風通庵-直言

ヨモヤマ話

教育3法案に政治の風か?

2007-01-29 11:15:12 | Weblog
 教育3法案即ち教員免許法、学校教育法、地方教育行政法の各改正法案を、安倍首相が今国会へ提出したいとするのに対し、下村博文官房副長官が「成立して欲しいとは思うが、柔軟に考えてもいい」とテレビ番組で述べ、今国会での成立にこだわらない考えを示したことから、兎角安倍首相の指導力に難癖を付けたい報道陣、早速、今国会での成立微妙(読売新聞19、1、29)と、打ち上げた。

 一方、柳沢厚労相が、島根県議の会合での講演で「女性は産む機械、装置の数は決まっている」と言ったと、野党議員が批判し、辞任要求も辞さずとか。それは辞しても無駄だろう。なかなか今日ビ正常な機械が少ない。製造メ-カーの社長が居並ぶ役員と共に頭を下げる事が多い。いや、この問題はちょっと横に置いて、別の機会に回そう。

 -----今国会での成立微妙と、打ち上げた。しかし、首相が一つの大きな目標を掲げ、官房副長官が現実的な見通しを述べて、それでいいではないか。
 そこで、政治の「風」に話題を変えよう。
 これら教育改正問題について、教育再生会議の議論に快く思っていない議員がいる。それも既に新聞で報じられているが、所謂文教族と言う族議員。ゆとり教育の廃止は駄目。もっともっと議論が必要。拙速に過ぎる、3法案を成立させるには時間が足りない等々と。教育界の現状より自分達の権威を重視しているかに見える。
 下村官房副長官の発言にも、政府内でもハ―ドルが高くて全部成立は難しいとの声があるとか、学校教育法改正案で副校設置の議論が進んでいないとか、地方教育行政法の関連でも、人事の硬直化とか教育水準の格差とか、要するに「議論が進んでいない」、この一言。目的は、議論を進めての「先送り」。そして、首相の指導力がどうの、取り巻き連がどうのと批判に晒す。物事がなかなか進まない。議論の名の下に進まない。

 だから、国会の審議はすべて風まかせということになる。一般的な政治風景がこんな姿である。このようなわが国の政治風土を「和治」(ル―ル・オブ・コンセンサス)と論じたのは日本国際フォ―ラム理事長伊藤憲一氏である。(産経新聞「正論」18、9、26)これは、民主主義の「法治」国家に対して、ロシアの「力治」国家、中国の「人治」国家とお国柄を巧みに言い表したものである。
 わが国を「和治」国家とは言いえて妙である。
 consensus,即ち、一致、同意、大多数の意見、総意、世論と解される。このコンセンサスを政治の世界に置き換えるといつも聞かれる「議論を尽くして」だ。この言葉の影に隠れて支援団体の意思を反映させ、反対意見を正当化し、審議を遅らし、法案を先送りさせ、結果首相の指導力がないと人ごとのように言ってはばからない。仮に指導力を発揮して、強行手段をとれば既に言われている「右傾化」、独裁者と遠慮なく批判する。だからこその「風」たより。

 議論を尽くして国民世論を喚起し、何事も総意を持って決定する。これがもう既に民主主義の論理を逆利用していることになる。ブログ子常に主張している「修正民主主義」の考え方は、熟成しすぎた民主主義の弊害を少なくする思考。氏の言う「和治」国家がいい悪いは別にして、現状の異論のない分析が、ますます政治の停滞を招かない事を乞い願う。