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『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

トランプ大統領のおかげでした…日本人が「トランプ関税でイノベーション」に感謝する未来

2025-04-16 05:15:02 | 日記
 トランプ関税は、本当に悪いことばかりなのか――。突然始まった世界経済における秩序の崩壊によって、金融市場を中心に混乱が広がっているのは間違いありません。しかし、トランプ大統領には各国と痛み分けをしてでも実現したい「利益」があるのです。「トランプ関税で最も大きな被害を受ける人たち」が誰なのかわかると、「本当の狙い」まで自ずと見えてきます。さらに、「トランプ関税」という強力な外圧は、停滞する日本経済を活性化させる起爆剤になりえる、と言えば驚かれるでしょうか。悲観論ばかりが蔓延するトランプ関税の「ポジティブな側面」にも光を当てます。(鈴木貴博氏一部抜粋) 


トランプ関税が90日間の猶予の後に発動されると「世界経済の前提がまったく変わってしまう」と言うのですが、せっかくですから具体的にどう変わるのかを考えてみましょう。  この先、ディールで条件が変わる可能性もあるのですが、今のところという前提でお話しします。日本が輸出する自動車にはこれまでの関税に加えて25%が上乗せされます。 そうなると輸入するアメリカから見れば日本車の原価は単純計算で1.25倍になります。日本で300万円の車はアメリカでは約375万円になるという計算です。トヨタはこのコスト差を企業努力で吸収してアメリカでの販売価格を維持する方針です。  「そんなことが本当にできるのか?」 ここがひとつのポイントで、当面の間はできると思います。この問題をシンプルに考えると、コストが1.25倍になることは、たとえば為替レートがこれまでのように1ドル=150円近辺だったのが急に1ドル=120円となったのと同じだと考えることができます(計算式は150円÷1.25=120円)。  考えてみればアベノミクス初期の為替レートは1ドル=100円付近だったわけですから、当時企業努力で耐えられたものは今でも耐えられるだろうというのが王者トヨタの受け止めでしょう。 
おなじ理屈で、自動車やアルミ鉄鋼以外の日本製品は24%の相互関税でコストが1.24倍になり、1ドル=120円近辺の為替レートです。ファナックも安川電機もパナソニックもうろたえるほどの話ではないと捉えることはできないことではないでしょう。  ただ話はそう簡単ではありません。円安になるたびにボロ儲けというこれまでの構造で日本の輸出企業はここまで株価を上げてきたのですから、一瞬で前提が超円高(と同じ)に戻ったら株価が急落するのはあたりまえです。  この話をさらに俯瞰して、一歩引いて日本全体で眺めてみると大変な話です。新しい経済のルールでは、「自動車を輸出するときは1ドル=120円だけど、小麦や大豆を輸入するときは1ドル=150円で計算するからね」というものです。ずるいですよね。向こうに圧倒的に有利な条件です。  「じゃあ対抗して日本も相互関税24%で報復だ」  などと考えたら状況はもっと悪くなります。小麦の輸入が1ドル=186円になる(計算式は150円×1.24=186円)のと同じです。この4月に食品中心に4000品目以上が値上げされたのに、その値上げがさらに加速して庶民の生活がどんどん苦しくなってしまいます。  「でもアメリカ人も車の価格が上がるからインフレで得をしないんじゃないの?」  これがこれまでの経済人の感覚でした。世界経済のルールを捻じ曲げると誰も得をしないので、トランプもそこまで乱暴なことはできないんじゃないか?というのがこれまでの常識でした。  今回、トランプ大統領がそこに踏み込んだということは、意図的に双方の経済が悪化しても、それでもアメリカにプラスになると判断したということです。トランプ大統領の視点でどうプラスなのかを考えてみます。
 今、数字上はアメリカは世界で最も豊かな国のトップ10に入っています。ひとりあたりGDPが約8万3000ドルでこれはG7の中では最上位です。一方の日本は世界32位で約3万4000ドル。G7では最下位です。  しかし、トランプ大統領と共和党支持者にはこの状況はそう見えてはいません。  アメリカ合衆国は2つに分断されています。  「いまやアメリカはひとりあたりGDP13万ドルの豊かな州と、ひとりあたりGDPが日本並に貧しい3万ドルの州に二分されている。その平均の8万ドルという数字には意味はない」  これがトランプ支持者の視点です。  その国のひとりあたりGDPは、体感的にはその国の中流家庭の年収レベルと同じだと考えることができます。日本の中流家庭の世帯年収が500万円ぐらい(つまり3万4000ドル)という感覚です。  アメリカではトランプに反対する民主党勢力が強い州は西海岸と東海岸に集中しています。シリコンバレーを有するカルフォルニア州はその典型ですが、そのシリコンバレーでは年収2000万円(つまり13万ドル)ぐらいないと中流の生活はできません。  日本の感覚で年収1000万円というと高給ですが、カルフォルニアではまともな家も借りることができない年収水準です。一方でマクドナルドの時給は州法により最低でも20ドル(約3000円)ですから、エッセンシャルワーカーでも年収600万円近くを稼ぐことができます。物価も高いけど給与も高いから生活は成立するわけです。  問題は共和党支持者が集中するアメリカの中西部や南部です。ひとりあたりGDPが本当に日本並に貧しいかどうかは州ごとに格差がありますが、農業と工業を主力産業とするこれらの州がアメリカ合衆国の中で相対的に貧しくなっていることには間違いありません。  
トランプ大統領はラストベルトの農業と工業にフォーカスして、そこで雇用と年収が増えるように経済を誘導しようとしているのです。  経済学の知識では、トランプ関税のようなことをしたらインフレで物価は上がりますし、世界全体で経済成長はマイナスになります。世界中の経済学者たちがトランプはバカだと勘違いして警告してきたのですが、トランプが聞く耳をもたなかった。「狙いはそこじゃない」ことに経済学者は気づいていなかったのです。  「4月2日はアメリカの解放記念日だ」  とトランプ氏は宣言しています。アメリカはこれまで自由貿易の名のもとに世界中から搾取されてきた。アメリカ人が得るべき利益は中国やベトナム、メキシコに吸い取られてきた。トランプ関税はそれを是正するというのです。   
● トランプ関税がもたらす 既成概念の破壊で日本が変わる  
トランプ視点で「解放記念日」をきっかけにアメリカ経済はどう変わるのでしょうか。経済学の知識をもとに、次のように予測することができます。
 
