Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
【注目の天文現象】
 7/25朝 土星食(6:30頃に潜入@東京)

この先どうなる? 紫金山・アトラス彗星

2024-07-15 00:17:12 | ほうき星

今年の秋に明るくなると期待されてきた紫金山・アトラス彗星を1か月ぶりに撮影。


【紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)7/5】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間20分(2分×10フレーム,,彗星核基準σクリップコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,等倍トリミング,静岡県西伊豆町にて

前回の撮影時にはおとめ座の西端付近に位置してましたが、現在は西隣のしし座に移ってます。
見掛け上、太陽の方向に移動しているため薄明終了時の高度が低くなってました。
そのせいか赤味が強くなってしまったのに加え、撮影フレーム数が稼げなかったこともあって、
前回撮影時のイメージより尾のコントラストが低下してしまいました。

信頼スジによれば光度は10等台半ばとなっており、先月より若干暗くなったようです。
実は1か月前に比べて地球から少し遠ざかったので、「光度上昇の鈍化」ということであれば
ある程度想定内なのですが、「減光」となると行く末が気掛かりな事態になります。
ということで、最近の動向からすると期待していたほど明るくはならないとの噂が出始めており、
太陽に向かう途中で彗星本体の核が崩壊するのではないかという悲観論を唱える研究者も現れてます。

ちなみに、今後も地球から見て太陽の方向に近い天空上の位置に移動していくため、
観測条件は悪化の一途を辿り、今月末から10月初旬までは一時的に観測不能となります。
夕空で再観測が可能になるのは近日点通過後の10月半ばで、肉眼でも長い尾を引く姿が見えるはず
というのが当初の予想でしたが、この調子だと双眼鏡でしか確認できない状況になるかもしれません。
まあ、拙ブログではこれまで何度となく指摘してきたとおり、彗星の振る舞いは水物なので、
最終的にどんな姿/明るさになるのかは、最盛期になるまで分からないというのが常であり、
ネガティブな予測を覆すような大彗星に成長してくれることを願ってます。


近日点通過後のオルバース彗星(2024/07/05)

2024-07-12 12:10:17 | ほうき星

梅雨の中休みで晴天となった先週末、約1か月ぶりにオルバース彗星を撮影しました。


【オルバース彗星(13P)7/5】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間32分(2分×16フレーム,彗星核基準σクリップコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,静岡県西伊豆町にて

この彗星は6/30に近日点(軌道上の太陽最接近ポイント)を通過したばかりで、ほぼ最盛期と言えそうです。
依然として夕方の北西の低空に見えていますが、薄明終了時の高度は前回の撮影時よりも高くなってました。
光度は6.5等くらいで、口径5cmの双眼鏡で割と簡単に見つけられ、ごく短いながら尾も確認できました。
写真では頭部のコマが少し緑色を呈し、幅の広いダストの尾と細い筋状のイオンの尾が重なっているのが
分かります。イオンテイルは淡いながら結構長く伸びている感じで、フレームアウト気味です。

この先も夕空に見え続け、日没時間が徐々に早くなっていくこともあって薄明終了後の地平高度は上昇し、
観測条件は良くなっていきますが、太陽からも地球からも離れていってしまうため光度は低下していき、
次の新月期には7等台半ばまで下がるとみられます。8月後半には地平高度も日毎に低くなっていくので、
追跡できるのは9月いっぱいまでとなりそうです。ちなみに9月末には明るさが11等以下になる見込みです。
梅雨明け後に撮影チャンスがあれば、また狙ってみようかなぁ・・・


3か月ぶりに撮影したオルバース彗星(2024/06/07)

2024-06-10 12:37:52 | ほうき星

公転周期69年のオルバース彗星を約3か月ぶりに撮影しました。


【オルバース彗星(13P)6/7】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間8分(1分×8フレーム,メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,静岡県西伊豆町にて

現在は冬の星座であるぎょしゃ座の東部に位置していて、夕方の北西天の低空に見えるんですが、
薄明終了時の高度が7度台とかなり低くて、観望/撮影条件的には厳しい状況となってました。
さらに撮影時には薄雲があって写りがイマイチでしたが、短い尾が伸びた姿をなんとか捉えました。
信頼スジによると光度は7等台前半くらいで、小型双眼鏡でも見える明るさのはずなんですけど、
低空のせいか口径5cmの双眼鏡では確認不能でした。

