『名も無く豊かに元気で面白く』

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高齢化経済最先端25年、人口減少してきた秋田藤里町は、将来の世界にとって貴重なモデルケース

2020-10-12 06:26:53 | 日記
菅首相の生まれた秋田県にある小さな町、藤里町は人口の半数以上が65歳以上という高齢化の最前線にある。 日本では少子化が進みこの10年、人口は縮みつづけており、人口がピークだった2010年の1億2800万人から、2019年には1億2600万人に減少した。地方の藤里町のような町が世界の少子化、高齢社会の最先端を行っているのです。地方の子育て世代の若者は仕事がなく、地元では生活できない。国は子供が生まれたら一定の年齢まで思い切った補助金を出すべきでしょう。さらに言えば、親が子供手当を自分たちの生活費や飲み代などに使わないように罰則が必要です。自論ですが、クズはどこまでもクズで、大きな外的ショックを与えなければ変われない。秋田県出身の菅首相が選出されたのも偶然ではないかもしれない、世界に貢献するためにも、少子化対策の道筋を示すべきでしょう。❷
秋田県藤里町藤琴の住宅街で7日、近くに住む米森キヨさん(83)がクマに襲われて頭などに重傷を負い、14日に搬送先の病院で死亡した。
 県警能代署によると、7日正午ごろ、町役場から北に約200メートルの空き地に米森さんが倒れているのを近所の人が見つけた。頭の骨が折れており、米森さんは搬送時に「クマに襲われた」と話したという。死因は脳挫傷だった。
 県が藤里町で開いた緊急対策会議では、米森さんが別の場所で栗拾いをした後に歩いていたところ、近くの水路に入っていたクマに気づかないまま近づき、クマが身を守ろうと正面から女性を襲ったのではないかとの見方が示された。住宅街にクマが出現したとしたら藤里町の人口減少は残念ながら加速するかもしれません。
以下抜粋コピー
秋田県は日本で初めて人口の半数以上が50歳を超えた「超高齢社会」だ。ロンドンの経済学者はその事実に驚き、世界で9つの「極限経済」のひとつに取り上げている。そのなかでも藤里町は人口の半数以上が65歳以上という高齢化の最前線にある。
「シャッター通り」と聞いてイメージするとおりの姿
世界的に出生率が低下傾向にあるということは、世界全体が縮小しはじめているということだ。高齢化とは異なり、出生率低下の傾向はすべての国で起こっているわけではなく、アメリカ、イギリス、フランスでは出生率は高めで推移し、移民の流入も多いので人口が維持されている。だがこれらは例外であり、多くの国にとっては少子化によって国のありようが変わろうとしている。
高齢社会の先頭を行く日本では、この10年、人口は縮みつづけており、人口がピークだった2010年の1億2800万人から、2019年には1億2600万人に減少した。イタリア、スペイン、ポルトガルでも、すでに人口減少が始まっており、ドイツは2022年、韓国は2030年代前半にそれぞれ縮小に転じると予測されている。日本の高齢化経済の最先端としてすでに25年以上、人口減少を経験してきた秋田は、将来の世界にとって貴重なモデルケースとなる。
藤里町の大通りは、日本人が「シャッター通り」と聞いてイメージするとおりの姿をしている。どの店も閉ざされ、戸口や窓は上下に開閉するタイプの金属製シャッターがおろされたままになっている。薄れた店名の文字から、かつてはそこがベーカリーだった、靴店だったとかろうじてわかる。通りの反対側の大きな敷地に婦人服店が見えるが、やはり営業していない。さらに進むと、交差点に行き当たるが、そこにあるのは閉鎖したガソリンスタンドと駐車場だ。
10年前の人口は5000人近かったが、現在は3500人に
