山田組系浜本一家の飛車角と称される2人、熱湯のもりおと飛び道具ののりおは組長の同年生であるが、面倒な組運営は組長に任せ、気楽な幹部が性にあっているとのんびり渡世。しかし、長謙組長が暁組系仁角組の組長古弦に可愛がられ、面子をつぶされた時の反応は早かった。事件が発覚した早朝から2人が殴り込みに駒を進めたのはわずか1時間後の事である。
10リットル入りの寸胴に熱湯を入れ火傷をしないように断熱材でぐるりと回し、背中に括りつけ(走ると自分も熱湯をかぶるのでゆっくり歩く)左手には柄杓、右手には6寸フライパンで戦闘態勢のもりおと一昔前のアメリカ軍払下げのリボルバー38口径を懐に忍ばせたのりおは寿市場の北と南の二手に分かれ暁組の事務所「あかつき」に接近する。あかつきは市場のほぼ中心部に立地している。
あかつきには古弦組長、門弟、はくてい、モンローが朝酒中で会長の美瀬(こ奴は自分は高倉健そっくりだといっとるが、どう見ても吉本新喜劇の池のめだかにしか見えん。身長も低いし)の姿はあいにくと見えない。全員ご機嫌で酔いもあってか大声で話。話の内容はやはり長謙組長に行ったリンチのことである。
「おはようございます~」にこやかにもりおが挨拶し、一瞬緊張する一同であったが「朝の美味しいパスタお届けで~すの口上と手にしている柄杓&フライパンに警戒心を解き、どれどれと集まって来る。もりお間髪をいれず熱湯、これはただのお湯では無くパスタのゆで汁であるからねっとりしていて浴びると、まとわりつき苦痛もひとしおである。を全員にかけまくる。
「アガーアガー」「あちちっ」「ヒエー」×10回と全員が悶絶すればモリオすかさず右手のフライパンにて
スコーン、スココンー、パコーン、と滅多打ち。あちらこちらと隠れ隠れ移動してきた、のりおが到着する頃には襲撃された全員10分の9殺しで御礼回りは終了。この時やられた皆さん全員、この先大浜第2病院のリハビリセンターに通う事3年、完治まで5年となる訳だから、いかに凄まじいか想像できますね。
遅れてきたのりおは仕方が無いので腹いせで一発中に向け発射。(偶然にも美瀬会長に真上から命中し、会長死亡)
後日、本家筋古酒一家総長土屋親分のとりなしで「群星酒場」にて手打ちが行われるが、もりおは加州刑務所(別名ホテルカリフォニア)に20年。のりおは南米刑務所に20年の所払となる。一旦は収まるが不服の種はくすぶる。
続くかも