マリエを慎二さんに近づけない…なんて、出来るワケが無い…。
ユミさんは、さらに秘密を抱えてしまった形になって、悩んだ。
『今日、飲みに行こう!』
慎二さんからのメールだ…。
おそらく、温泉旅行の話しだろう…。
『今日は、都合が悪いの。』
急いで返信した。
奥さんは、メールを見たんだろうか?
マリエともメールをやりとりしてたんだろうか…。
とにかく、メールをするのも、会うのもやめよう。
いや、このまま別れよう…。
『メールをしないでください』
取り急ぎ、メールをした。
『どうしたの?』
すぐに返信があったが、それには返事しなかった。
「どうしたの?」
会社でも、慎二さんは話し掛けて来た。
「今は説明出来ないの。とにかくしばらくは私を無視して!」
「え?どういうこと?温泉は?」
「しっ…!誰かに聞かれる…。とにかく、ここでは話せないから、後で…。」
「じゃ、いつもの店で、今日。」
「ダメ。いつもの店はやめましょう。それから、今後メールはやめて。」
「どうしたんだい?」
「とにかく、後で…!」
ユミさんは、人目を気にして、逃げるように離れた。
そもそも、秘密の恋愛だけど、会社内に私たちを監視している人がいるんじゃないか…と不安になった。
証拠を残さないように、慎二さんが読んだらすぐに捨ててくれるように、ポストイットに待ち合わせの店を書いて渡した。
一度も行った事が無い店で会うことにした。
一度は入ってみたかった店だったのだが、こんな理由でとは…。
お店の前まで来ると電話があった…。
「私から電話があったことを主人に話すんですか?」
『え……❗』
奥さんだ。
「マリエさんのことは解決しないまま…」
見張られているんだろうか?
ユミさんはまわりを見回した。
「温泉はどうするんですか?」
ユミさんは、思わず電話を切った。
…だめだ…。
とにかく、慎二さんに会うのはやめよう。
ユミさんはもう一度周囲を見回すと、待ち合わせの店に入るのをやめた。
自宅にたどり着いた時、慎二さんから電話が来た。
…ユミさんは無視をした。
その夜も何度もかかってきた電話を無視した。
「電話に出て!」
慎二さんからのメールも無視した。
これが奥さんの狙いかも知れない。
だけど、もう、これでいいんだ。
不倫はリスクが大きい。
実は、ユミさんの会社は、不倫に関して厳しい。
かつて不倫をしていてバレた先輩がクビになった話しも聞いている。
つづく。。。