g’day

ゆっくり、じっくり、生きていく。

F氏的リフォーム術・古民家のローンを組む

2010-03-21 06:43:19 | F氏的リフォーム術

さて、契約書にハンコを押し、まだ全額支払ってないにも関わらず、売主さんは「好きなようにして下さい」と鍵を譲ってくれました。

 

並行して、未登記だった建物を申請したり、ローン手続きをしたり…。

銀行やお役所を行ったり来たり。

 丁度この頃、私の妊娠が発覚。つわりでゲーゲー吐きながら、あっちへ行きこっちへ行きだったし、嫁としての役割も突然襲ってきたり、とにかく一杯一杯。精神的にもかなり病んでたし、肉体的にもボロボロ状態でした…。

 

 そんな中、出会ったのは、超仕事できない銀行マン。田舎なので、銀行と言えばこの銀行。田舎の小さな支店なので、融資担当がその人だけ。説明しても何言っても、トンチンカンな答えしか返って来ず、私が知りたい内容はどこへやら。

 その割に打ち合わせと称して何回も来るし…。とにかく無駄の多い打ち合わせにイライラ。この貯金をこの口座に移したらローン申請通りやすいから、とか、これはこうだから…とか散々手続きさせられて、やっと書類できたと思ったら、不備不備不備。

 つわりでイライラの上、さらにイライラしながらのローン申請。家も、この時点では家はまだ藪・ゴミ屋敷。現地視察があるから、とF氏が通れるように草を刈ってたにも関わらず、「(怖くて)入れなかったので、明日一緒に行って下さい」、一緒に行ったら行ったで、ほとんど敷地部分には入らず「もう、わかりましたから…」とそそくさと退散。「○○さんのために雨の中、草刈ったんだから、そう言わず見て下さい」と言っても、「いいですいいです…」と。こんな藪に入れないなんてちっちぇー男。こっちは妊婦でつわり中、さらに雨の中来てるんだぞー!!と心で叫び…。

 敷地に入らない割に、この建物を壊さないと申請出来ない、この建物は…うんぬんかんぬん。散々ケチをつけ、「私達はこういう古い家が好き」と言ってるにも関わらず、「住めないでしょー。大変ですよ?」と。住むのは私達やから!と言っても、「えー??無理でしょー!」と。F氏に対してはペコペコするくせに、私には友達目線。なんちゅー失礼なヤツだ!!と会うたびに思ってました。それでも、ローンは組まなきゃいけない。耐えろ私!と何度思ったことか…。

 

申請やら書類がやっと終わった一カ月後。

「築~年以上は無理でした、ローン組めないそうです」と連絡。

いや、待て、もう3週間後には全額支払い期日が来るんだぞ?

このままじゃ、期日までにどっかからかき集めてこなきゃいけない…と青ざめ、深刻な状況に…。

  

 築年数は初めからわかってたはず。そこで無理だとわかってたら、この一カ月無駄にしなくて済んだのにー!!あんたと会って話したストレスと時間を返せー!!と、私、爆発。一切をF氏に任せ、「喝!」を入れてもらうことに。F氏もかなり腹が立ってたらしいのですが、冷静にお話できた様。さすがです。でもたぶん、口元は怒りでプルプルしてたのでしょう。鈍感な銀行マンもさすがに悪いと思ったのか、他銀行を紹介してくれました。

 とにかく決済までの時間がないので、仕事の合間をぬって、F氏はその日のうちに紹介された他銀に。F氏はすべてさらけ出し話し、事情を知った他銀は、その日のうちに我が家に来て、いろいろ手を打ってくれ、一週間後には完全に書類が出来上がってました。「古い」という事は初めから一切触れず、「どうやったら(私達が借りたい)この金額が申請できるのか」を考えてくれ、話はトントン進みました。現地調査も、私達不在でもやってくれ、「あの家、おもしろいですねー。可能性が広がりますねー」と楽しんでくれた様子。

 

 我が家に打ち合わせに来てくれたどの人も、感じがよく、「こうこうこうだから、こうして下さい」と的確。打ち合わせ時間も短時間。年も私と同じくらいの人達で、意気投合。どっかで見たことあるな~と思ってたら、同じ年でした…。しかも友達の友達。幹太の相手をしてくれたり、幹太も「のーきょーさん、のーきょーさん」(あ、どこかわかった??)と来てくれるのを楽しみに。

 

 おかげで、紹介されてたった3週間、申請してから2週間で、ちゃんと期日に全額ローンがおりました。○○銀では、取り壊さないと組めないと言われてた付属の建物(鳥小屋・井戸など)も、そのままで大丈夫と言って下さり。何の心配もなく、安心してお任せできて、心もすっきり。その後も、度々「家、どんどん綺麗になってますねー」と見に来てくれたり、幹太に、と子ども向けの粗品を持ってきてくれたり、といいお付き合いが続いています。

 

 それもこれも、あのダメダメ銀行マンがいたからこそ!あの人がダメダメだったおかげで、「のーきょーさん」でいいローンが組めて、信頼できる行員に会えて…。世の中、捨てたもんじゃないし、無駄な出会いなんて無いんだなーと実感しました。ダメダメ銀行マンに感謝!!

