福島とつながる種まきプロジェクトネットワーク

(通称:たねまきネット)
農と食を中心に、小さな種をまきながら、永続的な支援活動を行う。

第9回 「農を変えたい 東北集会」

2014年03月16日 | 福島有機ネット

第9回 農を変えたい 東北集会 in ふくしま』

 青森県を除く東北5県で持ち回り開催している『農を変えたい』は今年で9回目、福島県での開催ということで参加してきました。お世話になっている福島県のたくさんの有機農家さんにお会いできるのも楽しみのひとつでした。

 

 

3/1(土)仙台駅より見学バスに乗り込み、まずは2ヶ所の現地見学に向かいました。

途中、今年から米作りが一部再開するという仙台平野の田んぼ、並んでいる亘理・山元のイチゴのハウス、飛行機の発着している仙台空港を見ると、よくここまで復興したなと感慨もひとしおでした。

     

そしてバスは福島県に入り、新地町の津波被災地見学。新地町は福島県の海沿い(浜通り地方)で最も北に位置し、放射能の影響は少ないが、津波の被害を受けたところです。新地町役場で現地の方たちもバスに乗っていただき話を伺いながらバスは海辺に向かって走りました。常磐線が通っていたところは道路になり、常磐線は海岸より離れたところに作られることになるそう。新地駅があそこにあったと指さしてもらいましたが何も無くわからず。かさ上げ工事がところどころ始まっていましたが、釣師浜の防波堤は壊れたまま時が止まっていました。煙が見えたのは、東京電力・東北電力の共同出資による新地発電所。原発事故後も福島は火力と水力で首都圏に電気を送っていることを思い出しました。

 

   

  次に南相馬市試験水田見学。南相馬市は福島第一原発の北8~40kmに位置します。相馬野馬追いの神事を行う、原町区の相馬太田神社そばに試験水田(実証田)はありました。2012年には「ひまわり」を植え、そして2013年には122ヘクタールの試験栽培をした(震災前には南相馬市には約5000ヘクタールの田んぼがあったそう)ところ、旧太田村の玄米12袋について基準値超え(全体の0.1%)。取水している太田川や、ダムの水の関係ではないかと、来年度以降の原因究明が待たれるところですが、今のところ今年の作付予定は70ヘクタールで昨年よりも減る見通しとのこと。

  

    実証田(試験水田)の向かい側、奥には相馬太田神社     9月初めの実証田の様子

 福島県有機農業ネットワークの杉内さんは、除染も兼ねて植物油の原料となる菜の花を有機栽培し(植物油はND)、その油は「ふくしまオルガン堂下北沢」でも販売されています。

 同じく福島県有機農業ネットワークで新地町の果樹農家、畠さんから「1年やらないと、元に戻すのは3年かかる」「農地と心の復興が大事」(後の懇親会で、畠さんのリンゴの美味しさが絶賛されていました。)

 

 

         左が杉内さん                       畠さん

 

 相馬市の「ホテル夕鶴」に到着後、新潟大学の野中昌法氏「現場と協働した放射能測定と復興」、東北大学の「浜通りの農業復興を取り巻く状況」の講演を聴き、懇親会へ。

   

有機農家が持ち込んだ食材で作った料理もとても美味しく、寄贈していただいた郡山の仁井田本家のお酒も格別でした。「超自然の大地」にも出演している安川さんの元気なお姿を拝見でき、地元の神楽も楽しませていただきました(後継の若者がいるのが心強いです)。

    

   

写真を撮るのを忘れましたが、ホテルの部屋からも、大浴場からも松川浦が望めます。あいにくの雨模様でしたが、お天気が良ければ朝日がのぼる景色は最高だそう。次回の楽しみにしたいと思います。

  翌日は、相馬市総合福祉センター「はまなす館」に場所を移し、茨城大学の中島紀一氏「東北農業のいまとこれから」、元郡山女子大学の平出美穂子氏「食と農の再生に向けて-和食の話-」から。

平出氏の福島県の郷土料理や地産地消のお話は、その魅力を再確認しました。また、血中の残留農薬濃度が通常の2倍以上高い子供には、注意欠陥障害・多動性小学<ADHD>の発症リスクが高いということも初めて知りました。放射能対策に役立つ東北の野菜の話は、日々の食生活をより大切にしようと思いました。

  

 次は以下の4つの分科会に分かれました。①脱原発と有機農業 ②東北の食の豊かさをみつめて ③都市と農村の交流と地域づくり ④東北の農業と農政のゆくえ

私は④東北の農業と農政のゆくえ、に参加しました。農林水産省の「人・農地プラン」「環境保全型農業直接支払交付金」「青年就農給付金」の話が出ました。実態は大変ですが、ある方の、新規就農を目指す若者が生活できるようにしてあげたいとの言葉に胸が熱くなりました。

  お昼をはさみ、午後は若手の会(菅野瑞穂さん)、女性の会(浅見晴美さん)の報告から。

  

  ミニシンポジウムでは、田村市の農家の大河原海くん、下北沢にある「ふくしまオルガン堂下北沢」で料理を担当している伊達市出身の佐藤紀子さん、猪苗代の農家の土屋勇輝くん、喜多方市山都町・チャルジョウ農場の小川未明くんの分科会の報告。持ち時間5分をきっちり守り、その発表からも頼もしいかぎりです。

山形・秋田・宮城・岩手からも、それぞれの取り組みの話。感心することがたくさん。秋田のアグリアサノファームの浅野洋子さん、10年前から始めた有機農業まっすぐで「きちがい」と呼ばれる、とおっしゃっていましたが、凜としてその瞳の輝いていること、とてもまぶしく見えました。

秋田県立大学の谷口吉光氏からは、2010年から開催している「オーガニックフェスタ in 秋田」にてついての話。昨年11月は郡山市で開かれた「ふくしまオーガニックフェスタ」に参加しましたが、オーガニックフェスタは、有機農家と消費者がつながる機会であるので、各県の取り組みを情報交換して切磋琢磨し、それぞれの地産地消につがなるといいなと感じました。

 

集会のまとめは福島大学の長谷川浩氏。そして、今回の実行委員長で、たねまきネットのみんなも食べているお米を作っている、福島県有機農業ネットワーク・副理事の渡部よしのさんより「大会宣言」。来年の開催地・宮城県からの代表者あいさつ。最後は福島県有機農業ネットワーク・理事長の菅野正寿さんの言葉で大会は終わりました。

   

この2日間、志を高く持つ東北の有機農家に接することができ、あらためて自分たちの健康は農家の方々が丹精込めて作ってくださる野菜や米に支えられていることを実感しました。福島県の震災後に復旧した農地は震災前の16%と新聞記事にありましたが、放射能と向き合いながら耕し続ける方々を、ずっと応援し続けたいと思いました。

 

 


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