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RWB魔法学園物語(6)

2012-08-06 | RWB魔法学園物語
私は躊躇していました。

トカゲは優しい目になって
安心しな。
俺がいなくなりゃ、友達の呪いも解けるよ。
この姿の俺にゃ死後も継続させられるくらいの魔法は使えないからな。

なに、お前を恨んじゃいないさ。
むしろ感謝している。
最後に優しくしてもらったからな

と力のない声で説得してきました。


覚悟を決め、トカゲに攻撃魔法を唱えようと立ち上がったその時
おーい、おーい
と、遠くから声が聞こえてきました。
次の瞬間、目の前には声の主である安倍先生が立っていました。

こんなところにいたの?
心配したんだよ。
萩原が、いつまで経ってもマイミちゃんが帰らないからっ、て教えてくれて

顔を見た瞬間、安心して泣き崩れそうになった私を、安倍先生は受け止め、頭を撫でてくれました。

あの……
しばらくして、すっかり忘れていたトカゲが声を出しました。
さっきから僕、苦しくて仕方ないって言ってるじゃないすか

安倍先生は大変、驚いていました。
あらあ、しゃべるトカゲ初めて見た

トカゲは
いや、本当はトカゲじゃないんですけど。
なんていったらいいか

と途切れ途切れの言葉で反論しました。

私は最初から、安倍先生にすべてを説明しました。

あの、なるべく早く説明してね。
もう堪えられないから本当

と、トカゲが言いました。


安倍先生は話を聞いて、なにかトカゲについて思い当たることがある様子でした。
それはよっぽど怖ろしいことなのかと思うくらいに、体を震わせていました。
やがて、安倍先生はトカゲに攻撃魔法を唱える覚悟を決めた様子でした。

私は咄嗟に
あの、そのトカゲ助けてあげることはできないでしょうか。
できれば、元の姿に戻して、昔のように自由にしてあげられたらって

とお願いしていました。

悪いことをしたから、うちらの先輩の偉い人が封印したんだよ。
でも私もね、なんだか可哀相な気もするし、できれば生き物の命を奪いたくないんだよね

と、安倍先生も悩んでいるようでした。

そうしている間も、トカゲは苦しそうにしていました。
安倍先生も、それを見て同情し、頭を抱えていました。

私はもう、トカゲの辛さを他人事とは思えなくなっていて
全部、私が責任取ります。
どう責任取っていいのかわからないけど

と安倍先生をひたすら説得しました。

安倍先生もついに
こうなったら私も責任取る
と言い、トカゲの封印を解いたのでした。


トカゲはみるみるうちに大きくなり、なんと、赤いドラゴンへと姿を変えたのでした。

あなたドラゴンだったの?
本当にいたんだ、びっくり

私が驚いているとドラゴンは
今までのやりとりで、気が付かないのはあなたぐらいだろうね
と、くぐもった声で言いました。


安倍先生は
私も本当はびっくりして立ってられないくらいなの
と私に耳打ちしました。
続いてドラゴンに対し、厳しい顔をしながら
助けてあげたんだから、これからは誰もいない静かな場所で一人で暮らしなさい、いいわね
と恐怖心を隠して説得しました。

しかしドラゴンは、頭を振ったのでした。

安倍先生はそれを見て
あーあ。
やっぱりこうなった。
ドラゴンが本気になったら地球が滅んじゃうかもよ。
あーあ

と泣きそうな声で嘆きました。

ドラゴンはゆっくりと、私と安倍先生に近寄ってきました。
私は『殺されるかも』と思い、目を閉じていました。
しばらくして安倍先生が何度も肩を叩くので目を開けると、ドラゴンは跪いていました。


まさかこのポーズは
安倍先生は、私の質問に対し、ゆっくりと頷きました。

ドラゴンは、動物がみずから魔法使いのお供になりたい時の体勢を取っていたのでした。

私が迷っていると、安倍先生が
お供になった動物は、決してわるいことをしないって言われてるのよ。
だから、この世の平和のためにも受け入れちゃいなさい

と、説得してくれました。

私は、ドラゴンに契約の魔法をかけました。
こうして、なんとドラゴンが私のお供の動物になったのでした!

ありがとう、マスター
ドラゴンは言いました。


安倍先生は興奮し
すごいすごい。
私の生きてる時代に竜使いが現れるなんて!
その誕生の場に居合わせることができたなんて!


そんなにすごいことですか?
私が軽く尋ねると、先生は
すごいなんてもんじゃないよ。
竜使いは何千年に一度現れて、世界を救うって言われてる存在なのよ。
なにより単なる学園の伝説って思われてた竜が本当にいたってね、これ相当びっくりな話なんだから!

と怒っていました。


ドラゴンは、チナミも元の姿に戻してくれました。
チナミは、なにが起こったのかまったくわかっていない様子でした。

二人をよそに、安倍先生は
今日から毎晩、学園は竜使い誕生のパーティーになるかもね
と興奮していました。

ところで、どうして道に迷ったの。
道案内の魔法、使ったんでしょ

先生の質問に
それが、杖をなくしてしまったんです
と私が答えると、安倍先生はお腹を抱えて笑い出しました。

しっかりしてよドラゴンマスター。
杖がなくったって道案内の魔法は使えるわよ。
杖があったほうが灯りになるし、便利なのは確かだけど

安倍先生はそういうと、草むらに向かって道案内の魔法を唱えました。

すると一匹のウサギが出てきて、学園へ向かって一直線に駆け出しました。
安倍先生はウサギを追いかけながら、私達に向かって
あなたたちもやってみなさい。
夜が明けるまでに学園にたどり着けたら、飯田先生に特別に補習をやってもらえるように私も頭を下げて頼んであげるわ。
なんていっても、あなたはドラゴンマスター様なんだから。
竜使いが落ちこぼれ生徒だなんて学園の恥だものね。
じゃあね

と言い、一人で帰っていってしまいました。


チナミはドラゴンを指さし
これに乗せてもらったら
と言いました。

ドラゴンは私に
確かに、俺が飛べば学園だろうが地球の裏側だろうが一瞬で好きなところへ行ける。
でも俺の1回の羽ばたきで、何万という小さな生き物が死滅するとも言われている。
それでもマスターはたいした用でもない時に、俺に乗りたいと思うかい?

と問いかけました。

私が頭を振るとドラゴンは
それでこそ、私の見込んだマスターだ
と嬉しそうに言い
普段はこの大きさだとなにかと不便だ。
こうしていよう

と、自らトカゲへと姿を変えたのでした。
そして
なんか、こっちのほうが慣れてるせいか安心するなあ
と私の肩に乗り、眠ってしまいました。


さて先生、今回の提出物はこれでおしまいです。
お疲れ様でした。

最後にクイズを出したいと思います。
私とチナミは朝までに無事、学園へと帰ることができたでしょうか?

夜明けまでには意外と、たっぷり時間はあったんですけどね。


……チナミが道案内の魔法をかけたのが、シャクトリムシだったんですよ。


(つづく)


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