 

 ローン申請にお困りのあなた!大丈夫!必ず道は開けますよ~!!そして、今現在、嫌な人が目の前にいるあなた!大丈夫!必ず意味がある!!

 

今の状況に負けるなー!!

がんばれーみんな!!

 

古民家のローンを組む・終わり

 

そして、ついに、家が私達のものになったのです!!

 

※写真はリフォーム前にとりあえず納屋に押し込んだ家の100年分の荷物。F氏、有志一同が軽トラの荷台満タン20回くらい、ゴミ焼却場に運んだにも関わらず…。まだこんなにパンパンです…。この大きい納屋がパンパンなんです…。笑うしかない!


F氏的リフォーム術・古民家との出会い(購入まで・その6)

2010-03-16 15:05:36 | F氏的リフォーム術

連絡は連休明けだと思って、のんびり連休を楽しんでた矢先…

 

連休最後の日、普段ほとんど鳴らないF氏の携帯が鳴っている!!

そして、普段ほとんど携帯していない携帯を携帯していたF氏。

やはりF氏も連絡を待っていたようです。

別室にいた私。耳をそばだてて聞いていると…

「はい、はい、そうです。はい、はい、はい、はい、

 

はい、はい、はい、はい、

 

ありがとうございます!!!」

 

 

よし!決まった!と小さくガッツポーズ。

 

電話を切ったF氏が、ニヤニヤしながら、「決まったよ!売ってくれるって!」と小走りにやってきました。

うん、知ってるし!あれだけ大きい声で話してたら聞こえるし!(心の声)

 

親戚の方は、手紙に感動してくれて、喜んで家を渡したい、との事。

しかも、長年会う機会がなかったけど、久しぶりにその親戚の顔が見れてよかった、私達のお陰だ、とも言って下さいました。本当に丁寧な方で、その後も度々私達を気遣う電話をくれました。

やるだけやってみてよかった~~。やっぱり円満が一番!みんなが納得しないと嫌だもんね~。

 

その日は、たまたま家族総出で倉敷のおばあちゃん家に行っていました。

家族全員の前でも家の報告が出来、万々歳。みんなも喜んでくれました。

 

そして、次の日には不動産屋に行き、契約。手付金入金。

そして、次の難関、ローン申請に走るのでした…。これがまた厄介…。

 

購入まで 終わり

 

※写真は室内を探検するF氏。全面的に前のめってます。


F氏的リフォーム術・古民家との出会い(購入まで・その5)

2010-03-15 07:53:03 | F氏的リフォーム術

じーちゃんにお墨付きをもらった私達は、心も軽く、あとは進むしかない!と思ってました。

じーさんの義弟がしている不動産屋に行き(なぜかじーさんも一緒に)、不動産屋さんと顔合わせ。ヤ○ザのような風貌と、この辺でいう「ガイな口調(強引な口調)」、ガハガハと笑うおっさんで、話はトントンと進み、手付金を払うことに。私達の目の前で、売主さんに電話してくれ、日時を決めました。

 

…するとなんということでしょう…。

100坪ほどある隣の畑も買ってほしい、とのこと。私達には広すぎるので必要ないと思ってましたが、なんと激安。結局畑も買うことに。もともと自分で食べるくらいの小さい畑が欲しかったのですが、家の敷地内でも十分家庭菜園ができるので、特に欲しいわけでもなく…。あれば理想でしたが…。まさかもれなく付いてくるとは…。

う~ん。完全にノリに乗ってる…。

 

手付金を払う日も2日後に決まり、ワクワクしながら家に帰りました。

次の日には、ナケナシの貯金を下ろし、準備万端。

支払い当日。10時が約束の時間。9時すぎには不動産屋のおっさんから確認の電話。「もう手元にお金あるけんね。ドキドキするわ。10時に行くけんよろしくお願いします」と伝えました。「待ちよるけに~」と言われた

 

5分後。

 

…不動産屋のおっさんから電話。

「売り手さんの親戚が揉め始めた。ちょっと待ってくれ。」

 

…は??

