恋のコワイ話し 10

2020-03-25 07:16:45 | 日記
ブー、ブー、ブー。

また、電話だ…。

ここ数日、電話に怯える日々…。

電話を替えようかとまで思った。

だけど、慎二さんがいる限り、奥さんも電話をすることが出来る…。

何をしても無駄だ…。

着信拒否も出来る…。

だけど、それも、ネガティブな結果になるこもしか想像がつかない…。



「会っていただけませんか?」

「……」

嫌です…と言いたかった。


「主人とあなたが会っていた居酒屋で待ってます」

強引に決められてしまった。



会いに行く。

何を言われても自分が悪い…。

直面しているトラブルは、対峙しない限り解決しない…と思った。

とにかく謝罪して、許しをこうしかない。




「お疲れ!」

慎二さんが笑顔で肩をたたいてきた。

彼もユミさんとの距離の取り方に悩んでいるのがわかる。

『温泉行くの?』『マリエと?』

まったく気にならない…と言ったら嘘になる。

だけど、マリエとの関わりがある限り、奥さんからの電話は続くだろう…。

「慎二さん!…ちょっと話しがあるの!」

二人で、使われていないコピー室へ。

「マリエと付き合っているの?」

「そんなことより、最近の君変だよ。どうして避けるの?」

「そんなこと、どうでもいいの。とにかく、マリエと付き合っているかどうか教えて!」

「付き合ってなんていないよ」

「わかった…。」

本当の事を言うとは思えないけど…、慎二さんの唇の端が少し上がった。

慎二さんが嘘をつく時、誤魔化す時に、唇の端が上がる。

奥さんに会いに行こう…。
 
つづく。。。