A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

本郷台地のショートカット3

2005年11月29日 | 街の底で
 おなじみのお茶の水駅の風景。
 神田川は、ここに至って、突然という感じで、深い渓谷となる。見慣れているから、そうは思わないだけで、四国の大歩危、小歩危のごとくの深山幽谷である。それが東京の真ん真ん中に存在しているわけだ。
 これが実は徳川普請により人工的に開削された外堀であることはご存じのとおり。外堀は、多くは本来の谷や川を利用してできているが、このあたりでは、湯島から駿河台へ続く本郷台地の舌先を、強く自然に抗う形でショートカットしている。当時の土木技術もなかなかたいしたものだ。
 聖橋に立つとプラットホームの全体が見渡せ、列車が上下にうまく交差しつつ行き交う様子はやはり心惹かれる。いつも思うのは下の水辺に降りられないのが残念ということである。

Biogon 25mm/F2.8 

東上野3

2005年11月27日 | 街の底で
 晴れて暖かい一日。しかし暗くなるのは早い。
 GRDを故障修理に出し、手元にないので、GR1vを持ち出して東上野を歩いた。上野小学校の隣に、法善寺という寺があって、ここに「江戸名所図会」、「武江年表」をまとめた、斉藤月芩の墓があることを知ったからだ。

 思うに、GRDはあそこまで小さくする必要はなかったのではないか。
 リトラクタブル・レンズは、カメラを薄くするために採用されたのであろうが、長期的に見て、こういう故障、片ボケの原因になるような機構を組み込むよりは、GR21のように完全に沈胴しなくてもいいから、偏心性を排除した高レンズ性能と堅牢性のみを追求したカメラにしてもらいたかった。
 今回のGRDで分かったことは、コンデジでは、カメラは非常に小さくできるが、レンズ長の短縮は、周辺部の光路の垂直入光を良好に保とうとすれば、限界があるということだ。
 APSサイズCCDでは、一眼レフくらいのレンズの大きさが必要となるので、現状では大型撮像素子でのコンデジは不可能ということになる。

 八重洲ブックセンターで、「武江年表、上、中」を購入。「江戸名所図会」の欠巻も欲しかったのだが、題名を告げただけで、店員は即座に「出版元にも在庫がありません。絶版になってるんです。」という返答。他にも求めに来る客が少なくないということだ。「武江年表」は、拾い読みしていると、あきない本である。

GR1v

東上野2

2005年11月27日 | 街の底で
 うまく撮れなかった写真の弁解をしてもしょうがなのだけれど、奥手のハングル語の看板のあるモダンなビルの二階に、通りを見下ろすように母娘が佇んでいて、はっとするような美しさであった。おだやかな横顔の母親が小さな女の子の紙を触っているのが、窓から覗いて見えた。何か官能的な光景であった。

GR1v