胃がんからの復活を目指す広島・赤松真人外野手(35)が宮崎・日南での2軍キャンプで3本のサク越えを放った。ドラフト1位捕手・中村奨成(18)=広陵高=見たさに2軍では異例の800人の観衆が詰めかけたが、がんを克服しようとしているベテランが、主役の座を奪った。ドラフト1位指名のスーパールーキーを凌ぐ、注目度。公式戦に出場し勝利に貢献すればスポーツ新聞一面を飾るでしょう。胃がんからの復活に賭ける赤松選手の活躍期待したいですね。一方土俵外で揉めている大相撲は貴乃花親方が昨日の「独占緊急特報!!貴乃花親方すべてを語る」で貴ノ岩の傷害事件に関して相撲協会から“内々”に被害届の取り下げ要請があったことを告白していましが、モンゴル力士八百長疑惑については語らず、緊急特番する内容かと肩透かしを食らった感です。これではより強固になった八角体制を崩すことは出来ない。貴乃花親方が今後、理事長の座を狙うのであれば、しばらく裏方で親方衆の信頼を勝ち取る努力が必要でしょう。
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「野球ができる喜びを感じています」
その言葉自体は、これまでにも数多くの選手が口にしてきたでしょうが、彼がいうと特別な真実味を持って胸に迫ってきます。
昨季オフ、広島の赤松真人外野手(35)と広島市内で2人で食事をする機会がありました。
一昨年12月に受診した人間ドックで、胃がんが発見された赤松。自覚症状は全くなく「信じられない」のひとことだったそうです。
外野守備と走塁のスペシャリストで、フェンスに飛び乗り本塁打性の大飛球をキャッチしたこともありますし、僕が捕手で彼が代走に出てきたときには、絶対盗塁されると強烈なプレッシャーを受けたものです。対戦相手にとっては実に嫌な存在です。
その赤松が昨年1月に胃の半分を切除する手術を受け、リンパ節にも若干の転移が見られたため、そこから半年間、抗がん剤を投与しながら治療を続けました。副作用で体がだるく力が入らない。それは言葉に表せないほど厳しい治療で、「もう野球はできない」と思ったそうです。
そんな中、ファンからたくさんの手紙が届きました。チームメートたちも、菊池涼介内野手(27)をはじめ電話やLINEを通じ「早く戻ってきてください」だけではない、さまざまな言葉をかけてくれたそうです。
「ファンとチームメートに支えられました」
これもよく耳にするセリフではありますが、誰がいうよりも実感がこもっていました。
そして、奥様の献身的な支えがありました。そもそも、がんが発見された人間ドックも、奥様に「受けてみたら?」と勧められたもの。「あのひとことがなかったら、今ごろどうなっていたかわからない。看病してくれたことを含めて、感謝しきれない。恩返ししたいです」と感慨深げに語る赤松でした。
昨年7月、がんの再発が見られなかったことから3軍の練習に復帰。9月18日に甲子園で広島のリーグ優勝が決まったときには、呼ばれて胴上げ、ビールかけに参加しました。
「(チームメートに)おめでとうと言って回りました。僕自身すごくうれしくて、1年前の優勝とは違う喜びがありましたね」
普段から広島というチームのことを思い、自分の戦線離脱中も心の底から応援していた男らしい言葉でした。こういう選手がいるチームは、強くなっていくものです。
今春キャンプは2軍に合流して山口県岩国市でスタートを切り、6日からは練習場を宮崎県日南市に移しています。
ちなみに赤松は、ワタクシ小田幸平のなけなしの記録を破った男でもあります。僕は2005年オフに野口茂樹投手の人的補償として巨人から中日に移籍し、06年以降9年間現役を続けました。これは人的補償選手として史上最長だったのですが、これに16年の時点で追いついたのが、07年オフに新井貴浩の人的補償で阪神から広島に移籍した赤松でした。記録更新の昨年は思わぬ形で棒に振りましたが、今年は名実ともに僕の記録を破るわけです。
そんな縁のある赤松に、僕は「本当にこの人だけにだけは頑張ってほしい」と強く思います。2軍でも1軍でも、彼が今季最初に出場する試合には、ぜひ足を運びたいと思っています。
■小田幸平(おだ・こうへい)