韓国航空業界最大手、大韓航空は14日、4-6月期の営業損失を1015億ウォン(約89億円)と公示した。4-6月期の売上高は3兆201億ウォンと前年同期比0.2%増えたが、純損失は3808億ウォンと赤字幅が拡大した。ウォン安の影響が大きいが、今後、利益の30%以上を稼ぐ日本行のドル箱路線を失う損失は決して小さくありません。日本に行かないキャンペーンが日本に行けないキャンペーンに変わるのもそう遠くはないかもしれません。政治に踊らされる韓国企業の従業員は今後悲惨です。
以下抜粋コピー
韓国で日本不買運動が盛り上がっている。連日「予想外の反発に狼狽している」「日本は悲鳴を上げている」など、メディアも勇ましい。確かに売り上げを大きく落としている企業もあり、日系企業の韓国人従業員が、人件費を削減するために「出勤停止」になったとの話もある。同じ韓国人が職を失いつつあることも、今回ばかりは「しょうがない」という受け止めだ。
数ある不買運動の中でも、「有力」とされているのが、日本に行かないキャンペーンだ。
2018年に日本を訪問した韓国人は約754万人と、訪日外国人の国別ランキングで中国(約838万人)に次ぐ「お得意様」だった。だが、7月1日に日本政府が韓国向け輸出管理の優遇措置を撤廃すると発表すると、流れが大きく変わる。団体旅行を中心に日本旅行のキャンセルが相次ぎ、韓国の大手航空会社やLCCが日本行きのチャーター便などを次々に運航休止にしたのだ。運休となった路線は、札幌、富山、静岡、佐賀、大分、熊本、鹿児島など地方都市が中心。自治体からは、貴重な収入源であるインバウンドが減少するとして、憂慮する声が出ている。地方にとって切実な問題だ。
だが、気になる事がもう一つある。突然日本路線を運休した韓国の航空会社は、「宙に浮いた」飛行機やスタッフをどうするのだろうか?
当たり前だが、航空会社は飛行機を飛ばさないと経営が成り立たない。空港に駐機していても赤字が膨らむだけなので、一刻も早く日本以外の路線を開拓しなければいけない。しかし、日本向けの短距離飛行に特化した飛行機であるため、振り分け先の選択肢は多くない。大方の予想通り、韓国の多くの航空会社は中国に殺到した。だが、その目論見はあっという間に崩れてしまった。
韓国メディアによると、中国は8月9日から10月10日まで、新たな路線や増便、チャーター便の運航申請を受け付けないと通知してきたという。その衝撃は大きく、経済紙「ソウル経済」は「航空業界はメンタル崩壊に陥った」と報じた。
ドル箱の日本路線を手放したばっかりに…
韓国のLCCの場合、全体の営業利益のうち日本路線が30~60%をたたき出していたのだという。日本路線というドル箱を韓国人による日本不買運動によって失い、頼みの綱の中国路線も飛ばせないとなると、韓国航空業界の「メンタル崩壊」も良く分かる。
中国がダメなら、距離的には東南アジア諸国しか残されていない。しかし新たに路線を開拓するには当然時間がかかる。何とか飛ばせたとしても、これまでの東南アジア路線の実績では、搭乗率が80%に満たないケースが多く、日本路線のような利益を出す見込みは低いという。この状況が長引けば、特に経営規模が小さいLCCにとっては大きな打撃になるだろう。
韓国人による日本不買運動により、日系企業で働く韓国人が解雇されたり、航空会社や旅行業者のような企業の業績が大幅に落ちる事は今後も続くとみられる。またこうした韓国国内のゴタゴタは、投資家の韓国離れを招きかねない。それでなくとも米中貿易戦争や香港のデモ隊と当局との激しい衝突など、韓国の周辺では不確定要素が多く、韓国ウォンの為替相場は連日乱高下している。
不買運動の抗議デモなどを取材していると、日本への反発をひしひしと感じるが、韓国市民は一度冷静になった方が良さそうだ。
【FNN支局長渡邊康弘】