秋田市の北、約90キロにある藤里町は、隣接する青森県と秋田県を隔てる白神山地の広大なブナ林の端に位置している。衰退の気配が漂う場所だ。10年前の人口は5000人近かったが、現在は3500人しか住んでおらず、日本で最も急速に消えつつある地のひとつとなっている。今後20年間で、さらに40パーセント以上減少する見込みであり、客が少なすぎて店は立ちゆかない。
私が歩いたときには、15年くらいまえの古い大きな箱型テレビや錆の浮いた冷蔵庫、整理棚などを売る中古品店が開いていた。町役場を探して歩きまわるあいだ、すれちがったのは、自転車に乗った高齢の女性ひとりだけで、彼女は青空市場が開かれる町外れのガソリンスタンドへ向かう途中だった。日本では、日常の買い物に難儀する状況を指すことばも生まれている──「買い物難民」だ。
佐々木文明町長は、藤里で生まれ育った。地元の公務員として長く務めたのち、町長に選ばれ、私が訪問した時点では61歳で、2期目を迎えたところだった。町の縮小傾向をつねに考えていて、人口統計のデータを手もとに置いている。印刷されたデータには、町民の年齢を5歳ごとに区切った詳細な数字が並ぶ。
90歳超は数百人いるのに、5歳未満の子どもは77人しかいない
町長にとって最優先の課題は、地元の学校の全学年に少なくとも20人の児童が在籍するようにし、5歳ごとのどの年齢層も少なくとも100人いるようにすることだ。しかしデータには問題の大きさがはっきりと表れている。藤里町の人口構成は明らかに高齢者に偏っている。90歳超は数百人いるのに、5歳未満の子どもは77人しかいないのだ。子どものいる若い世帯が転入してこないかぎり、町長の目標はいまのところ達成されそうにない。
秋田の農漁村地区はどこも、似たような道を歩んでいる。近隣の上小阿仁村の中にある木沢集落は、雪深く夢のように美しい。山々に抱かれ、ふたつの集落のあいだをぎしぎしと揺れる木橋が結んでいる。案内してくれた森本によれば、かつては300人以上が暮らしていたが、わずか15人に減ってしまったそうだ。
多くの家は雨戸が固く閉められ、わずかに残るかつては資産だったものが打ち捨てられ、風雨にさらされている。目立つ大きな建物はかつての学校で、川のそばの一等地に鎮座しているが、すでに閉校している。村の小さな図書室に木沢集落の60年前の写真が掲げてあった。季節は夏、児童17人による運動会の様子だ。いまは子どもも運動会も何もない。
20~30代の「子育て世代」は砂金のように貴重
リタイアしたあとも昔の肩書きで威張る人はどこでも嫌われるものだが、その一方で、どこからも引く手あまたの層がいる。子どものいる若い世帯だ。村や町の活気を維持するうえで彼らがいかに重要かを、商店街の人たちも町村議会の人たちも頻繁に言及する。決まって出るのが「子育て世代」ということばだ。20~30代の若い夫婦はこのあたりでは砂金のように貴重だ。彼らは地元の店で金を使い、子どもを地元の学校に通わせてくれるからだ。
藤里は秋田の高齢化の最前線にあり、人口の約半数がすでに65歳を超えている。町長は、高齢化が町にもたらすコストを埋め合わせるアイデアをいくつも温めている。「私は、町民のみなさんに75歳まで働いてもらいたいと考えている」。
町長は実際に、高齢者の雇用と収入の増加を図るため、農畜産物加工工場での、やまいもの皮むき事業を誘致した。町長による強力な支援策には、藤里を若い世帯にとって魅力的な町にしたいという願いが込められている。幼稚園を整備し、住宅政策に力を入れ、住む人のいないまま放置されていた家を町で把握し、若い夫婦が安く買ったり、家賃なしで住んだりできるように整備する。さらに、地元に雇用が少ないことを踏まえ、在宅勤務が可能な仕事や、町のWi-Fi接続を拡充する考えだ。
