JNN世論調査アルジェリア人質事件「評価」65%、中国レーダー照射「評価」80%にケチをつける

2013-02-12 10:18:57 | Weblog

 TBS「JNN世論調査」の結果にケチをつけつつ、模擬国会質疑を試みて、中国レーダー照射首相官邸の情報隠蔽と情報操作を改めて浮かび上がらせてみようと思う。

 今月の、と言っても2月1日から2月10日までの間のことだろうが、JNN世論調査で安倍内閣の支持率が先月比+9.2ポイントの76.1%と大幅に増えたと昨日のニュースで伝えていた。

 「支持できない」は22.9%。私は少数派の一人となった。だが、少数派である自分を褒めてあげたい。

 内閣支持の内訳として、アルジェリア人質事件対応に関して「評価できる」が65%、中国海軍射撃管制レーダー照射対応に関して「評価できる」が80%と、その指導力を高く買っている。

 しかし私自身はアルジェリア人質事件は単に、安倍首相を筆頭に安倍政権は「人命優先」を言っていただけで、アルジェリア政府の「テロとは交渉せず」の制圧優先に何ら影響を与えることができなかったばかりか、邦人人質の犠牲者が出たあと、人命優先がホンモノなら、その犠牲が制圧が優先された不条理の結果だと何らかの抗議の形で世界に向けて発信してよさそうなものだったが、そういった配慮を経ずに自衛隊法改正による武器使用基準の緩和だとか、邦人保護策だとかに関心を移していった。

 日本人の犠牲者が出たあと、直ちに首相官邸を始めとして国の施設すべての日章旗を半旗とすることによって、人命優先が軽視されたことの抗議の意思を世界に発信できたはずだが、そうすることすら思いつかなかった。

 世界に発信することによって、日本政府の人命優先第一の姿勢を刻印できたはずだ。

 1月23日日揮本社が半旗を掲げたのは、あくまでも社として犠牲者を追悼する意味であって、政府が菅官房長官の会見室の日章旗の頭の金色のガラス玉を黒布で覆い、そこから長さ1メートル前後の幅の狭い黒い布を垂らしたのは弔(とむら)いの意味の弔旗としてであって、人命優先を発信する何ものでもなかった。

 テレビ映像で見たことだが、同じ日の首相官邸建物前のポールに掲げられた日章旗は弔旗になってもいなければ半旗にもなっていないまま、当たり前のように掲揚され、当たり前のように垂れ下がっていた。

 安倍晋三は口で言うだけで、首相官邸としては日本人テロ犠牲者に対する人命優先に関わる何らの不条理も発信しなかった。

 あれ程「人命優先」を言い続けたのである。だが、結果を導き出すことができずに10人もの日本人の犠牲者を出した。半旗という方法ではなくても、テロ制圧が優先されたことによる人命優先軽視の不条理を何らかの形で抗議の意思を世界に向けて発信してよさそうなものだったが、人命優先の結果が既に出てしまって、すべてが終わってしまったということなのか、取り立てて何もしなかった。

 にも関わらず、アルジェリア人質事件対応が「評価できる」が65%と国民から高い支持を得ている。

 次に中国海軍射撃管制レーダー照射対応に関して「評価できる」が80%を見てみる。

 この件に関して既にブログで2回に亘って安倍首相は情報隠蔽と情報操作を行ったのではないかと疑う記事を書いた。

 改めて照射の経緯を記してみる。 

 1月19日、中国海軍艦艇からの対海自ヘリレーダー照射を疑い、発生当日に安倍晋三首相と防衛相に一報。

 この時点で公表しなかった理由。

 小野寺防衛相「証拠がしっかり国際的にも表明できる内容になるか不安があった」

 1月21日、防衛省運用企画局がデーターを解析、「中国側のレーダー照射であるとの確証は得られなかった」として、防衛相に改めて報告。

 小野寺防衛相「しっかりとした明確な違反が確認されたことをもって対応したい(明確な違反が確認された場合にのみ、防衛相に報告するように)」と防衛省に指示。(2月7日衆院予算委答弁)

 1月30日、中国海軍艦艇から海上自衛隊護衛艦に射撃用レーダー照射の疑い。

 この疑いの事実を以って、疑いの段階であるから、1月19日照射の時のように発生当日に小野寺防衛相に報告することはしなかった。当然、小野寺防衛相も首相官邸に報告はしない。

 2月5日(1月30日照射から6日後)小野寺防衛相、防衛省運用企画局から、レーダー照射であったと報告を受け取る。

 同日2月5日夜、小野寺防衛相、緊急記者会見を開いて、公表。

 2月7日衆院予算委答弁。

 安倍首相「事務方がより慎重になり、私のところに(情報が)上がってくるのが遅くなった。今後は未確認でも私や防衛相に上がるようにする」

 模擬国会質疑――

 質問「1月19日の中国艦船から自衛隊ヘリコプターへの射撃管制レーダー照射が疑われた件についてお尋ねします。ヘリコプター搭乗員自身はヘリコプター搭載の電波探知装置(ESM)によってレーダー照射を感知したわけですね」

 答弁「感知しました」

 質問「感知したけれども、その場で実際に照射があったのかどうか判断できないので、電波探知装置が記録したデーターを防衛省運用企画局に持ち込んで、データーの解析をお願いした」

 答弁「そういういうことでございます。防衛省運用企画局がデーターを解析した結果、中国側のレーダー照射であるとの確証は得られなかったとの報告を受けました」

 質問「要するにESMと呼ばれる電波探知装置は射撃管制レーダー照射に関しては、その程度の能力、その程度の精度しか期待できない、事実照射があったかどうかは解析に回して、確認しなければならないということになりますが」

