チャロン通信

チャロナー共が夢の跡

甲虫

2012-10-24 01:01:46 | エスポワール杯7 2012
ええと、なんだっけ。何を言おうとしたんだ。そう・・・

こないだカブトムシ氏と某温泉に行ったときだ。
温泉は良かった。最高だった。強酸性硫黄泉、濃い。温泉までは良かったんだ。

ところが帰りの峠で濃い霧が出て、視界がほんの少ししかない。酷いときは、4mを切っただろうか。
きついカーブが連続する山道で、手前しか見れない。僕らは完全にノックアウトされたんだ。頭痛が酷いし、はっきり言って吐く寸前だ。

霧が晴れ、レストランにあかりが付いたホテルが目に入った。

「寄るしかないだろ?」
「そうすね」

すぐさま駐車場に車を差し込み、ホテルに入った。

「見ろ、カブトムシだ」
ホテルの入り口には2段に積み重ねられた虫かごが7つほどあり、中に昆虫のカブトムシが居た。

午後8時半を回った頃だ。
ホテルはやや薄暗いが、疲れない程度の照明だった。薪ストーブが赤く灯をともしている。
フロントの前の水槽には巨大なイソギンチャクとカクレクマノミ。あれだ。ファインディング・ニモだ。
その右にはオニグモが入った虫かごがあり、さらに右にはカエルが入った虫かご。

オニグモは死んでいる。
カエルのエサだろうか。

不釣り合いに若い学生の女子が5人ほど卓球の台を囲んで楽しんでいる。
ジュースを買って、酔いが落ち着くまでベンチに腰を下ろす。
先ほどの切羽詰まった状態からでは、なんだかあまり現実感がない。

時期は晩秋だったが、酔い覚ましということで夜風に当たった。
雨が降ってきた。霧が晴れたころは天の川が見えていたのに。

おっちゃんがニモの水槽に繋がった電源を抜き差しし、
「だめだな」
とぼやいた。

カブトムシ氏はカブトムシの虫かごをじっと見ている。
一呼吸付けた僕らは差し込んだ車を切り返し、帰路に戻った。

車内でカブトムシ氏が呟く。
「カブトムシ、全部死んでましたよ」

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