A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

古利根沼

2010年11月07日 | 35mm



古利根沼は、今は三日月湖の形をしている。
かつてここが本流であった時代には、東半の内弧に沿って小堀河岸の集落があった。
外弧の東半は、今は台地の上に自然公園の森が広がっているが、中世の河村氏の芝原城跡と言われている。
言い伝えに寄れば、元は相模の豪族で、主家の後北条氏と運命をともにし、落城した一族であったらしい。
外弧の屈曲部はたびたび出水による崖の崩落に悩まされたポイントであり、波除不動尊が祀られていた。
取手市と我孫子市の境は、利根川で区切られているが、この地区だけが利根川を外れて、古利根沼の真ん中に市境があるという奇妙なことになっている。
岸には釣り船が繋留され、釣り人と釣果のお裾分けにあずかる猫を所々で見かけた。
発達した生け垣に囲まれた道が続き、猫たちは自由奔放に暮らしているように見える。
猫がわがもの顔に歩いている集落には、猫時間が流れている。
九匹の猫を飼っている家もあって、港町でもないのに、ちょっとした猫集落になっているのは、不思議な感じがした。
小堀集落は、過去に水運で賑わい、今は両側を水で囲まれた陸の孤島になっているわけだが、その結果、閉じた心地よい集落が形成された故であろうか。