あるところに
やつれた母ちゃんと
親孝行なこびとが住んでいました。
昼ごはん作りに追われる母ちゃんのために、
こびとは一人で遊ぶことにしました。
まず、火鉢の灰を頭からかぶりました。
ちょっと面白かったので、
壁にも灰をまきました。
今度は灰の上を歩いてみようと思いました。
灰だらけの足でちょっと歩くと、
洗濯物が目に入りました。
台所では母ちゃんが忙しそうに動いています。
「そうだ!やつれた母ちゃんのために洗濯物を畳んでやろう!」
親思いのこびとは、
灰だらけのまま、
まだ干したばかりの洗濯物を畳み始めました。
とうちゃんの新しいパジャマを畳み終えると、
今度は母ちゃんの布団の上で遊ぶことにしました。
畳、布団、おむつ・・・
あらゆるところに、灰の手形をつけました。
満足したこびとは、
そろそろご飯ができる頃かな、と思い、
母ちゃんのところに行きました。
母ちゃんは、
「こびとさん、一人で遊んでおりこうさんやったね~。
おかげで母ちゃん、ご飯の用意終わったよ。あとちょっとだけ待ってんよ」と
頭をなでてくれました。
誉められてご機嫌のこびとは
台所で遊ぶことにしました。
あらゆる調味料を床に広げ、
食器棚に入りました。
お気に入りの食器を踏んづけて遊んでいたところ、
母ちゃんがつぶやきました。
「あれ?なんでここ黒いんやろ・・・」
嫌な予感がした母ちゃんは
室内を見渡しました。
「・・・ん?・・・何・・・?これ・・・」
母ちゃんは目を疑いました。
部屋は灰だらけ、こびとも灰だらけ。
廊下も布団も洗濯物も。
「か~~んた~~~~~~~!!!」
さらにやつれた母ちゃんと親孝行のこびとは、
このクソ寒いのに、
シャワーを浴びに行きました。
めでたしめでたし。