Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

笹の舟で海をわたる

2014年12月09日 13時25分32秒 | ベリーの感想文(本・映画)
笹の舟で海をわたる
角田 光代
毎日新聞社

角田光代 著 : 笹の舟で海をわたる
を、読みました。


風美子は終戦から10年後、銀座のデパートで見知らぬ女性から声をかけられる。
佐織は、疎開先で風美子にとても優しくしてもらったといい
親友になった二人は、その後の人生でも深くかかわってゆく。
ごくごく平凡な主婦風美子が、華やかで欲しいものを
次々に手中にしてゆく、逞しい佐織を見ていて思い出すのは
いつも、幼いころに味わった疎開でのみじめで悲惨な生活だった。
戦時下の幼児体験から、老人になるまでに
ある女性の半生の物語。


不登校を続ける娘に、自分の幼少期の辛い疎開体験を語った時
娘は、それを拒絶ととらえ、主人公は初め娘への応援の言葉を
取り違えられた事にショックを受けるのですが
その次の瞬間に、自分がどんな感情でその話をしたのか
はたと気付くシーンに目を見開いてしまいました。
主人公は、その辛かった戦時下の体験を
娘に共感し、「がんばったね」と、言ってほしかったのだと
唐突に気が付きます。


私も、少し前までは過去に縛られていて、辛さや寂しさを
共感してほしいと、人一倍思ってきたので
少し前の自分とピッタリと重なっていてびっくりしました。
これからも、もっともっと脱皮して
持って生まれた、自分の本質の良い部分を
掘り出していきたいなと、思った作品でした。

うん、角田光代天才!!(^_^)