この彗星は今月30日に近日点通過(太陽最接近)を迎え、この先3週間ほどが最も明るい時期とみられ、
予想最大光度は6等台に達する可能性が高いと思われます。但し、今週から月齢が大きくなっていき、
しばらくは月明かりの影響を受けるので、月末から来月初めが一番の観測好期になりそうです。
また、その頃になると薄明終了時の高度が10度を超えてきて、大気による減光や市街光の影響を
少しは避けられる状況に向かい、観測条件が若干好転します。
さすがに東日本でも梅雨に入ってしまいそうですが、晴れ間があればまた狙ってみたいと思います。


尾が伸びてきた紫金山・アトラス彗星(2024/06/05)

2024-06-07 07:03:02 | ほうき星

今年の秋に明るくなると期待されている紫金山・アトラス彗星を7週間ぶりに撮影しました。


【紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)6/5】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間60分(2分×30フレーム,メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,新潟県十日町市にて

前回の撮影時にはおとめ座の東寄りに位置していて夜半頃に南中(真南に来ること)してましたが、
現在は同星座の西端付近まで移動し、季節も進んだため日没前に南中するようになってます。
信頼スジによれば光度は9等台とされ、ご覧のとおり尾がハッキリと伸びてるのが分かります。
等倍トリミングすると・・・

綺麗な流線形になってますね。見掛け上の尾の長さは15~20分角(満月の視直径の半分から2/3程度)でした。
日心距離(太陽中心からの距離)は2.26AU(天文単位)、地心距離(地球中心からの距離)は1.82AUの位置にあり、
まだ火星より遠いところを移動中です。ちなみに、2020年に大彗星となったネオワイズ彗星(C/2020 F3)
似たような宇宙空間にあった時は未発見で、光度は17等台以下だったと推定されます。

ということで、依然として紫金山・アトラス彗星は異例の明るさで観測されており、期待感が高まりますが、
彗星の振る舞いは水物で、本体核の崩壊や物質放出量の予期せぬ低下で暗くなってしまうこともあるので、
過度な期待はせず、今後も監視していこうと思います。


紫金山・アトラス彗星の現況(2024/04/14)

2024-04-22 00:02:07 | ほうき星

今年の秋に肉眼光度になると予想されている紫金山・アトラス彗星を2か月ぶりに撮ってみました。


【紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)4/14】
 ZWO ASI585MC+タカハシε-180EDC,F2.8,Gain360,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間20分(1分×20フレーム,彗星核基準加算コンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,新潟県十日町市にて

画像中央で左(東)方向に尾を伸ばしているのがターゲットの彗星で、まだ火星よりも遠い宇宙空間にいるせいか
CMOSカメラの狭い写野でも小さくしか写ってくれませんが、信頼スジによると光度はもう10等台に達している模様。
参考レベルの話ですが、2020年に大彗星になったネオワイズ彗星(C/2020 F3)は太陽からの距離が同等の宇宙空間に
あった時には未発見で、光度は約20等以下だったと推定されるので、紫金山・アトラス彗星はそれを遥かに凌駕する
明るさになっているんです。
それにしても彗星像が随分と小さいので等倍トリミングすると・・・

尾の伸びた姿が分かりやすくなりました。ちなみに彗星の移動に合わせて画像を加算したので、総露出時間20分間の
モーションが背景の恒星の流れとして現れてます。見掛け上、尾の長さは数分角程度になってますが、問題はその
伸びている方向です。実は星空シミュレーションソフトで表示すると、こんな風になります。


 AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション

外惑星が地球を挟んで太陽と正反対の方向に位置する事を「衝」と言いますが、撮影時にこの彗星はその「衝」の
位置に近く、さらに黄道のすぐ近くに見えていた関係で、尾は地球から見て視線方向の奥側に伸びているとみられ、
もし真っ直ぐ伸びていればほぼ見えないんですけど、シミュレーション上の尾の実長をかなり長めの値に設定して、
誇張した表示にしてます。このシミュレーション結果のとおり、尾は右(西)寄りの方向に伸びているはずなんですが、
実際の撮影画像ではほぼ真逆の方向に伸びていて、ちょっと不思議な感じがします。もしかすると尾が少し東方向に
折れ曲がっていたのかもしれません。挙動が面白そうなので、今後も機を見て撮影していこうかと考えてます。


観測好期終盤を迎えたポンス・ブルックス彗星(2024/04/09)

