一番最初の記憶ではあたしゃ、ファラオと成るべくして生まれ、17歳には少年王として即位し隣国から王女など娶り、けけ、こりやラッキーなんて新婚生活を楽しんでいたが、王女、実は政略結婚の人身御供、国に将来を誓い合った男が居たらしく、生木を引き裂かれる如くの嫁入り。婚姻後も逢引きなどやっておったと判ったのは、たまたま、遠征帰りが早まったあの晩、喜び勇んで寝室に行けば間男と二人正常位でまぐわいの真っ最中、あまりの怒りに視界真っ赤に染まり、あ~誰かが泣いているね、なんて立ち尽くせば、あたしに気が付いた間男君の杖によって頭頂部陥没の一撃。薄れゆく意識の中、泣いていたのは自分であったと気が付いた時にはご臨終。
あまりの悲しさから生まれ変わるのは当分止め。何千年かお休み
二番目の記憶では1900年初頭のアメリカ、大地主の息子に生まれがっちり稼ぎ、おやじの代の何十倍かの資産家となって、遅めの結婚、まあ、お金の力で女には不自由してなかったが跡取り造りの為、20も歳下の小作の娘を嫁にしたが、略奪婚というか金で買ったような結婚。彼女にはフィアンセいたらしいが無視、あ~何故か人の物を取るって気持ち好いね。うけけ。しばらくして息子が生まれ幸せかと思っていたら、村の噂話でワイフに間男がいるとの噂。これは、どこかで聞いた様な嫌な話だ即真相究明「今日、隣町に用事で出かける帰りは明日」と出かけるふりをして、夜にこっそり家に戻る。あ~あれは大雨の夜、2階の寝室の窓からこっそり覘こうとしたら、裸のワイフに散弾銃で撃ち殺され、死ぬ間際に見たものはワイフと裸の間男の並んで立つ姿。「泥棒と思って撃った」との証言が認められワイフ無罪。残された子供の名はタイ・カップ。
三番目の記憶では日本人の鰻に生まれ変わる。ごく平凡な市民生活、趣味は釣りで朝帰りも繰り返したが夫婦仲は円満だったはず。だが、匿名の手紙であなたの奥さん浮気していますよと知らされ、真偽を確かめる為釣りを止め家に帰れば、我が寝室で妻と間男後背位で性交中。自分との性行為では淡白な妻が獣の如くよがり声をあげる姿を見て深く傷つく。無感情のまま最初に間男の背中を差し、排除。次に振り返った妻と視線を合わせ何も言わずに刺殺。そのまま自首。道すがら「俺のトータル人生、1勝2敗、のような感じがする」とか薄っすら思う。その後刑期を終え出所して役者になる。
あ~疲れた。間男シリーズ。1番目は空想 2番目は空想+タイ・カップ自伝 3番目は空想+映画うなぎです。(多分気が付いたと思いますが)
何故書いたかと言いますと
「今は生まれ変わって看板やってま~す」というオチにしたかったからです。
上手くいきませんでした。とほほ。
読んでくれてありがとうございます。