奥さんの策略で、マリエと一緒にいる慎二さんと対面することになった。
「ユミ、実は…」
「マリエとの事は、わかってました。もう、そのことは話し合いたく無いです。それより…」
「それより…?」
「……やっぱり、いいです。」
奥さんの事を言おうとした。
だけど言い出せない…。
奥さんの件を話すと、自分のしてきた事を正当化するバカな女になってしまいそうだ…。
「これより先には、もうプライベートな連絡はしないで。」
やっと言えた。
とにかく、奥さんに怯える日々から逃げ出したかった。
なんとなくスッとした。
マリエと慎二さんの事は解決出来たかどうかわからないが、今日のこの件で二人の進展に歯止めがかかるだろう…。
…そう信じたかった。
それからは、奥さんからの電話は無くなった。
慎二さんとマリエがどうなっているかはわからない。
奥さんからの電話が無くなったことをみると、おそらくあちらもキレたんだろう…。
慎二さんは、何も知らず、元の鞘に収まって平和に暮らしているに違いない。
ユミさんの不倫は、相手の奥さんの策略によって、ほぼ強引に終結した。
そして、もうひとつの不倫も同時終結させるなんて、本当にしたたかな奥さんだ。
本当に『女はコワイ』と、ユミさんは思った。