2024-04-16 00:03:51 | ほうき星

4月10日に木星と月の間にポンス・ブルックス彗星が入り込んだシーンについて先般(12日)の記事ネタにしましたが、
実はその前日にも彗星パパラッチしてました。ただ、雲が多かったため写りが悪かったり、強風が吹いていたせいで
ブレたイメージを量産してしまったため、画像処理のモチベーションが上がらず、放置状態のままお蔵入りかな?と
考えてました。それを再チェックしてみたら悲観するほどのイメージではなく、勿体無いから弄ってみようと思って
救済処理を施してみました。記事の時間軸的には前後してしまいますが、その画像を公開します。


【ポンス・ブルックス彗星頭部(12P)04/09】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間4分(30秒×8コマ,σクリップ加算平均メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 恒星時追尾,トリミングあり,山梨県北杜市にて

この日の午前中は春の嵐に見舞われましたが、午後から天気が回復し、晴れ間が期待できそうな山梨県北西部へ出撃。
目的地到着は日没前で、上空は期待通りの晴天だったんですが、風はまだ収まっておらず、南アルプスの山々の上には
雲が引っ切り無しに流れてくる状況で、彗星の見えるエリアはその妨害を受けそうな状況でした。

で、19時過ぎから何とか撮影を開始できたものの、やはり雲に邪魔され、30秒露出で連写していった60画像のうちで
使えそうなのは、たったの8画像しかありませんでした。それらを全てコンポジットして得られたのが上の画像です。
低空のため元画像は暖色系を帯びたイメージでしたが、青白いイオンテイルの筋状構造が一応確認できるレベルには
救済できた感じです。頭部近傍は数日前に起きたバーストの影響で、まだダストリッチになっているせいもあるのか、
彗星特有の緑色が薄い写りになってます。また、4月7日の撮影イメージと同様に、先端は彗星のコマの高輝度部分を
包み込むようなエンベロープ構造が目立ってますが、ダストテイルは短い印象でした。

4月10日以降は薄明終了時の彗星の地平高度が5度を下回ることになり、おそらく主砲で狙うのはこの日が最後となる
可能性が高かったんで、使えるフレームが少なかったのが悔しいです。


頭部の形態が急変したポンス・ブルックス彗星(2024/04/07)

2024-04-09 11:17:00 | ほうき星

話題のポンス・ブルックス彗星が4月3日頃にアウトバーストを起こして3等台になったとの一報があり、
その確認のため日曜日の宵に晴れ間が期待できそうな中越方面に出掛け、撮影してきました。
薄雲が広がっていたせいか尾の写りが悪かったんで、頭部の狭い範囲だけ切り出した画像がコレです。


【ポンス・ブルックス彗星頭部近傍(12P)04/07】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO3200,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間6分(30秒×12コマ,σクリップ加算平均メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 恒星時追尾,トリミングあり,新潟県南魚沼市にて

頭部コマにエンベロープと呼ばれるダストの広がりが写り、緑色の発光物質が入った試験管みたいな恰好になってます。
で、バースト前の4月1日に撮影した画像との比較イメージがこちら。

撮影時の空の状態が異なりますけど、ルックスがかなり変化したことを示唆する結果と言えるでしょう。
広がったダストは主に太陽光の反射により概ね連続波長で光りますが、低空に位置していたため地球大気による散乱で
短波長光が弱まって暖色系に写ったらしく、青緑色の輝線を発するイオン成分主体のコマとは色味が異なっています。
昨年の夏にこの彗星を初めて撮影して以来、何度もバーストを繰り返して形態変化を見せてきてますが、
今回は太陽に近づいている時点で起こったので、顕著な変化を大きく捉えられたような気がします。

観測好期も終盤になってきましたが、撮影チャンスがあれば逃さずに写したいところです。


ポンス・ブルックス彗星の頭部付近(2024/04/01)

2024-04-06 14:57:18 | ほうき星

前記事の続きです。

3/13に同一機材で撮影した画像では彗星頭部付近にイオンテイルの筋状構造が割としっかり確認できたんですが、
今回の撮影ではどうだったかと言うと・・・


【ポンス・ブルックス彗星頭部付近(12P)04/01】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO3200,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間7.5分(30秒×15コマ,σクリップ加算平均メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,静岡県西伊豆町にて

あまり目立たない感じでした。春霞でコントラストが低下したのか、彗星からの揮発性成分放出が弱まったのか、
原因がよく分かりませんが、ちょっと寂しい写りです。そこで、「ローテーショナルグラディエント」っていう
画像処理方法を駆使して、筋状構造の明瞭化を行ってみました。その処理後のイメージがコレです。

