バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

二度ならず三度までも…

2012年11月30日 23時49分38秒 | バス運転士

すっかり暗くなった夕方の営業所前ターミナルで、一組の老夫婦が乗ってきた。その時、お婆さんがお爺さんに「これ35分だから…」と言っていたので、私は「いや、34分発なんだけど… まぁ、単なる勘違いだろうし、細かいこと言わんでも…」と思った。

が、すぐに「まさか… この乗り場から35分発のバスがあるのか!? 乗り間違えだったりして!?」と不安になったので、「あのぉ… このバスは34分なんですけど… ○○行きでよろしいんですかねぇ?」と聞いてみた。

すると、お婆さんが「えっ!? △△は通りますよね? でも35分じゃないの? ちゃんと調べてきたんだけど… (と言いながら時刻表を印刷したと思われる紙を取り出して)あら、この次の… そこが35分なのね。あぁ~良かった。今度からは気を付けなきゃ!」と言った。

発車時刻になり… 私は「発車します」と言ってから、すぐ後ろで待ってくれているバスを気にしながらハンドルを右へ切りつつブ~ンと… その時! お爺さんが席を立って移動… 私は「おいおい!」と思いながらアクセルペダルを踏んでいる足の力を緩めた。

お爺さんが無事に座席移動を完了するのを見届けてから、再びアクセルペダルを踏んでブ~ンと加速… そこでお婆さんがお爺さんに「変な時に立つと怒られるわよ!」と注意してくれた。

私は「この老夫婦は△△で降りるのだろう」と思っていたのだが、△△で時間調整停車している間も、お婆さんがず~っと喋り続けていて降りなかったので、「もっと先の某大手ショッピングモールへ食事にでも行くのかな?」と思った。

次のバス停で一人乗り、その次のバス停を「通過します」と言って通過して… すぐに赤信号待ちの車列の最後尾で止まった。すると、喋り続けていたお婆さんが急に席を立って「あっ… ◆◆停!? えっ!? ※▼×☆◎…」と言い始めたのである。

私が「ひょっとしてココですか?」と尋ねながら中扉を開けると、お婆さんは「すいません、ココで降ります。ご迷惑お掛けしました」と言いながら、お爺さんと一緒に降りて行った… しかしまぁ… 二度も三度も私の心を乱してくれて… お陰様でブログのネタになりましたよ。ありがとうございましたぁ~!


隗より始めよ

2012年11月29日 17時48分56秒 | バス運転士

「先日も“○○営業所のバスだがやぁ~!”という苦情の電話がありました。1日からバスの後ろに名札を貼ってもらいますが、これからは苦情の電話も名指しで来ます。苦情をもらわないようにお願いします」というようなことを始業点呼で言われた。まぁ、そうだろうな…

この“ケツふだ(バスのお尻に付ける名札)”について、「他の(委託元の)営業所の運転士に名前を覚えられるから…」と言う運転士がいた。確かに… 「この松井はぁ~、いつも鈍臭い運転しやがってぇ~!」って言われるようになるかもしれないな。ハハハ…

また“街で見かけた変なバス運転士”というようなタイトルで、ネットに実名で「松井がバス停以外の場所で乗客を降ろしとった!」「松井が昼間なのにハイビームで走っとった!」「松井が信号待ちでアクビをしとった!」などの書き込みをされる可能性が… さらに、それがキッカケとなって“不測の事態”を招いたりして…

上の方からは「バス停から無理な発進などせずに、ゆっくり走ればいい。遅れたらお詫びすればいい」などと言われるだろうが… 各バス停に分刻みの時刻が決められている以上、気にするなと言われても無理な話で… 実際、2~3分遅れで睨み付けられることもあるんだし… これはもう、周囲からの苦情の前に“運転士にとって大変な苦痛”である。

ということで、上の方の人間もマイカーの後ろに“××バス会社△△部長 苦痛与ヱ太郎(仮名)”って、名札を貼ってみることをお勧めする。そうすれば、多少は人の気持ちが理解できるだろうに… もしもやってくれたら、私は後ろだけじゃなくて前にも右にも左にも名札を付けちゃうんだけどなぁ~!

それも「超低性能直列単細胞」「49歳、独身部族」「360度のヘソ曲がり」「××バス会社の粗大ごみ」などのキャッチフレーズ付きでね。ハハハ…


最近“敬老の日”が多いような…

2012年11月28日 22時14分41秒 | バス運転士

営業所前のバスターミナルで数名の乗車があり、2分ほどの発車時刻待ち… あと30秒… 「そろそろ車内案内を始めるか」と思った時、けたたましい携帯の着信音が響き渡った。

すると1人のお婆さんが「あ、きっと▲▲さんからだよ」と、携帯の持ち主である仲間のお婆さんに言った。数秒後、携帯の主は電話に出たのだが、これがまた甲高くて大きな声で… それでも私は、いつものように“様子を見る”ことにした。

が、会話が終わりそうで終わらない… 「じゃあね」とか言っておきながら、「そうそう」と言って会話が続くという展開… 結局、注意するタイミングを逃したまま時は過ぎ… そのお婆さんが電話を切った時には、発車時刻を30秒ほど過ぎていたのだが…

実は、昼間のその路線は“いつも時間が余る”ので、もっと発車を遅らせたかったくらいで… その後もゆっくりと走ってちょうど良いくらいだった。うむ、結果オーライ… と思ったのも束の間、終点の某駅到着から折り返しの発車まで“3分しかない”ことに気が付いたのである。

