それは、昔の話。
当時、青年だった玄信は天才魔法使いと呼ばれ、数々の難事件を解決していました。
英雄現れし時、決まって悪も存在するのが世の理であります。
西の海に強奪、殺戮を繰り返す海賊がいました。
真の名はわかりませんが、その男は眼流と呼ばれていました。
眼流は魔法使いではありませんでしたが、怪しい術を使い、別名を『不死身の海賊』といいました。
そこで玄信はRWB魔法学園より眼流退治の依頼を受けることとなりました。
玄信は魔法により、たやすく眼流の居場所を発見し、二人は眼流の船上でにらみ合いました。
眼流にとって海は我が家のようなもの。
波を操り幻覚を見せるなどして、玄信はいつものような活躍ができずにいました。
天才と呼ばれていた玄信は大変プライドが傷つきました。
「この俺が海賊風情に劣勢に追い込まれるとは」。
そしてとうとう、玄信は禁じ手とされていた呪いの力を借りることになるのです。
玄信に呪いをかけられた眼流は、人ではなくなってしまい、どこかへ逃走していきました。
一方、強力な呪いの力は、かけた本人である玄信にも影響を及ぼしていきました。
心に闇が広がっていき、眼竜から奪った船や宝を手にし、今度は玄信が二代目眼流とでも呼ぶべき海賊になっていったのです。
魔法の力も徐々に失われていき、1回分使えるかどうかの魔力を所持するのみとなりました。
玄信はかつて魔法使いだったという自分のことを忘れないためにも、その魔法力を使わずにいることを決心しました。
自分自身に絶望しながらどうすることもできずにいた玄信ですが、とある話を耳にしました。
『どんな呪いも解いてしまう不思議な玉がある』と。
『その玉は九州の西にあるX島のほこらに飾られているが、普通に見つけることは困難である』
『魔法の地図を使えばあるいは見つけられるかもしれない』
『玉を見つけただけでは駄目で、その玉を今度は北海道の東にあるZ島に持っていき、そこに飾られている竜の像の手に持たせることによって呪いは解かれるであろう』
十年以上かけ、玄信はこれらの情報を手に入れました。
これは自分が魔法使いに戻れる唯一の機会となるだろう、と玄信は考えたのです。
さらに五年後、ついに玄信は魔法の地図を手に入れることとなりました。
「あとは間抜けな魔法使いをX島へ連れていけば玉を見つけることができるぞ!」
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「ちょっと待って。その間抜けな魔法使いってあたしのこと?」
玄信の話をさえぎり、モエが尋ねました。
「他に誰がいる?」
「失礼ね!」
と、その時。
大きな音とともに、船が大きく揺れました。
(つづく)
当時、青年だった玄信は天才魔法使いと呼ばれ、数々の難事件を解決していました。
英雄現れし時、決まって悪も存在するのが世の理であります。
西の海に強奪、殺戮を繰り返す海賊がいました。
真の名はわかりませんが、その男は眼流と呼ばれていました。
眼流は魔法使いではありませんでしたが、怪しい術を使い、別名を『不死身の海賊』といいました。
そこで玄信はRWB魔法学園より眼流退治の依頼を受けることとなりました。
玄信は魔法により、たやすく眼流の居場所を発見し、二人は眼流の船上でにらみ合いました。
眼流にとって海は我が家のようなもの。
波を操り幻覚を見せるなどして、玄信はいつものような活躍ができずにいました。
天才と呼ばれていた玄信は大変プライドが傷つきました。
「この俺が海賊風情に劣勢に追い込まれるとは」。
そしてとうとう、玄信は禁じ手とされていた呪いの力を借りることになるのです。
玄信に呪いをかけられた眼流は、人ではなくなってしまい、どこかへ逃走していきました。
一方、強力な呪いの力は、かけた本人である玄信にも影響を及ぼしていきました。
心に闇が広がっていき、眼竜から奪った船や宝を手にし、今度は玄信が二代目眼流とでも呼ぶべき海賊になっていったのです。
魔法の力も徐々に失われていき、1回分使えるかどうかの魔力を所持するのみとなりました。
玄信はかつて魔法使いだったという自分のことを忘れないためにも、その魔法力を使わずにいることを決心しました。
自分自身に絶望しながらどうすることもできずにいた玄信ですが、とある話を耳にしました。
『どんな呪いも解いてしまう不思議な玉がある』と。
『その玉は九州の西にあるX島のほこらに飾られているが、普通に見つけることは困難である』
『魔法の地図を使えばあるいは見つけられるかもしれない』
『玉を見つけただけでは駄目で、その玉を今度は北海道の東にあるZ島に持っていき、そこに飾られている竜の像の手に持たせることによって呪いは解かれるであろう』
十年以上かけ、玄信はこれらの情報を手に入れました。
これは自分が魔法使いに戻れる唯一の機会となるだろう、と玄信は考えたのです。
さらに五年後、ついに玄信は魔法の地図を手に入れることとなりました。
「あとは間抜けな魔法使いをX島へ連れていけば玉を見つけることができるぞ!」
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「ちょっと待って。その間抜けな魔法使いってあたしのこと?」
玄信の話をさえぎり、モエが尋ねました。
「他に誰がいる?」
「失礼ね!」
と、その時。
大きな音とともに、船が大きく揺れました。
(つづく)