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中国不動産バブル崩壊後の中国経済は?世界経済への影響は?

2024-09-30 05:30:50 | 日記
中国の住宅市場が現在深刻な価格崩壊の危機に直面している。長年続いた急激な価格上昇と過剰な建設が一員であり近年の経済規制や信用収縮も大きな要因となっている。過剰な投資と過大な負債を抱えた不動産デベロッパーたちは物件が売れず、資金繰りが困難に陥り、経営危機になってしまった。

中国の経済発展は改革開放の1990年代前半から顕著となり世界経済に与える影響は現在は非常に大きなものとなっている。又、中国の不動産市場は2000年以降急速に発展し中国経済の牽引力となった。不動産市場の成長要因としては次のようなものです。まずは都市部の人口流入の加速、経済成長する都市に労働力として人口が流入人口が農村部から都市部へ流入することにより都市部での不動産需要が急拡大した。次に都市部勤労住民の所得の増加。そもそも中国社会では結婚に必要など、不動産所有志向が高い。都市部の賃金上昇によって人々の所得が上昇し、不動産へ使えるお金が増えたということも不動産市場をより拡大させた。投機需要の拡大もあり、投資先として不動産市場は大人気だった。通常、不動産投資の構図は不動産に投資して賃料等をリターンとして得るというものだが、不動産価格の急上昇によって短期間で莫大なリターンを得られるかもしれないということで莫大なお金が流れ込んだ。正に不動産バブル。こうしたことを背景に不動産の販売面積は2021年までの20年間で8倍に拡大し、年平均11%増と経済成長率を上回るペースで大きく成長した。中国政府は不動産市場を経済成長のエンジンと位置付け様々な政策支援を行ってきた。そんな中国の不動産市場ですが、今年に入り一級都市でも風向きが大きく変わった。住宅売れず在庫が次々積み上がっている。某証券会社では全ての売れ残り住宅を買い取るには約1兆ドル日本円で約140兆円が必要だと推計している。中国の不動産市場は下落し続けており、次のような状況が報告されている。販売額は2021年のピークから減少し2023年はピーク時の約3割まで下落また新築住宅価格指数は2024年6月で9年ぶりの大幅な下落となり主要70都の約94%で下落している。不動産バブルの崩壊が深刻化している状況だ。特に小規模都市では過剰在庫や消費者心理の冷え込みが続いており地域経済活性化のためのさらなる刺激策が求められている。こうした事情から政府はこのような住宅を買い入れて手頃な価格で再販売するプログラムの導入をしたが、実効性に乏しい。買い取る代金となる財源も必要だが、中国の地方政府は巨額の負債に苦しんでおり、このプログラムによって履行不能な財政負担を強いられることになった。国際通貨基金によると中国の地方政府はすでに110兆元(2200兆円)の負債を抱えているためさらなる負債を抱えることは難しい。

なぜ中国の不動産がこれ程までに、売れなくなったのか?中国不動産が売れ残っている、原因最大の要因は過剰供給にある。都市部では先にも述べた様々な理由で需要が拡大し黙っても売れる時代が到来し、不動産デベロッパーは競い合うように建設計画を実行し、多くの大都市で新築マンションが次々に建設された。市場を制するためにライバルたちよりも早く建設しなければという考えが働いた。それが、実際の需要を大きく上回り、供給過剰状態になってしまった。また需要として見込んでいた部分には実際に居住するという実需要に加えて不動産価格の値上がりを見据えての投機も含んでいた。❝買うから上がる上がるから買う❞という金に目がくらんだことも供給過剰に拍車をかけた原因だ。地方部に目を移すと中国の華々しい経済発展とは異なる姿が見えてきた。地方都市や郊外では経済発展が薄く不動産需要が伸びず目論み通りの不動産需要とはならなかったが、不動産の供給過剰によって莫大な在庫が積み上がる事態となった。

又、中国の経済の問題としてアメリカとの貿易摩擦問題がある。諸外国との軋轢によって中国経済は大きくダメージを受けてきた。そうした時にまず減少するのが実需ではない投機不動産などの分野だ。構造的な問題としては、一人っ子政策を続けた結果、出産率の低下により急激な人口減少時代に突入してしまった。これは住宅需要が将来的にもさらに減少することを意味しており人々の住宅を購入しようという考えに大きくブレーキをかけるものとなった。今年に入り、中国政府は不動産市場の低迷に対処するため様々な対策を講じている。政府の対応としてまずは住宅需要の喚起だ。住宅購入の資金調達を容易にするために住宅ローン金利の引き下げを行った。次に中国の住宅購入で特徴的な先払い制度の変更を行っている。中国では住宅を購入する場合建物が完成する前に全額または一部を支払う先払い制度が一般的だ。この制度により購入者は完成前の物件に多額の資金を投じリスクを抱えなければならなかった。そのため中国政府はこの頭金の比率を引き下げて負担を減らし、より多くの人が住宅を購入できるようにすることを目指している。
不動産開発企業の資金繰り支援策として政府系ファンドによる出資や金融機関
からの融資が検討されている。資金繰りを進めることで未完成のままとなっている不動産の建設を進めたい考えだ。さらには売れ残り不動産を公的に買い入れ、手頃な価格で再販売するというプログラムの導入検討も進められている。しかしこれらの効果に関しては疑問が残る。上海・北京などの実需要がある地域では不動産在庫の減少という効果をもたらすと考えられるが労働人口も著しく減少している。さらに地方や大都市の郊外では効果が限定的と言われている。公的に買い入れる政策も不動産在庫が100兆円を超える状況ではこれらを全て買い取ることは出来ない。改めて感じるのは中国の不動産市場の危うさでだ。使用権が基本の中国では政府はいわば全国土を抱える大地主であり、その経済成長は不動産価格の上昇に支えきた側面があった。そのため不動産価格を上昇させその果実で経済発展をというサイクルで短期間での経済成長に成功した。しかしこのサイクルには限界があることは歴史が証明しており中国においてもついに相場を支えきれなくなったのだ。その結果が大量の不動産在庫であり未完成不動産だ。このまま新築物件が売れない状態が続けばデベロッパーが続々と破綻することは避けられず、巨額の負債を抱えるデベロッパーの破綻が広がれば、その影響は大銀行に波及し、金融危機の発生につながる。不動産市場の失速はこれまでの中国経済の発展サイクルの停止を意味し、中国経済へ大きな警鐘を鳴らしている。不動産バブル崩壊を中国国内問題で解決できるのか、世界経済に影響を与えるのか、今後の中国不動産市場と中国経済は注意深く見ていく必要がありそうだ。

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