ほぼ定時に終点の1つ手前のバス停を通過して、終点の某駅直前の交差点で信号待ち… 私の前には2台の軽自動車がいた。信号が青に変わり、先頭の軽自動車が右ウインカーを出したのはいいけれど… まったく右(センターライン沿い)に寄らず、片側一車線の真ん中で堂々と止まっていた。

2台目の軽自動車は、先頭の軽自動車の左側をギリギリ通り抜けられたが、バスはどうあがいても無理である。このような場合… すぐ後ろにピッタリつけて「この軽自動車が行ったら、何が何でも行くぞ!」という態勢をとることが多いのだが…

始発地点からずっと“ゆっくり運転モード”だった私は「横断歩道の上で止まるな(立ち往生するな)って言われてるしぃ~ もしも対向車が赤信号でも突っ込んで来たら… この軽自動車は動かないかも!? こんな止まり方をする車の動きは予測不可能だからなぁ~」と思って、交差点内へ進入せずに待っていた。

すると案の定… いつもは少ない対向車が、なぜかパラパラと来てしまい、前の軽自動車は信号が赤になってからゆっくりと右折して行った… 私はそのまま動けず、また信号待ちすることになってしまった。すると、乗客のお爺さんが「待っとらんで、行きゃ~えぇんだわ!」と大きな声で独り言のように言った… やっぱり… ごめんなさいね、変な考えが頭をよぎってしまったもんで…


遅延の始まりは一台のタクシー

2012年11月27日 17時02分00秒 | バス運転士

昼食タイム後、某駅へ向かって発車して、一つ目のバス停を通過… 片側2車線の道路の左車線には縦列“違法”駐車車両が並んでいたので、私のバスは右車線を走っていた。すると、縦列駐車の中から1台のタクシーが出てきたのである。しかし、強めのブレーキを踏まなければならないようなタイミングではなかったので、私は「そのままサァ~ッと行ってくれればいいや」と思っていたのだが…

そのタクシーのトランクには車椅子が載っていて、トランクは開けっ放しの状態だった。そのせいかどうか分からないが、タクシーはノロノロ運転で… その先の交差点の向こうのバス停まで行って、乗車扱いが出来るはずだったのに… 信号は赤に変わってしまった。それなのに! タクシーは行ってしまった… まだ乗客ゼロの車内には「んにゃろぉ~!」という松井の叫び声が響き渡った…

信号が青になり、私は次のバス停で数名のお年寄りを乗せて… またすぐ次の信号が赤に変わってしまった。「あのタクシーがいなければ、この信号には止められなかったのになぁ~」と思いながら、緩やかな上り坂の頂上にある停止線でバスを止め… と、その時! その交差点を左折してすぐの場所に、そのタクシーが止まっていたのである。

ちょうど乗客が降りるところだったようで… 車椅子の使用者と思われるお婆さんが左後ろのドアから降りるのに、これまた力の無さそうなお爺さんが手を貸していたのだが… すぐに私は違和感を覚えた。お爺さんの服装が… 制服!? そう、タクシーの運転手だったのである。それがまた、とても危なっかしい感じで… 私は見ていてツラくなり、先程の暴言を撤回… 申し訳ございませんでした。

しかし、その後… バスが“遅れスパイラル”に嵌ってしまい… 途中のバス停で乗ったお爺さんに「なんでこんなに遅れとるんだ!」と言わんばかりに睨まれたり… バス停を発車する直前、お婆さんに「さっさと行け!」と言わんばかりに降車ブザーを鳴らされたりして… 私は“バス運転マシン”と化してしまいましたとさ。あぁ…


う~む… と首を傾げる朝だった

2012年11月26日 22時19分48秒 | バス運転士

今朝は☆☆行きの始発を担当、乗客3名だけで某駅を発車した。一つ目のバス停を通過して、二つ目のバス停も通過するつもりでゆっくりと走っていたら、そこには1名の乗客の姿が… その間に目の前の信号が赤に変わり“私の計画よりも信号一回分”バスが遅れることになってしまった。

私は「あらら…」と少し後悔しながら三つ目のバス停へ向かった。バスは1分30秒ほどの遅れ… そこで2人の男性を乗せて「さぁ、発車!」と思ったら、1人の女性が駆け込んできたのである。私は「えっ!? もしも私の“ちょいミス”がなく、バスが遅れていなかったら、乗れなかったってこと?」と驚いた。

そして、そこから3つ先のバス停でも同じことがあったのだが… そこは他のバスが通っておらず、この系統だけ… 次のバスは20分以上あと… 確かに、もっと先のバス停ならば「いつも遅れて来る」と言えるかもしれないのだが… う~む… 私がちょいミスをしたのは、この二人をバスに乗せるために“何か目に見えない力”が働いたのかも…

☆☆からの折り返し… あるバス停で乗った男性が、財布から折り畳まれた千円札を出して「千円で…」と言ったので、私は運賃箱の千円札挿入口を指差しながら「千円をこちらに…」と言った。

すると、男性はその千円札を“正方形のまま”挿入口の下にある“釣り銭が出てくる受け皿”の中にポイッと投げ入れたのである。うむむむむ… しかし、その動きは決して横柄な感じではなく、その人が“天然素材”のようだったので、私は千円札を“長方形に広げて”挿入口へ入れたのだが… ひょっとして、私が両替するとでも思ったのかなぁ~???