土曜日の深夜に天体撮影目的で長野県の乗鞍高原まで出掛けました。
この週末は新月期で月明りの影響が無いため、暗い天体を撮影するには都合がよく、
天気予報も概ね好天が期待できるということで絶好の撮影日和と目論んでました。
それなのに出遅れてしまったため、目的地である某スキー場の駐車場に到着したのは
日付が変った頃になってしまいました。着いてすぐ見上げた夜空は雲一つ無いド快晴!
周囲には人っ子一人おらず、満天の星を独り占めです。
もっと早く出発すれば良かったなぁーと反省しながら、撮影機材を急いでセットアップ。
気温は氷点下2度。完全に冬装備の着ぶくれ状態でないと車外活動などできません。
キンキンに冷えた空気はさすがに湿気が少なく、極めて透明度の高い空を演出し、
オリオン座やふたご座、おおいぬ座などギンギンに輝く冬の星座と淡くて見難いはずの
冬の天の川が綺麗に見えていました。
で、まずはオリオン座の一角に鏡筒を向けました。撮影したのはコレ(↓)です。
【馬頭星雲付近】
キヤノンEOS kiss digital x + 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡 赤道儀使用
ISO800 F2.8 総露出時間70分(7分露出×10コマ加算合成) 若干トリミング
この写野はオリオン座の三ツ星のうちの左端の星(写真で一番明るく写っている星がそれ)
の辺りになります。ほぼ中央に写っている黒々としたシルエットは暗黒星雲の1つで、
馬の頭部にそっくりなので「馬頭星雲」と呼ばれています(この写真では首を右に傾けて
見ないといけないかな?)。左上方にも暗黒帯を伴った明るい星雲がありますが、
こちらは「燃える木」というニックネームが付いている天体です。
暗黒星雲は写真のイメージからすると何も無いような印象ですが、実は星の材料である
低温のガスや塵が密集しているところで、いずれそれらがさらに高密度に集まっていくこと
で恒星が誕生すると言われています。オリオン座にはそういうエリアがあちこちにあって、
フォトジェニックな対象が多いので、天体写真ファンにも大人気の星座だったりします。
さて、この馬頭星雲を撮り終えたら時刻は既に4時近くになってました。
空が白んでくるまであと1時間程度しかなく、他の星雲を撮るには時間が足りません。
そこで11月3~4日に2人の日本人が発見したばかりの新彗星を狙ってみることにしました。
夜明け前の東天の低空に位置しているため条件は厳しいですが、なんとか撮影に成功↓
【池谷・村上彗星】
キヤノンEOS kiss digital x + 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡 赤道儀使用
ISO800 F2.8 総露出時間10分(1分×10コマ加算合成) トリミングあり
この時の彗星の明るさは9等ぐらいでしょうか。口径5cmの双眼鏡では確認不能でした。
ご覧のとおり、カブトガニの子供のような奇妙な姿に写ってます。3年ほど前に急激に明るく
なり話題となった「ホームズ彗星」を小さくしたようなイメージです。おそらくこの彗星も
急増光していたところを熱心なアマチュア彗星捜索家2人によって発見されたのでしょう。
ちなみに発見者の池谷さんは静岡県在住で、自身の名前が付いた彗星はこれで7個目。
1965年に出現した20世紀屈指の大彗星「池谷・関彗星」の発見者としても有名な方です。
一方の村上さんは新潟県在住で、自身の名前の付く新彗星発見は2度目だそうです。
これを撮影した後は機材をさっさと撤収して、仮眠も取らずにとっとと帰りました。
帰りの中央道・上り線はスイスイ走れましたが、反対方向の下り線は朝から行楽地へ向う
車で結構混雑していて、特に八王子IC~相模湖IC付近は酷い渋滞が発生してました。
「休日1000円」はありがたいのですが、多くの車の燃費を悪くしているような気もします。
やっぱりCO2排出量削減には逆効果かもしれませんね。
そういうお前も、たった2カット撮影のために450kmも走ってCO2出しまくってんじゃねーよ!
って言われそうですが・・・
「乗鞍高原いがやスキー場」地図
コメント--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。- mashさん [2010年11月9日 8:27]
- fornax8さん、おはようございます。
冬型の気圧配置になり冷たい風が吹いてきました。
天体撮影お疲れっす!これからの季節は天井に輝く
満天の星を撮影するにはいい季節ですが機器や人間に
とって厳しい条件ですね。
オリオン座の馬頭星雲は不思議なシルエットですね。
星の図鑑でよく見かけますがとても綺麗に撮影されて
驚きです。
2カットのための撮影で450km走破真似できないなぁ!(爆)
- fornax8 [2010年11月9日 18:29]
- mashさん、いつもコメントありがとうございます。
いやー、やっぱり立冬ともなるとさすがに寒くなりますね。
風邪などひかないよう、ご自愛ください。
個人的にはノーマルタイヤしか持ってないため、甲信越の高標高地へ行けるのも
今のうちで、来月からの☆撮り遠征というと伊豆方面しか選択肢がなくなります。
ところで、馬頭星雲は暗黒星雲の代表的な天体なので、確かに図鑑などでも
引合いに出されることが多いですね。拙作に対してお褒めの言葉をいただくと
舞い上がってしまいますが、ネット検索するともっと綺麗に撮ってるアマチュアが
大勢いることが分かると思いますよ。
オリオン座にはまだまだ面白い天体がいっぱいありますので、
いろいろと撮っては紹介していきたいと考えてます。
- キラリ [2010年11月11日 14:06]
- こんにちは☆
素晴らしい写真ですね。ホント、綺麗です☆
馬頭星雲と言われているのですね。
これから夜出掛ける事も多いと思いますが仮眠を取って気をつけて運転して下さいね☆
- fornax8 [2010年11月11日 18:54]
- キラリさん、いつもコメントありがとうございます。
こういうのは不気味だ!って言う人もいますので、
綺麗と感じていただけるとホッとします。
それにしても不思議な造形ですよね。
チェスの駒の「ナイト」を思い浮かべたりもします。
- とりぷるあい [2010年11月13日 13:44]
- とても自然な感じの美しい馬頭・燃える木ですね。乗鞍高原とは遠出でしたね。私は同じ日は再度みずがき山に行ってきました。快晴の日が続いていましたが、この週末はちょっと一休みになっちゃいました。池谷・村上彗星とは早いですね。今度どのようになるのか楽しみですね。
- fornax8 [2010年11月13日 18:33]
- とりぷるあいさん、コメントありがとうございます。
透明度は良かったんですけど、大気の揺らぎが激しく、2カットとも星像が太り気味で、
かなり不満な出来映えです。こういう時は星野写真に専念した方がいいのかもしれません。
みずがき山も天気が良かったようで何よりでした。
この週末も好天だったら出撃したんですけど、仰るとおり一休みですね。
撮り溜めた画像の処理と整理に勤しむしかないかなぁ。