A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

奥州津軽十三湊5

2010年12月30日 | 35mm
前潟の水路へ続く道。地吹雪で立っていられない。
大きな息がつけないので、小さくハアハア頻呼吸しながら歩く。
集落は十三湖の出口の1.5kmくらいの砂州に沿って広がっていて、前潟から後潟へは歩いてすぐ行き来できる。
500mくらいの距離だ。
現在約800人の居住者がいるという。
厳しい自然の支配するこの北方ラグーンもこれを故郷とする人たちがいるわけだ。

十三湊の領主安藤氏は前九年の役の敗者、安倍貞任を先祖に奉じているのが気にかかる。
反中央の土豪という気味を帯びた一族ということになるが、ちょっと驚いたのは、同じく海民の肥前松浦党も出自に安倍氏が関係していことだ。
松浦党の祖が、北九州に配流された安倍貞任の子を婿に迎え入れて、その血を引いているのである。
南北のはじっこの海民がどちらも同じ血を主張していることになる。
中世の海の交通は、記録が残らず、われわれの想像を超えているところがあるので、いろんな可能性を考えて、ちょっとワクワクする話だ。