A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

国会議事堂

2006年02月27日 | 街の底で
 国会議事堂を見る度に思うのは、その特徴的な尖った屋根が、ニコンFのトップ・カバーのように見えるということだ。
 しかし、実は最初の設計がそうでなかったことを、秋庭俊の本で知った。もともと国会議事堂の設計は大正期の公募によるものであったが、一等となった渡辺福三の透視図を見ると、左右の両議院の部分はほぼ現在と同じであるが、中央のホールは倍くらい高く、かつ丸屋根のドームであったのだ。
 おそらくこのドーム型の天井の方が美しいバランスを保っている。階段状ピラミッドというデザインは、世界各地で多くの独裁者の墓所にも使われているように、いわば死のイメージと結びついているからだ。
 しかしながら渡辺の設計は、異様なことに、「一等不採用」とされ、臨時議院建築局により再設計しなおされた。その結果、昭和11年に竣工した時には、国会議事堂の屋根は三角となっていた。時局柄、空襲の際の防空構造という意味合いがあったとされている。
 渡辺福三という人物も、住所が陸軍省関係の建物内になっていたりして特定ができない。実在しない人物である可能性が高く、その場合は、戦前の政府ないし陸軍の陰謀が隠蔽されているわけである。
 
「帝都東京・隠された地下網の秘密」秋庭俊著、新潮文庫