バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

思わず泣きそうになった…

2011年09月04日 20時40分28秒 | バス運転士

今日の私の勤務は“車線変更バリバリ路線”の始発からだった。そして、その3回目の往路のあるバス停を発車してすぐに… 「バキャ~ン!」と凄い音がした。何事かと思って左側をみると、左ミラーが根こそぎ御臨終… すぐにバスを止めて、6名の乗客にお詫びをして、営業所へ電話をした。

その後、バスを降りて“ミラーの相手”を探しに行くと、街路樹の皮がザックリと削られていた… その時は激しい強風雨だったので、私はすぐにバスへ戻り、再び「お急ぎのところ、本当に申し訳ございません」と謝罪した。乗客は女性4名と子供2名… 女性たちからは「大変だねぇ…」「木に当たったの?」と言われ、怒りの“イの字”も感じられなかった。

原因は、完全なる私のボーンヘッド… というよりも、私が知らず知らずのうちに“いつも通り何もなく安全という幻想”を抱いてしまい、発車時に左前方(特に目線よりも高い位置)を見なくなっていたのである。これまで接触事故にならなかったのは、ただ運が良かっただけ… きっとギリギリで通過していたのだろう…(営業所へ戻ってから見せてもらったドライブレコーダーの映像によって、自分の確認行動の不十分さを思い知らされた)

さて、私は「代行のバスよりも、後発のバスが先に来るかもしれない」と思って再びバスを降りた。そして、ミラーの破片などを拾いながらバスの到着を待っていた… そこへ、一人の女性がバスを降りてきて「10時半に行かなきゃならないところがあって…」と言ったので、私は「本当に申し訳ございません」と頭を下げた。

すると、その女性は私に傘を差し掛けながら「いえいえ… それにしても大変だったわねぇ… 罰金とか何かあるの?」と、自分のことよりも私の心配をしてくれた。私は「もっと責められなければいけないのに… こんな言葉を掛けてもらっていいのか!?」と思って泣きそうになった。

その女性と一緒にタクシーが来ないかどうか探していると、さらに別の女性もバスを降りてきたので、私は「本当に申し訳ございません」と謝罪した。すると、その女性も「こういうことはあるものだから… それよりも、もうすぐ次のバスが来るでしょ? だから、バス停で待ってようと思って…」と言っただけで、まったく責められなかった。私は自分の気持ちの置き場所が分からなくなってしまった…

その後、上司二人がやって来て、代行バスがやって来て、修理のために整備の人がやって来て… 上司と共に警察署へ行って… 営業所で改めて上司と“面談”をして… 報告書と反省文を提出して… 今日は、本当に多くの人に迷惑を掛けてしまった。そして、会社に与えた損害は“ミラーの修理代”だけでなく、それ以外にも様々な出費が伴うと思う。

言うまでもなく反省はしている。が、それと同時に「自分の中の“いつも通り何もなく安全という幻想”を、今後も拭い去れないのではないか? 再びやってしまうのではないか?」という不安がつきまとう。まずは“手抜き”となっていた左側の確認をやることから… 最近、ただでさえ「遅い」と言われたのに、今後はさらに遅くなることがあるかもしれない。本当に申し訳ない…