 

とりあえず、頭が真っ白に。聞けば、売ることを伝えた遠くに住む親戚が「あの家は育った家なので、人の手に渡したくない」と言い始めたらしい。

その親戚は90歳近い人。売主さんはこの方にお世話になったので、反対を押し切って売ることはしたくない、とのこと。

 

不動産屋から電話が入ったすぐ後に、売主さんからも電話。詳しい事情を話してくれ、ただただ謝ってました。まあ、私もその気持ち分からなくもないし、とにかく誠実な対応をしてくれる売主さんなので、文句も言えず、揉めたくもないし…。

まあ、縁が無かったと受け入れるしかないのかなーとモンモンと過ごした数時間後…。

またしても不動産屋から電話。

「あんたらは間違ってないけに。ワシがガツーンと言うちゃった。売りたい言うて3年も世話さしといて、いざ買い手が見つかったらイヤやなんて、若い人らをバカにしとんか!って。もう売りたい言うても2度と世話しちゃらん!って。ガハハハハ…」

 

すごい。客に対してそこまで言えるおっさんがすごい。でも、私達のこと理解してくれてて、「この人達はこの家を壊す、言いよるんじゃない、藪になったあの家を生き返らせる、言いよんじゃ!こんな人はめったにおらんぞ!」とまで言ってくれたらしく、それ聞いただけで涙が出ました。

たった一回しか会った事ない不動産屋のおっさん。なのに、ここまで言ってくれて、それだけで十分です。

F氏とも「この器のでかいおっさんと出会うための家やったんかもしれんねー。家を手に入れるよりもええ出会いをしたんかもしれんねー。」と話しました。

 

不動産屋のおっさんがそこまで言ってくれたんやし、私達に今できることは何だろうと考え、その夜、売主さんに手紙を書きました。

あの家にどんな風に住みたいのか、どんな風にリフォームするのか、今現在藪になってあとは傷んで朽ちるだけの状況であることを手紙に書き、もし私達に譲ってくれるのなら大切にしますという誓いの言葉を添え、送りました。

 

手紙が到着した日、売主さんから電話があり、「感動しました。この手紙を見せて親戚を説得します。ただし遠方なので次の連休を利用して直接会って説得します。1カ月だけ待って下さい。」と言われました。本当に誠実な人。穏やかで、とても優しい口調なんです。

 

やることはやった。後は家との縁があるか、ないか、だけ。気持ちもすっきり。

 

山のじーちゃんいも報告しに行きました。

じーちゃんは黙ってこの話を聞き、

「人はの、大事なもんこそ人に譲らないかんのぞ。人に譲れて初めて、大事なもんと言えるんぞい。欲っちゅーのは、人は誰でもあるけんどーの、それができるかできんかで人間が決まってくるんぞい。ワシじゃったらそう考える。まあ黙って待ちよらんかい」

という言葉をかけてくれました。また涙…。

 

この家の騒動があったおかげで、わたしゃ十分得るもんがあった。おっさんにしても、山のじーちゃんにしても、なんちゅーでかい人なんじゃ!わかった!そういうことなんじゃ!家よりも人なんじゃ!と暖かい気持ちでいっぱいに。そしたら、あの家にも、売主さんにも、反対している親戚さんにも感謝できるようになりました。

 

9月のシルバーウィークで説得しに行くと言ってたので、連絡は連休明けだな~と思って待ってたら…

 

つづく

 

※写真は二つある納屋の調理関係のほう。母屋なので、たくさんの数の食器や調理器具が!これも処分を任されました。中には明治時代の箱も…。ちなみに私は家よりもこの納屋に引かれました。私達にとってお宝の山です!!

 

 

 

 


F氏的リフォーム術・古民家との出会い(購入まで・その4)

2010-03-14 07:06:53 | F氏的リフォーム術

不安になってきた私は、困ったときの神頼み!

尊敬している山のじーちゃん(他人ですが)に相談しに行きました。

 

じーちゃんにこの2週間であったことを伝えると、

じーちゃん「そりゃ、運命っちゅーのもあるけんどーの、まあ、大きな買い物じゃけん悩んで当然やわい」と。

私「そうなんよー。欲しいのは欲しいんじゃけど、でも話が上手く行きすぎて怖いんよ。それが運命っちゅーんかもしれんし、騙されとるんかもしれんし…。なにせ全く知らん人の紹介じゃし」

じーちゃん「ほうか、そりゃまた余計に悩むのう…ほじゃけど、手に入るもんは入るんぞい」

私「悪い人には見えんのよー。物件見に行った日も、帰りに家に送って行ったら、野菜とか果物とか、持って帰れーってたくさんくれるような人なんよー。ちなみに○○さんって言う人なんやけどねー」

 

じーちゃん「!!!!りょう兄か!!!!!」

 

…私が尊敬するじーちゃんの知り合いでした…。

 

じーちゃんが言うには、この家を紹介してくれたヨボヨボじーさんというのは、昔はこのあたり一辺の不動産を転がしてた人らしく、やり手で、人情のある、すごい人だったらしい。この辺でこのじーさんを知らん人はいないくらい有名な不動産ブローカーだったらしい…。チャリ移動が基本ですが…。じーちゃんも山を売るときに、お世話になったと言ってました。今もその名残で、町内の田んぼや、空き地などを売り歩いているらしい。ちなみに、専門的なことはこのじーさんの嫁さんの弟さんが資格ありの不動産屋をしてるので、法律・書類関係はそちらで。じーさんはゲートボール場や個人商店などに顔を出し、ありとあらゆる縁を使って、仲介をしている…らしい。

 

このじーちゃんの一言で、私の心は軽くなりました。

尊敬するじーちゃんが、「すごい」という人。それなら、間違いない!