画像が若干荒れたものの、頭部近傍のイオンテイルに5本程度のスジが確認できるようになりました。

この画像処理は元々、皆既日食の撮影で捉えられるコロナの流線構造をハッキリ強調させるのに使うらしいですが、
彗星に適用すると尾の微細構造の描出に役立つみたいです。ちなみに使用ソフトはAstroArts社のステライメージ8で
個人的には初めて使う機能でした。処理時に角度パラメーターを設定しますが、単一角度での処理だと背景の恒星に
階調反転した暗色像が生成されてしまうため、角度を変えた処理を行って階調反転恒星像がズレた画像を複数作成し、
それらを比較明合成することで目立たなくしてみました。
そのような使い方が適切なのかどうか分かりませんけど、効果は確認できたってことで自己満足してます。


【続報】ポンス・ブルックス彗星(2024/04/01)

2024-04-05 12:00:12 | ほうき星

月曜日の宵、3日ぶりにこの彗星を撮影。


【ポンス・ブルックス彗星(12P)04/01】
 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO3200,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間7.5分(30秒×15コマ,σクリップ加算平均メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,静岡県西伊豆町にて

年度跨ぎの時期に菜種梅雨の再来ということなのか、しばらくは好天が期待できない雰囲気なので、
新年度初日にも拘らず出撃。関東は雲が多い状況でしたが、伊豆方面は意外にも晴天域に入っていて、
4月最初のほうき星パパラッチができました。

ターゲットの彗星は太陽との離角が小さくなり、薄明終了後の地平高度が10度未満となってきた上に、
春霞の影響もあって観望・撮影が厳しくなってきた感じ。それでも光度は4等台前半に達していたらしく、
8×24のポケット双眼鏡でも割と簡単に見つけることができ、アンドロメダ大銀河より見やすく感じました。
ただ、低空に位置しているせいか肉眼では確認不能でした。
で、この日は割と風が弱めだったので、主砲である反射望遠鏡での撮影を敢行。低空に薄雲が広がっている状況で、
日周運動で高度が下がってしまうとその雲の影響を受けそうだったので、薄明終了前から撮り始めました。
そのため一連の元画像は背景がかなり明るくなってしまって、尾の描写がイマイチな仕上がりとなったのが残念。
3月中の撮影ではイオンテイルが湾曲した姿を捉えましたが、この日はほとんど真っ直ぐ伸びた姿でした。

この先は天気の悪い日が続く見込みで、次に撮影できるのは来週の半ば以降になるでしょうか。
10日には彗星が木星と細い月の間に来て3S撮影ができるはずなので、その日だけでもスッキリ晴れて欲しいなぁ。


いよいよ見頃になってきたポンス・ブルックス彗星(2024/03/29)

2024-03-31 17:20:38 | ほうき星

金曜日の宵、観測好期を迎えているこの彗星を撮影。


【ポンス・ブルックス彗星(12P)03/29】
 キヤノンEOS Ra+タカハシFSQ-85EDP+レデューサーCR0.73×,F3.8,ISO3200,StarScapeフィルター,
 総露出時間14分(30秒×28コマ,加算メトカーフコンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,静岡県西伊豆町にて

この日の午前中は春の嵐って感じの荒れた天気でしたが、昼過ぎから急速に回復するとの予報を信じて出撃しました。
撮影地に到着すると北の空に雲が流れているものの大きな晴れ間が広がっており、西は低空までスッキリと晴れ渡って
彗星の撮影/観望には邪魔者無しという状況。ただ、風が強いため主砲の反射望遠鏡での撮影は諦め、短焦点屈折鏡筒で
狙うことにしました。この日の彗星の予報光度は4.8等。肉眼でも何とか見える明るさに相当しますが、高度が低過ぎる
せいなのか残念ながら裸眼では確認不能でした。口径5cmの双眼鏡では余裕で見つけられ、近くのアンドロメダ大銀河と
同等以上の明るさに感じられました。写真では2.5度(満月を5個並べた長さ)以上伸びた青白いイオンテイルが顕著に写り、
その右隣には暖色系のダストテイルも短いながら確認できます。頭部付近は、コマの緑色とも相俟って何ともカラフルな
感じのイメージです。

さて、彗星の太陽最接近日は4月21日で、上振れすれば3等台まで明るくなる可能性もありますが、日没後の薄明終了時
における地平高度は日毎に低くなっていくので、観測条件的には厳しくなっていく見込みです。春霞の酷い日も増えて
きており、撮影チャンスが減っていきそうですが、4月に入ってからも可能なかぎりパパラッチしたいと思います。