたわけでもない。

 つまり「復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていく」は桜田大臣の不謹慎な不適切発言があろうとなかろうと、あるいは国交副大臣塚田一郎の問題発言があろうとなかろうと、そんなことは他処に置いて安倍晋三のリーダーシップのもと、常に進行形を持たせて執行していなければならない政策課題であるはずだし、そうでなければならない。

 なぜなら、繰返しになるが、この進行形自体は桜田大臣の不適切発言とは関係していないし、塚田一郎国交副大臣が辞任したこととも関係していないし、安倍晋三の桜田義孝や塚田一郎に対する任命責任とも関係していないからだ。

 だが、発言全体がこの進行形の加速を以って任命責任とするニュアンスとなっている。言い換えると、安倍晋三の塚田一郎や桜田義孝に対する任命責任と復興とは何ら関係していないにも関わらず、これら関係のないことを結びつけて、復興に向けた全力傾注を国民の負託だと前面に押し出して、それをダシに任命責任を巧妙にも誤魔化そうとしている。

 この誤魔化しは自身の任命責任を国民の目から逸らさせる作為となる。

 2019年4月12日の参議院本会議で野党側が桜田義孝を「適材適所と擁護し続けてきた」と安倍晋三を追及。対して安倍晋三は「私からも、被災地をはじめ、国民の皆さまにおわび申し上げます。任命責任はもとより、内閣総理大臣たる私にあります。被災地に寄り添いながら、復興に全力を傾けるのは、安倍内閣のゆるぎない方針だ」と答弁したと「FNNPRIME」(2019年4月12日 金曜 午後0:51 )記事が伝えている。

 桜田義孝の被災住民の神経や心情を逆撫でする不謹慎な発言を任命権者として安倍晋三が被災住民に対して謝罪するのは当然であるし、任命責任が自身にあると認めることも当然中の当然である。但し「復興に全力を傾けるのは、安倍内閣のゆるぎない方針だ」とするのは任命責任とは無関係、別物の固定化された政策前提であって、あるいは政策責任であって、にも関わらず任命責任と一続きの文脈に収めるのは復興への全力傾注を以って任命責任とする意図を持たせているからに他ならない。

 でなければ、任命責任について別の発言がなければならないが、全て復興への加速を約束する発言と結びつけている。

 そして4月14日の日曜日、安倍晋三は原発被災地福島を訪問している。これは前々から予定していた行動であろう。福島では第1原発の視察、大熊町役場新庁舎開庁式でのテープカット、原発事故の際、一時閉鎖されて国管理の原発事故対応拠点となっていたが、2018年9月8日に全面復旧の形を取り、2020年3月には復興五輪聖火リレーのスタート地点となるJヴィレッジを訪問したりしている。

 「首相官邸サイト」(2019年年4月14日)

 安倍晋三「廃炉に向けて、多くの課題があります。これから正に正念場を迎えなければなりません。今後も廃炉汚染水対策について、国が前面に立って、取組を進めてまいります。廃炉作業の前線基地であったJヴィレッジは近く全面再開します。今日もサッカーを楽しむ中学生高校生の笑顔があふれていました。

 来年の3月には、そのJヴィレッジから復興五輪の聖火リレーがスタートします。その際、私も訪問して、福島の皆さんと共に、復興五輪の開幕を、そして復興が進んでいる福島の姿を世界に発信をしたいと、こう思っています」(一部抜粋)

 「復興が進んでいる福島の姿を世界に発信をしたい」と復興の進捗を請け合っている。だが、復興の基本はそこに住む人間の数である。立派な高速道路や公共施設を復興させたとしても、人の数が少なければ、復興の持続性が限られることになる。
 
 「住民基本台帳人口移動報告2018年結果」(総務省統計局/2019年1月)

 〈2018年の岩手県,宮城県及び福島県の転出超過数の合計は,1万4541人となり,前年に比べ523人の拡大となっている。男女別にみると,男性は6627人,女性は914人の転出超過となっており,前年に比べ男性は196人の縮小,女性は719人の拡大となっている。県別にみると,岩手県,宮城県及び福島県の3県全てで転出超過となっており,転出超過数は前年に比べ,福島県は554人の縮小,岩手県は639人,宮城県は438人の拡大となっている。〉

 転出数に関して一部縮小はあるが、8年も経過していながら、転出超過であることに変わりはない。特に福島県は2017年から554人減っているものの、2018年は7841人の転出超過となっている。

 2019年3月9日付「時事ドットコム」/ 14時50分)記事は、〈2017年3月に避難指示が解除された川俣町山木屋地区では、昨年4月から小中学校が再開したが、小学生は6年の児童5人だけ。今年の新入生もおらず、4月から休校する見通しだ。住民の帰還率は約4割だが、60代以上が4分の3を占め、「子育て世代は避難先の学校で子供の友人関係ができたり、家を新たに建てたりして生活基盤を移している」(町教育委員会)という。〉と人口減少を伝え、更に、〈小中学生合わせて79人となった飯舘村では、教材や給食など教育関連費用は全て村が負担する。近隣自治体から通う子供もおり、送迎のスクールバス12台の運営費は年間約6500万円に上る。「村で育てば、将来何らかの形で貢献してくれるのでは」(村教委)との期待から、故郷への愛着を育てる「ふるさと学習」に多くの時間を取っている。〉と被災自治体が人口減少に四苦八苦している姿を映し出している。

 人口減少の上に少子高齢化では真の復興とは言えない。

 そもそもからして安倍内閣は2012年12月26日閣議決定の「基本方針」で、〈まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、東日本大震災からの復興を加速する。国自身が被災地の現場に出て、単なる「最低限の生活再建」にとどまることなく、創造と可能性の地としての「新しい東北」をつくりあげる。〉と大々的に謳った。

 この基本方針に添って、安倍晋三は2012年12月26日の「首相就任演説」で、「閣僚全員が復興大臣であるという意識を共有し、あらゆる政策を総動員してまいります。これにより、単なる最低限の生活再建にとどまらず、創造と可能性の地としての新しい東北をつくり上げてまいります」大々的に公約している。

 2018年10月24日の「197回国会所信表明演説」でも、「東北の復興なくして、日本の再生なし。この決意の下に、『創造と可能性の地』としての東北を創り上げてまいります」と力強く謳い上げている。
 
 人口減少が復興の足を引っ張りかねない状況を改善できないままに単に原状回復の復興ではなく、恒久性を持って人が集まる「創造と可能性の地としての『新しい東北』」の姿を被災3県の住民のみならず、日本国民にチラとでも垣間見せることができているのだろうか。原状回復もままならないではないか。

 桜田義孝等に対する任命責任から国民の目を逸らさせる目的で復興への全力傾注を持ち出し、当然、福島訪問の発言もその延長としての姿を自ずと纏うことになる。本にがいくら否定しようとも、ここへ来ての東日本大震災関連の数々の発信であろう。

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