太陽観測機SOHOに搭載のSWANという名称の観測装置によるデータから新彗星が
発見されたことを4月4日に知り、翌5日の明け方に近場で撮ってみました。
【SWAN25F(仮称) 2025/04/05】
ZWO ASI585MC+タカハシFSQ-85EDP,F5.3,Gain252,アイダスHEUIB-Ⅱフィルター,
総露出時間4分(1分×4フレームσクリップ加算平均コンポジット),
タカハシEM-200Temma2M赤道儀,口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,
トリミングあり,東京都青梅市にて
中央に薄緑色でぼんやり写っているのが新彗星です。春霞+超低空+光害の三重苦
により試し撮りで彗星像の確認に手間取ってしまい、薄明開始後に短時間しか撮影
できなかったのでショボイ写りです。信頼スジによると光度は9等台に達している
とのことで、発見直後の新彗星にしては比較的明るいです。既に地球よりも太陽に
近づいているようで、暫定的な軌道要素によると近日点距離(太陽との最接近距離)
は約0.33AU(1AUが太陽-地球間の平均距離である約1.5億kmなので、5千万km程度)と
小さく、今後さらに太陽へ近づいていく見込みです。これからもっと明るくなって
いく可能性を秘めてますが、実体が小さい場合は消滅してしまう可能性もゼロでは
ないと思われます。
国内からは明け方の東北東の空にしばらく見えますが、薄明開始時の高度はあまり
高くなることはなく(概ね10度以下の超低空)、太陽に近づくにつれて観測が難しく
なっていきそうです。参考までに日の出30分前の地平高度の経日変化を彗星の予想
光度と日心距離(太陽-彗星間の実距離)の変化と合わせて下に示してきます。
AstroArts社ステラナビゲータにて作成
暫定軌道要素によると近日点通過(太陽最接近)は5月初旬の見込みで、その頃には
夕方の西北西の空に見えることになりそうですが、やはり超低空に位置するので
薄明終了後すぐに沈んでしまい、彗星がかなり明るくなってくれないと観測困難に
なるかもしれません。日没30分後の地平高度の経日変化は次のとおりです。
AstroArts社ステラナビゲータにて作成
ちなみに5月2日にはすばる(プレアデス星団)に接近するようで、彗星の尾が伸びて
くれれば望遠レンズでフォトジェニックなシーンを捉えられるかもしれません。
AstroArts社ステラナビゲータにて作成(2025/05/02 19:50における見え方)
※マゼンタ色の枠はフルサイズセンサー搭載デジイチ+300mm望遠レンズの写野
彗星の尾はイオンテイル/ダストテイルとも実長を0.05AUとした場合の伸び方
彗星の下の数値は予想光度を10倍した値です(かなり楽観的な見積りかも?)
この日時での彗星の高度は約3.7゚で、観測には西の視界が開けた場所が必要
彗星が予想以上に大化けしてくれることを願ってます。
情報ありがとうございます。
新彗星として正式に公表されましたね。
正式公表前にMPECの暫定軌道を使ってし無レーションしたかったのですが、近日点距離は離心率と軌道長半径で計算できるのがわかったのですが元期の記号の意味が解らずシミュレーションできませんでした。
暫定軌道にあった元期K2543はどのような意味なのかお解りでしたら教えていただけないでしょうか。
MPECのホームページを調べたりネットでいろいろ検索してみたりしたのですが見つけられませんでした。
無レーション -> シミュレーションの間違いです。
4/8付でC/2025 F2 (SWAN) の認識符号が付きましたね。
昨年9~10月のPan-STARRSサーベイによる観測データも見つかったようで、
軌道要素の信頼性がかなり高くなった状況で発表された感じです。
お問い合わせの元期の記号については、すみませんが自分も分かりません。
仮称で呼ばれている段階で海外のサイト上に見つけた軌道要素の各数値を
ステラナビゲータに入力する際に元期は空白のままでシミュレーションしましたが、
特に問題無く位置計算されてました。
自分が若かった頃は月刊天文誌しか情報源が無くて、彗星発見のタイミングによっては
知るまでに1か月以上も間が空いてしまって観測チャンスを逃すことが多々ありましたが、
今は発見公表前の要確認観測の時点でどこに見えるのか把握できてしまうので、
隔世の感がありますね。
元期の記号の意味がわかると助かるんですけどね。
確かに昔は月刊誌か新聞に新発見の記事が載るぐらいしか情報源がなかったですね。
40年以上前、私の友人はパソコン通信Nifty-Serveのフォーラムで情報を得ていましたが、高額な電話代がかかるので私には無理でした。
インターネットとスマホが普及した今は電波が届いていれば大した費用をかけずにどこでもリアルタイムに情報が得られるので本当に便利になりました。