 「新しいアメリカではこれまで豊かだった州がひとりあたりGDP9万ドルになってしまった。しかしかつて日本並に貧しかった中西部の州ではひとりあたりGDPは5万ドルとドイツ並になった。物価は20%のインフレになったが、中西部の経済成長はそれをはるかに上回る」  カルフォルニアにスタグフレーションが起きてアメリカ全体のひとりあたりGDPがたとえ7万ドルに縮小しても、オハイオが実質経済成長するならばトランプの勝ちです。  現実にはこのような勝利はトランプ退任よりももう少し先になるでしょう。経済予測としてはトランプが成功する場合は、トランプの後継者と目されるバンス副大統領が大統領として2期を務めあげた12年後が、このような勝利の到達点となるはずです。  一方で世界のリーダーたちが期待するようにトランプが敗北して2年後の中間選挙で大敗すれば、この大変革は終わりを告げるでしょう。 後者のシナリオが日本経済に好ましいことは確かですが、期待に反してトランプ=バンス改革が12年の長期に渡るとした場合に日本はどうすべきなのでしょうか。  トランプ大統領は日本にもディールを求めています。名指しをされたのは日本がコメを輸入していないことと、非関税障壁のせいでアメリカ車が買われないことです。  私は日本人としては例外的にアメ車に乗っています。テスラのモデルYです。正確に言えばテスラの上海工場から出荷された製品なのでアメ車と呼んではいけないのかもしれませんが、ここでの論点はそこではありません。テスラに乗っていると確かに関税以外のところで不便を感じるのです。
 ひとつはテスラのスーパーチャージャーは高速道路を降りた場所にしか設置されていないのです。日本車のEVはサービスエリア内の充電器で充電して高速道路を走り続けられるのですが、テスラの場合はインターを降りて充電する仕組みになっています。  これは高速道路を運営するネクスコなどの民間企業がそういった方針をとっているだけで、石破首相が指示したわけでもなんでもないのですが、トランプ大統領から見ればネクスコと国土交通省の区別がつかないのかもしれません。  もうひとつ挙げておくと日本政府はテスラの技術を信用していません。そのせいでテスラユーザーは高速道路で運転をする際に、危険な状態に陥ることがあります。  テスラの高速道路での運転支援システムを使っていると、実は頻繁に中央の表示パネルに、「ハンドルを少し動かしてください」という表示が出ます。そのたびにハンドルを動かすのですが、新東名を時速120kmで走っているときにちょっと動かすと車が大きく左右に軌道を外します。  運転に集中して前だけを見ているときにこの指示を見落とすことがあります。それが続くと自動で運転支援が解除されて使えなくなります。これを避けるためにテスラを高速道路で運転するときには中央のパネルを凝視するのですが、それを続けると、「ちゃんと前を向いてください」と表示が出ます。それまで使っていたスバルやトヨタなど日本車では一般道路でも運転支援が使えるのと比較して、テスラは政府にいじめられている感じをイチ利用者としては感じるのです。  日本政府はトランプ大統領に対して、「日本がアメリカに一番投資をしている国だ」と主張しているのは正しい主張だと思いますが、トランプやその側近に響くかどうかは別問題でしょう。  日本の関税が緩和されるためのディールとしては、 1. ここからさらにアメリカに工場を増やす 2. コメをもっと買う 3. 自動車をもっと買う  という目に見える成果があったほうがいいわけです。  とはいえ1は今から計画変更しても成果が見えてくるのは3〜4年先になります。各企業の立場からは2026年の中間選挙まであと1年は様子をみたいでしょうから経済政策としての即効性はありません。
