A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

NO1.Panoram Kodak Model A (1900)

2008年04月17日 | イカすパノラマ天国
レンズ回転式のパノラマ・カメラ、NO1.パノラム・コダックを入手した。
なんと19世紀末に作られたカメラである。何故このカメラが気になったかというと、むろんスデクのマネマネである。
あの1:3の横長の写真に妙に惹かれるものだから、こういうことに至った次第。
元々はNO105フィルムに、112度、60mmX178mmの画像を写す規格だが、現在の120ブローニーフィルムで代用でき、4枚が撮れる。
入手したカメラは、軽くて小さな、オルゴールのような木函である。100年前のものとは思えないくらいキレイで、使用感が少なく、イヤな皮の匂いは全くしない。それと驚いたのは、皮ケースがモダンでかっこいいことだ。アマチュア用で、10ドルの廉価な大衆機であったとは信じられない。
実際にどういう写真が撮れるのかは、今後のお楽しみ。とはいうものの、レンズの焦点距離、F値が分からない。100mm/F6.3くらいかなと推測しているのだが、正確な所は知らない。それとシャッター速度(=レンズの回転速度)は、slowとfastの2速が選択できるのだが、このシャッター速度がいくつかも分からないのだ。グレー・カードと露出計を使って調べれば、解が出て来る理屈ではある。しかし、まずは撮ってみたい。どんな写真が出て来るやら。レンズがヘタっているかもしれないのだ。
この勢いで、スデクが使っていた、NO4.Panoram Kodak Model D(当時20ドル)も、eBayでゲットした。完動品かどうか、不明なところがあるが、落札価格は181ドルと、意外に安い。こちらはNO103フィルム(89mmX305mm、画角142度)で、11X14インチのフィルムから3枚ずつ切り出せば使える。順次試して行くつもり。

4月16日は、2年前に亡くなったフォークシンガー高田渡の命日。5月に映画「タカダワタル的」の続編の「タカダワタル的 ゼロ」がテアトル新宿で封切られる予定。

「消逝的老街」~上海パノラマ

2008年04月11日 | イカすパノラマ天国
上海在住の海原修平さんの写真集「消逝的老街」をsatoboさんに仲介になっていただいて入手した。
日本国内では、海原さんはこのシリーズの写真展を開いていないし、写真集も上海でしか発売されていないので、この本は、まぼろしの写真集だった。
スイングレンズ式パノラマカメラで、上海の街と路上の人々をスナップした100枚のパノラマ写真である。「消逝的老街」というのは、字ズラから想像するに、「消え去って行く古い上海の街」という意味であろうか。「逝」という字が日本語入力から出て来ない。
スデクの「プラハ・パノラマ」が好きでよく見返しているのだが、似ているところと、似てない所がある。スデクの写真集では、プラハの森のスカイライン、湧き立つ雲がしばしば登場し、パノラマ写真は、それがとても美しく効果的なフォーマットなのだが、海原さんの写真にそれらはほぼない。空は切り取って排除されており、上海の街角を折り曲げて、そのディテールを掬い撮るように写し取っている。写り込んだ人々は、自分が写されているのを知らず、別々のドラマと時間を生きている。ふたつか三つの視点が生じている。
スデクはいわばマニエリスム的であり、海原さんは、中心点を2つ持つ楕円軌道の視点であるといえるかもしれない。パノラマ写真の方法も、決して単一ではありえない。被写体との距離をどのへんに決めるかを常に意識させられるフォーマットと云えるかも。
カメラは何なのだろうか。縦横比がスデクの1:3に近い感じに見える。自分の感覚だとこの1:3というプロポーションが重要だ。中判パノラマカメラだと、1:2.5くらいになって横が短縮されるのだが、それがちょっと生理的に引っかかる。
写真集には上海の町中の音を録音した音源のCDが付録で付いている。
どうも海原さんは同郷の先輩らしい。

NO1.Panoram Kodak(1900)を入手した。(スデクはNO4の型)