A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

NHKアーカイブズ

2006年10月07日 | 越中八尾 おわら風の盆
 埼玉県の西川口にNHKアーカイブズがあることを知って出かけてみた。JRの駅から少し遠いので、バスかタクシーを利用する必要があるが、公立図書館に入るように、簡単な手続きで入館できる。見たい放送番組を、検索して、2時間以内で自由に視聴することができる。わたしが観たかったのは、次の2本だった。

 1. 新日本紀行「おわら風の盆~富山県八尾町~」1976
 2. 「越中おわら風の盆」1988

 後者は、1988年9月4日の明け方の諏訪町の町流しの映像。夜が白んで来る4:30~5:30の間、衛星生中継を行い、その映像に、高橋治原作の「風の盆恋歌」の朗読ドラマをかぶせている。1988年と去年の再放送で観ているが、ビデオ撮影で、画像がシャープなため、18年前のものという感じがしない。

 今回感銘を受けたのは、むしろ1976年の新日本紀行の方だった。鏡町のある一家と廃業したばかりの料亭の女将さんに焦点が当てられていて、町の風景がたくさん写っている。30年前は、まだ土蔵造りの建物が多く残っており、エンナカにもフタがなくて、水の流れが通りから見える。風の盆の日には、たくさんの横断幕が通りにかかっているのが、今と全く変わっている。目障りということで、後年、横断幕は取り払われたのだろうが、今見ると、それはそれでちょっとおもしろい風景である。観光客は非常に少ない。特に夜明けの通りを俯瞰で映すショットでは、地方衆の周りに誰もいなかった。
 踊り手の女性達はわたしの姉くらいの世代ということになり、地方衆はその親の世代ということになる。1970年代の人の顔と表情、女性の髪型、服装である。親の夢、子の夢。北井一夫さんの「1970年代NIPPON」という写真集を思い出した。
 16mmフィルムの撮影は、解像感では今のハイビジョンなどに及ぶものではないし、時間が刻んだフィルムの劣化が見て取れる。しかしむしろ、その方が好ましく、背景のボケや、粒状感、高すぎない彩度、24fpsの時間の流れなどの、すべてが好ましい。やはりフィルムはいいなあと思った。

NHKアーカイブズ http://www.nhk.or.jp/nhk-archives/home.html