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RWB魔法学園物語(5)

2012-08-06 | RWB魔法学園物語
大きなお墓の近くにあった建物に、私とチナミは入っていきました。
中は真っ暗でしたが、これで獣に襲われる心配はなくなりました。

私もチナミも大変疲れていたので、すぐにその場に座り込んでしまいました。
すると突然、奥のほうから声が聞こえてきたのです。


ヤア!
一瞬オバケかと思い、怖くて震えました。

誰か、いるんですか
怖がりながらもチナミが訊いてくれました。
恐れることはないよ。今からそちらに行きます
不思議な声が答えました。

私は身構えて、魔法で灯りを付けました。
杖のような明るさはありませんでしたが、どうにかものの形がわかる程度にはなりました。

声の主が、ゆっくりと姿を現しました。
なんと、一匹のトカゲだったのです。
私もチナミも、ハ虫類があまり得意ではなかったので、それを見ると悲鳴をあげて逃げ回りました。

驚くのも当然だよね。突然トカゲがしゃべり出すんだもの
トカゲは冷静にそう言いましたが、あまりに二人が嫌がっているので泣き出してしまいました。

どうして泣いているの
襲われることがないとわかって安心したのか、チナミが尋ねました。

僕は元々、人間だったのです。
しかも一国の王子でした。

我が国には、やがて王となる時のため、王子はなにか大きな試練を乗り越えなければならないという決まりがありました。

ある日、我々の国に客人として一人の魔法使いがやってきました。
魔法使いは父である王に、今私達のいるこの島に悪さをする竜がいて、王子がそれを退治すればこの上ない名声を博することになるだろうと伝えました。

賛同した父はこの魔法使いを同行させ、私を竜退治に向かわせました。
ところが魔法使いは島に着いた途端、私の家来を魔法で虫けらに変えてしまいました。

私もトカゲに姿を変えられ、この建物に閉じこめられてしまいました。
そして我々の金品を奪うと逃げていったのです。

……まあ、こんなこと言ったところで信じてもらえるとは思いませんが

トカゲは悲しげに目を伏せました。

私とチナミは顔を見合わせ、トカゲ、いや王子様に同情しました。

元の姿に戻る方法はないんですか?
と、私はトカゲ王子に訊きました。

トカゲは目を伏せたまま
方法は簡単です。
でも、あなた達がそんな態度では無理かもしれません

と答えました。
どうすればいいんですか。
協力させてください

そうですか。
では言いましょう。
私にキスしてください。
そうすれば魔法使いの呪いは解け、元の姿に戻ることができます


正直言うと私はその時、トカゲにキスをする自分を想像して鳥肌が立ってしまいました。
チナミもやはり嫌だったようで『舞美がやりなよ』と言いたそうな目でこちらを見ていました。

どうぞどうぞ、と小声で譲り合っていると、だんだんと王子は腹を立てていきました。
わかりましたよ強欲なお嬢様がた。
どちらか私にキスをしてくれたほうには、ご褒美を差し上げましょう

褒美って、なんですか」チナミが訊きました。
なんでも。
好きなものを差し上げましょう。
現金でも土地でもなんでも。
なんてったって私はプリンスですから


するとチナミは私に耳打ちしました。
私ね、家族と愛犬のルートと一緒にプール付きの家に住むのが夢なんだ。
そこでアシカとオランウータンを飼うの。
マイミにもご褒美、分けてあげるからお願い!
私にやらせて


私が承諾すると、チナミはゆっくりとトカゲの王子様に近寄っていきました。
そしてこわごわとトカゲを持ち上げ、目を閉じると、おでこにキスしました。

その瞬間、トカゲが笑ったように見えました。
気が付くとチナミは……石像へと姿を変えられていました。

トカゲは高笑いをすると
まだこのくらいの魔力は俺にも残ってるわ
と言って、私を睨みました。

あの、突然どうしたんですか王子様。
チナミは、どうなったんですか

私の質問に対し、トカゲはあ然とした表情になりました。
そして
まだわからないのか。
俺は王子なんかじゃないよ。
騙されたんだよ。
こいつは俺に触れたことで、石に変える魔法をかけることができたってことさ

