暁組系仁角組若頭「門弟=すけこましの門」が緊張した面持ちで山田組系浜本一家組長、長謙組長のテーブルに歩み寄る。子分のはちに緊張が走る。
「これは、これは長謙の親父、この度は誠におめでとうございます」
「あ~っ、門弟くんじゃないか、祝ってくれるのかね?」
「はい、向こうで親父がお待ちしております。お手数をお掛けしますがお越し下さい」
「古弦の親父か、ふん、祝うんだったら、ここに来て頭の一つでも下げるのが筋じゃないか」
「しかし、うちの方が格上、本家筋直系かと。親父さん頼みますよ、うちの親父の顔立ててやって頂きませんか。お願いします」しかし、すでに溺酔の長謙組長こっちに来いと言う事で、すでにはらわた煮えくり返っているし、少し嫌がらせでゴネテてやろうと首を縦に振らない。
「NOです。嫌だっうの、ばーか、親父に言っとけ、月亭八方に顎で指図されるほど落ちぶれちゃいね~ズラ。けけけ」
こうなることは予想済み。門弟、隠し持っていた八寸フライパンにて長謙組長の脳天に
スパーン おまけに子分はちの脳天にスパーンスパーン。手際良く2名様昏睡の旅にご招待。
ぴよこちゃん、みんなでぬくぬく温かいお花畑でとうさんかあさん花札ふしぎなぜ、もりのこやぎはめ~って泣きます裏町のおはよう奥さん亀の行進親ガメ子亀ちんちん電車に花が咲くみんなでぬくぬく温かい脳天に花開く人生酒場あのトンネルを行くと涅槃涅槃涅槃なぞなぞ小僧は痛い痛い頭が痛いぬくぬくが冷たいぬるぬるいてててー。意識が戻って来ると脳内スクリーンから眼球実在情報に画面は切り替わり、ぼやける視線に古弦組長の薄ら笑い顔。ここは銀馬車私は長謙。
「お目覚めか、てめえ、本家筋の俺に楯突くとは100年早い」
古弦組長、門弟、博定、モンローが、他の子分に両腕をロックされお白州罪人状態で跪きをさせられている長謙を取り囲む。長謙うろたえて周りを見れば子分はちボロ雑巾のごとく隅で昏睡。孤立無援。ここは謝って難を乗り越えるのがBEST。
「すまねえ、ちょいと調子に乗り過ぎた、叔父貴、勘弁してくれ」
「うん、許す。お祝いを受け取ってくれ」
「ありがたい」
古弦目配せをすれば博定、尺2寸のドスを取り出す。古弦「長謙よ、今日の事一生忘れないよう俺からのお祝儀、腹を括って受け取りな、うけけっ」
ほっぺにギザギザに切り込みを入れて、そうすれば後で縫う時もの凄く面倒くさいし、傷跡間違いなく残りマス。一本線だと目立たないので左右各3本は切り込みを入れましょう。相手が気絶しないようにじっくりと時間をかけて切りましょう。
悲鳴からしだいに声も出ず、荒い息使いと震える全身が長謙の苦痛を伝える。古弦からの「ご祝儀」を受け取った長謙と、気絶したままの子分はちが組事務所前に打ち捨てられたのは深夜3時頃であり、寝ずの番当番の子分かわみつの悲鳴で組事務所が蜂の巣を突いた様な大騒ぎになるのは更に2時間後の事であった。
続く(?)