 

こうして、不安も解消、あとは契約のハンコを押しに行くだけとなりました。

 

…でも。

そんなうまい具合に人生進まなかった…のだ。

 

※写真は井戸。使われてなかったみたいだけど、一応あります。貞子出そうですが…。

 

つづく


F氏的リフォーム術・古民家との出会い(購入まで。その3)

2010-03-13 08:16:59 | F氏的リフォーム術

内部見学当日。

まず、幹太を実家に預け、じーさんを家まで迎えに行き、車に乗せ、現地に。

相変わらず、クモの巣と草だらけ、道なき道を進み、裏の勝手口に。

 

鍵を開けると…

絶句。

 

ついさっきまで、お茶飲んでました~と言わんばかりの生活感。

家具、生活用品はすべてそのまま、流しにはコップが置かれたまま、

布団もそのまま、とにかく、すべてそのまま!

気持ち悪いというよりも、申し訳ない気持ちで一杯に。

この家が手放されることになった理由。

おばあちゃんが一人暮らしをされてて、体を悪くして、東京にいる息子さんが急いでおばあちゃんを連れて帰ったとのこと。今も、おばあちゃんはご健在で、息子さんと一緒に東京で暮らしてます。

が。

とにかく急病だったみたいで、本当に生活してたまんまの状態で家は空っぽに。その間、3年…。窓の隙間から草が入りこみ、家の中まで草が生えてる状態でした。おばあちゃんのことや、息子さんの気持ち、この家が建って100年(自称だけど)の歴史などを考えると、興味本位で写真を撮るのも気が引けたため、この日はほとんど写真を撮らず、メモや記憶、直感に頼ることにしました。

 

空間的には申し分ない!しかも、3年もそのままだったにしては、かなりいい状態。今まで古民家をたくさん見学しましたが、ここまでいい状態の古民家は初めてでした。(私達にとって、ですが…)

気になる所は、痛みが激しいトイレと、お風呂が外にあるという所、数々の雨漏りの跡、天井を見上げたら空が見える所…(瓦がずれてる)。あと、100年分の生活用品…。服から箪笥から布団から、調味料、家電などなど…。まあ、そのくらい。

それよりも、黒光りしそうな柱や、土間、古い建具の美しさに感動!

こりゃ、手を入れるといい家になるぞ!と二人で珍しく意見合致。

 

その場で、じーさんに「話を進めて下さい」と伝えました。

 

土地は約150坪弱、家が土間、台所含め7部屋、納屋2つ。この辺りの相場もわかりません。

じーさん「値段はどうするぞ?」

私「…え?金額決まってないん?」

 

とりあえず「安ければ安いほうがいい」と伝えました。

じーさん「希望はいくらぞ?」

私「ちょっと待って。まだ頭の中整理できてないけん、また連絡しよわい」

 

次の日、いろんな計算をして、私達夫婦の中でここまでは支払えるという金額から、100万引いた金額を伝えました。

 

じーさん「よっしゃ!伝えとく」

…と言われた次の日には、私達の言い値+50万で売りたい、との事。

えー??そんなんでええの??

 

展開早すぎ!

 

私は即答OKだったのですが、なにせ大きい買い物。素人ながらこりゃちょっとじらしたほうがいいのか?という悪い根性も働いてしまう。なにせ、生まれて初めてローンを組むことになるのだ。

「ダンナに聞いてみんとわからんけん、また夜に電話しよわい」と伝え、すぐさまダンナに報告。もちろんダンナも「買おう」と即答。

私達夫婦の長所でもあり短所にもなる、「勢い」っちゅーのが、全面的に前に出た感じ。もう直感だね。運命だね。渦の中に入っちゃった感じ。こりゃ、何としても買うしかない!お金のことは後で考えよう、とりあえず、欲しいもんは欲しい!

 

…というわけで、

こうして、ほぼ希望通りの金額で、物件を購入することになりました。

 

…イヤ、ちょっと待て…。

あまりにも展開が速すぎる。初めてじーさんに会った日から2週間も経ってない…。

うまく行きすぎて怖い…。もしや、騙されてる…??と急に不安に。

 

※写真は、初めて内部見学した日。じーさんが草を倒しながら勝手口まで進みました…。

 

つづく