日本の人口統計に単純に照らせば、このプロジェクトの成功は楽観視できない。藤里はすばらしい町だ。近くに白神山地がそびえ、東アジア最大の原生林が広がり、地球上のここでしか見られない種類の鳥類が棲息している。季節おりおりの景色が楽しめるハイキングコースや豊かに湧く天然温泉は観光客を惹きつけてやまない。
だが、日本の人口が縮んでいるということは、消えつつある美しい町村が国じゅうにあるということだ。最近のレポートによると、896の自治体──日本全国の半数以上──が、いまの傾向が続けば21年以内に「存在しなくなる」怖れがあるという。若者を自分の町に引き寄せるには、ライバルの自治体を次々に蹴落とせるだけの強力な武器が必要だ。

提案された合併がことごとく破談になる
藤里のような地域がとくに懸念するのは、学校や病院などの公共サービスの維持がむずかしくなってきていることだ。そのため、日本の小さな農漁村では村の合併が大きな関心を集め、政府も人口減少の続く地域の統合を前向きにとらえている。縮みゆく村が政治問題になりつつあるイタリアやポルトガルでも、いずれ同様の政策がとられることになるだろう。合併はいいアイデアだ、とある地元住民は言う。町や村がバスや学校や図書館などの公共サービスを共有できれば、閉鎖されずにすむからと。
だが悩ましいのは、提案された合併がことごとく破談になることだ。そもそも、合併後の新しい町村名をどうするか、のところから話はまとまらない。町村の名前には歴史的に重要な意味が込められていたり、地域の自然を描写していたりする。
藤里からの帰り道で見た町村名も、井川(多品種の桜の名所)、長面、五城目など個性的だった。合併時には名前の漢字をつなげることがよくあり、そうすると、見た目が冗長なだけで意味の乏しい町村名になってしまう。秋田市に近い潟上市は、昭和町、飯田川町、天王町が合併して誕生したが、潟上という名前は、もとの町の名前とは切り離し、史書の記録に従ってつけたそうだ。合併でできたある自治体に住む人は複雑な気持ちをこう表現した。「古い町の名前には深い意味があるからね。いまふうの名前を聞くと寂しいね」
町村同士のライバル意識や序列も合併の機運を萎えさせる。ある地域で序列が上と目される村や家系は、伝統的にその地域の始祖であったり、狩りや漁をつうじて民を養ってきた由来をもっていたりする場合が多い。たとえば木沢集落は、熊の猟師の里として有名で、獲物を捕らえる手腕や、熊の部位から伝統薬をつくる知識に周囲から深い敬意が払われてきた。そうした家系や集落の出身者は、非公式ながら強大な発言力をもち、選出された町村長や役所の担当者が進めてきた合併計画を遅らせることがある。
学級は閉鎖が決まり、医師はいなくなり、店舗は閉まったまま
もうひとつの難題は負債だ。過大な借金に苦しむ村は合併に熱心であり、財政がしっかりしている村はいまのまま独立していたい。木沢近郊にある規模の大きな上小阿仁村は今後20年間で40パーセント人口が縮む見込みで、地元では合併に臨む覚悟ができているが、その負債の多さが合併相手としての人気に影響するかもしれない。
秋田で最近提案された合併は、藤里を他の7つの市町村とまとめ、森林地帯の名前をとって「白神市」にしてはどうかというものだった。だが、白神はもともと秋田ではなく、青森県の地名だという反対意見があがったうえ、各町の負債や力にばらつきがあるほか、小さな集落のあいだでも文化や伝統がそれぞれに異なり、祀る神や伝来の踊り、祭りも郷土料理のレシピも独特だとして、合併に否定的な声が相次いだ。
結局、合併話は流れた。そうしているあいだにも、それぞれの地域の学校のもともと小さかった学級は閉鎖が決まり、地元の医師はいなくなり、シャッターをあげない商店がますます増えていった。
---------- リチャード・デイヴィス 氏 経済学者

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