 答弁「そういうことになります」

 質問「自衛艦の電波探知装置はレーダー照射を感知して、自衛艦は回避行動を取ったということですが、実際に照射されたか確認できないままに回避行動を取ったことになりますが」

 答弁「そういうことになります」

 質問「有事の際、あるいは突発的に予期しない有事が生じた場合、自衛のためであってもレーダー照射に対して反撃できない、できるのは回避行動だけということになりますが」

 答弁「そういうことになります」

 質問「相手が実際に攻撃の意志があった場合、レーダーを照射するということはミサイル等の発射がいつでもできる状態にした上で次の段階として行なう行為であるから、電波探知装置がレーダー照射を感知した時点から回避行動に移っても、攻撃を受けずに回避は成功するのですか」

 答弁「回避行動は対抗電波の発信やアルミ片の散布で防御措置を取りながら行います。回避行動の全てが成功しないとは限りません」

 質問「要するに電波探知装置は射撃管制レーダーを照射された場合、実際に照射されたかどうか確認の解析に何日か必要する関係から、回避行動にしか役に立たないということですね。自衛のためでも下手に反撃して、解析の結果、1月19日の自衛隊ヘリコプターの場合のように実際には照射の確証は得られなかったという事案が生じる危険性も考慮しなければならないからです」

 答弁「そういうことになります」

 質問「但し、1月19日も1月30日も実際には攻撃は受けずに終わったとしても、また、照射の事実の確証には時間が必要であるということを前提としても、電波探知装置が一応照射の疑いを感知した以上、危機管理上、攻撃の可能性を考慮してもいい重大事案であることに変わりはないと思いますが、その点はどうです」

 答弁「レーダーが照射された際、中国艦船からミサイルなどが日本の護衛艦に向けられる動きはありませんでしたから、回避行動を取るだけで十分であったと思います」

 質問「しかし中国艦船がどういった態勢でレーダーを照射したか、その事実は、照射の事実確認の解析に日数を必要とすることとは別に逐一防衛相に情報として報告し、同じく防衛相が逐一首相官邸に情報として報告すべきではなかったのですか。事実を情報として把握することによって、把握した時点から危機管理上の対応策を対策できるのであって、事実確認の解析を待ってからでは、解析にかかった日数分、対応策に遅れが出ることになる」

 答弁「そういうことになります」

 質問「小野寺防衛相が即日報告ではなく、『しっかりとした明確な違反が確認されたことをもって対応したい』と言って、解析の結果、照射が事実確認できてから、防衛相に報告するようにしたということは、危機管理上、過失があったとは言えませんか」

 答弁「今後は照射を受けた時点で、即日報告するような体制に持っていきます」

 質問「今後のことはそうすることが当然だが、なぜ最初から即日報告の危機管理意識を持つことができなかったのか、判断の過失がなかったかどうか、その有無を問うているのです」

 答弁「過ちがあったと認めざるを得ません」

 質問「実際には防衛相に報告があり、防衛相は首相官邸に報告を上げた。だが、中国との間で首脳会談を予定している都合上、中国を刺激して首脳会談が立ち消えになることや、良好な方向に向かう気配のある中国との関係が悪化するのを恐れて、なかったこととして情報隠蔽を図ったということはありませんか」

 答弁「そういった事実は一切ありません」

 質問「ところが2月4日午前9時半頃から、中国海洋監視船2隻が午後11時半過ぎまで14時間に亘って日本の領海内を航行するに及んで、これ以上中国の無法を我が物顔に横行させるわけにはいかないと、翌日照射事案を公表することにした手前、公表せずに報告の事実を隠していた情報隠蔽の露見を回避し、同時に、なぜそれまで公表しなかったのか、その不手際を追及された場合の危機管理として、照射の事実確証の解析に時間がかかった、事実確証後に報告することとしたといった情報操作をやらかしたのではありませんか」 

 答弁「そういった事実は一切ありません」

 質問「要するに照射の確証の解析に日数がかかるとしても、電波探知装置がレーダー照射を感知した事実だけでは重大事案だと受け止めるだけの危機管理意識を欠いていた、そのことだけが問題だったというわけですか」

 答弁「そのとおりです」

 質問「軍事面の指揮によって国土防衛と国民の生命・財産を守る任に当っている防衛相として危機管理意識を欠いていたということは指揮官としての資格と、その人事に与った首相の任命責任が問われることになると思いますが」

 答弁「・・・・・・」

 責任を認めはしないだろう。

 答弁の全てを事実だと信じるに値するだろうか。

 自衛隊護衛艦に対する中国艦船射撃管制レーダー照射を電波探知装置が感知した。例えそれがその場で照射の確証を得ることができず、日数をかけた解析を待たなければ確証に至らないとしても、照射の事実を確証する場合もあるのだから、感知した時点で、その事実を即日報告し、情報としなければならなかったはずだ。

 解析の結果、照射の確証を得た。照射の時点に遡って危機管理上の対応策を打ったとしても常に間に合うという保証はあるまい。

 もし情報隠蔽も情報操作もなかったが事実とすると、即日報告の危機管理対応を取るべきが危機管理意識の欠如から取らなかったことになる。

 これは重大な過失に入るはずだ。安倍首相官邸と小野寺防衛相が危機管理上重大な過失を犯したことになる。

 もし即日報告の危機管理対応を取っていたとしたら、情報隠蔽と情報操作を行なって対中危機管理が後手に回ったか、いずれかになる。

 だが、国民の多くがこういった疑いを抱かず、安倍首相の中国レーダー照射に対する対応に80%もの評価を与えている。

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