カルフォルニア米の輸入は、令和のコメ騒動のおかげでこの先、外食チェーンを中心に購入量は増えるでしょう。この2の部分は目に見えやすい成果が出しやすいかもしれません。一方で3の車の輸入は難しい。全国の自治体でテスラを公用車にすることを義務付けるぐらいしないとトランプ政権にはアピールできないかもしれません。  では、トランプ関税はこのままいくと日本経済にマイナスしかもたらさないのでしょうか。仮にこの状況が12年間続くとした場合、世界経済にも日本経済にもプラスをもたらす可能性があります。  それは世界中の旧仕組みが徹底的に壊されることから始まります。  思い出していただきたいのは今回の騒動の発端です。最初はカナダとメキシコから始まりました。トランプ大統領といえばメキシコ国境に壁を作ったことが有名で、そのせいで移民が論点だと感じている方も多いかもしれませんが、それだけではありません。  今、カナダとメキシコ経由で、中国で製造されるフェンタニルという麻薬が医薬品の形でアメリカに流入していると言われています。フェンタニルは痛み止めとして処方もされるのですが、成分はケシ由来のヘロインと類似していて中毒性があります。  トランプ氏は薬物が大嫌いで、違法薬物のまん延がアメリカ社会を悪くした原因のひとつだと考えています。実際に起きていることは21世紀のアヘン戦争と同じで、違いはかつてはイギリスが中国にアヘンを輸出していたが、現代では中国がアメリカにフェンタニルを輸出しているだけだというのがトランプ氏の立場です。  中継地となっているカナダとメキシコにもそれぞれ言い分があるのでしょう。官僚的なやり取りだけではアメリカからフェンタニル中毒者をなくすことはできそうにもありませんでした。ところが今回の騒動で、カナダの首相もメキシコの大統領も、この問題を優先して取り組まざるをえなくなった。ここがポイントです。
 日本では令和のコメ騒動以来、農林水産省とJAによる旧来の政策が批判を浴びています。減反を推奨し、離農する農家が増えている現状は、このままでは日本の農業を衰退させると危惧されてきました。その長年動かなかった壁が、トランプの外圧で動き始める可能性が出てきました。  アメリカ車については、テスラだけでなくグーグルのウェイモなど自動運転が政治的な争点になるでしょう。日本政府が徹底的に抵抗してきたライドシェアの壁が動き、日本全国でアメリカ製のロボタクシーが導入され始めるとしたらどうでしょう。タクシー業界には激震が走るでしょうけれども、地方都市では住民に新しい足が生まれて、地方経済はプラスに動く可能性が出てきます。  結局のところ、日本経済に欠けているものはイノベーションです。そして日本経済が本質的に成長できないのは、補助金でイノベーション企業を後押ししながら、法制度でその足を一生懸命ひっぱっているからに他なりません。  この構造が壊せるのは、残念ながら外圧だけ。それは世界中で同じです。そう考えるとトランプ関税は短期的には世界経済の足をひっぱることになるでしょうけれども、それが2年でついえるのではなく、12年の長きに亘って続いた方が、日本の若い世代にとってはよい未来だったと後から言える変化なのかもしれません。石破氏は関税措置に対し「極めて遺憾」と述べているが、その発言では状況はちっとも変わらない。状況を打開できる首相に交代して 景気対策としての、消費税減税、是非とも勝ち取っりたいですね。


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