バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

駆け込み乗車… “鏡と鑑”

2011年09月28日 21時21分48秒 | バス運転士

某駅を出てすぐに信号につかまり… 約2分遅れで最初のバス停へ向かっていた。すると、左側の歩道を必死こいて走っているスーツ姿の男性を発見した。この某駅発のバスに乗り遅れた人が、最初のバス停まで走ってきて乗ることがある… 以前、そんな話を聞いたことがある。

私はバスの速度を5km/hくらい落として様子を見ていたのだが、こちらを振り返ることなく必死に走り続けていた。ちょっと迷ったけれど… もうすぐバス停だったので、私はバスを止めて待つことにした。すると、やはり乗ってきたのだが…

バスが満員というわけでもないのに、なぜか通路の最前部に立ったまま… 私が車内の安全確認をしようとミラーを見るたびに、彼の大きな顔が真ん中にドォ~ンと映っていて… あぁ、これが女優さんみたいな美女だったら、目と目が合っても嬉しいんだけど… ねぇ…

また、あるバス停に接近中… 道路の反対側(右側)の歩道から、今にも車道へ歩き出そうとしている二人のお婆さんがいた。そして、私に対して「そのバスに乗りたぁ~い!」と言わんばかりにアピールしていた。

バスの降車ランプが点灯していたので、私は100mくらい先のバス停で止まって両方の扉を開けた。待つこと十秒、二十秒… 1人目のお婆さんが「ありがとう」と言いながら乗って、その数秒後に2人目のお婆さんが「※○☆□△…」と息を切らしながら乗って…

その時、お婆さんは扉につかまったまま、ガックリと右ひざをついてしまったのである。私が「大丈夫ですか? 一生懸命、走って来られたから…」と声を掛けると、お婆さんは笑いながら「いやぁ… すいぃ… ませぇ…」と息も整わないまま頭を下げていた。いやいや、そこまで必死に走ってもらって… その姿を見せてやりたい人間がたくさんいるなぁ…