といって、また高笑いをしました。

騙された悔しさと、チナミを石に変えられた悲しさで思わず涙がこぼれました。
お願いです。チナミを元に戻してください
私が頼むと、とトカゲはあっさりと
いいよ
と言いました。
ただし、条件がある

トカゲは、再び建物の奥へと引っ込んでいきました。
しばらくして紙を一枚、口にくわえて戻ってきました。
お前はここの魔法学園の生徒だろう。
だったらこの呪文を唱えろ

紙をわずかな灯りを頼りに見てみると、確かに呪文が書いてありました。

こいつらをお前らの学園に侵入させ、どうにかこの呪いを解く方法を見つけ出したんだ。
何年かかったと思う。
ここまで長かったぞ

トカゲは地面を這う小さな虫たちを見ながら、怒りを露わにして、そう言いました。

この虫さんって、もしかして元々家来だったんですか?
と私が訊くと、トカゲは怒りの表情から諦めの表情になり
それもこれも全部、嘘だっての。
全部説明しないと理解できないのか、お前は

と、ため息を漏らしました。

そもそも俺をこんな姿にしやがったのは、お前の学園にいた奴だ。
だからお前がその責任を取るのは、当然といえば当然なわけだ。

そいつは何百年も前に、ここら辺で自由気ままに暮らしていた俺を、突然トカゲに変えやがった。
俺は寝たいときに寝て、腹が減ったらどんな生き物でも殺して食べていたし、翔びたい時に翔んでいたからな。
でもそれが俺達の本能だ。
今から思えば俺も当時はまだまだ子供だった、とは思うけどな。

辛かったぞトカゲの生活は。
ここから出ることもできなかったしなあ。

俺はこんな姿になっても僅かに残っている魔力を使って、ここにいる虫達をお前らの学園に侵入させ、元に戻る方法を探った。
例えばミミズみたいなもんが呪文の書かれた巻物を粉々にして飲み込み、ここへ戻ってくる。
そしてまたどうにかして、元の巻物に復元する、てな具合だな。
大変な時間と労力だったぜ。

こうして呪いを解く呪文はわかった。
あとは実際に呪文を唱える奴が必要だ。
そして百年くらい待って、あんたら二人が現れた、ってわけだ。

さあ、さっさとその呪文を唱えろ。
じゃないと友達はいつまで経っても石のままだぞ



私は呪文の書かれた紙を見ました。
チナミのためにも、ここは言われた通り、唱えるべきだと思いました。

でも、できませんでした。
その呪文は、わからない言葉が含まれていたからです。

それはチナミとおしゃべりしていて遅刻して、受けさせて貰えなかった授業で習うべき言葉でした。

わかりません
そんなこと言って、友達を見捨てるのかお前は
だって……
私は正直に、トカゲに事情を話しました。
トカゲは呆れて、しばらくひっくり返っていました。

わかったよ、じゃあ、できるところだけ読んでみろ。
わからないところは、どうにかごまかして適当に読め

そうしたら、チナミを元に戻してくれますね?
ああ、うまくいったらな

私は、呪文を唱えました。
○×ホニャララ〒↓~
すると、トカゲの身体が光りに包まれました。

やった、元に戻ることができるぞ
トカゲは喜びました。
しかし。
突然、苦しみだしました。
くそ、失敗だ。
やっぱり駄目だったか、おちこぼれの魔法使いめ。
頭が、頭が痛ぇ!
体が引きちぎられるようだっ!

トカゲは、とても苦しそうでした。
間違った呪文を唱えたことで、より強力な呪縛がかかってしまったようです。

私は、なんだかかわいそうになってしまいました。
どうにか苦しみを和らげてあげたいと思い、気が付くとあの苦手だったトカゲを抱きしめていました。

ば、馬鹿野郎。
そんなんでこの苦しみがなくなるかよ

トカゲは弱い声で言いました。
どうしたらいいですか。
私、なにをやったらあなたを楽にしてあげられるかな


トカゲは、びっくりして何も言えなくなってしまいました。
やがて
いっそ、お前の魔法で消してくれ
と一言、小さな声でいいました。


(つづく)


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