ペルセウス座の北西部、カシオペヤ座に近いところに大型の星団が2つ並んでいます。
秋に見やすい天体としてはアンドロメダ大銀河に次いで有名な「ペルセウス座二重星団」
と呼ばれているもので、そのクローズアップ写真がこちら(↓)
【NGC884&869】
キヤノンEOS Kiss Digital X + 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡
ISO800 F2.8 総露出時間15分(3分×5コマ加算合成)
[静岡県伊豆天城高原にて2008年9月撮影]
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二重星団は、空の暗いところでしたら肉眼でも存在が確認できる著明な天体です。
昔はどちらも縁がぼやけたように見える単独の星であると認識されていたため、
各星座ごとに明るさの順番で恒星に付けられるギリシャ文字やアルファベットが割振られ、
その名残りで「エイチ・カイ星団」と呼ぶことがあります。
この2つの天体が単独の星ではなく星の集団であることを人類史上初めて確認したのは、
望遠鏡を用いて観測したガリレオ・ガリレイでした。17世紀前半のことになります。
星団を構成している恒星の数はそれぞれ300個前後。見掛け上、どちらも満月サイズに匹敵
する広がりを持った大星団で、双眼鏡でも細かな星が群れている見事な姿を堪能できます。
ところで、以前に「球状星団」という種類の天体を紹介しましたが、二重星団はそれとは
異なる「散開星団(さんかいせいだん)」と呼ばれる種類の天体になります。
太陽のような恒星は星間ガスが高濃度で凝集した暗黒星雲(分子雲)から生まれてくると
考えられていますが、極めて大量のガスが寄り集まったところからは、ほぼ同時期に沢山の
恒星が誕生することがあります。そのようにしてできた星の群れが「散開星団」の実体で、
星形成領域であるHⅡ領域と呼ばれる水素主体の赤い星雲とも関連性が深かったりします。
その証拠に、散開星団を伴ったHⅡ領域は結構多いという事実があるんです。そういう天体
では星雲とそこから生れたばかりの星団が重なって見えることになりますが、二重星団は
ガス星雲を纏っていませんので、星形成活動は完了しているものと推測できます。
で、今は集まったように見えている星たちも、いずれは離ればなれになって、
銀河系の渦巻き腕の中に溶け込むように散らばっていくことになるんでしょう。
太陽もかつてはこのような星団の構成メンバーだったのかもしれません。