アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

『プロフェッショナル その2』

2008-09-30 | メールニュース
皆さん、おはようございます。㈱グッドジョブクリエーションズの井上です。本日はメールニュース第16号をお届けにあがりました。

9月最終日。めっきり肌寒くなっていよいよ秋ですね。毎年のこととはいえ、スポーツ界から引退の話題が聞こえるこの季節。
王貞治監督の退任、清原和博選手の引退。今月ではないですが野茂英雄が去り、桑田真澄が去り・・・ プロが去った後は秋風がよく似合う~~と思いつつ、今日は私たち経済界のプロフェッショナルのお話。

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プロフェッショナルの秋の夕暮れ
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引退ならぬ消滅・・・リーマンブラザーズの破綻は、私にとって今月、いや今年最大のニュースです。なんせ今から10年以上の昔、リーマン本社で働いてましたので。

ところであのニュースを目にして、「???」と思った方はいませんか?
破産法申請のニュースが流れたその当日、段ボールを抱えて次々と会社を出て行く社員の姿が何度もテレビで流れていた ===「???」
会社が破産を宣言したその瞬間に、仕事と責任が全て消えて無くなるわけではないだろう。翌日、翌々日、その一週間後・・・予定が詰まっているはずだし、それを待っているお客さんもいるはずだ。それを全て投げ出していいものだろうか。
あの人たちはもうあのまま出社しないのだろうか?(テレビではそのように見えた。)

これと対照的なシーン。
山一證券が破綻した97年の、やはり秋。当時私は生保で株式の売買をしていたから鮮明に覚えている。山一自主廃業のニュース~社長の涙の記者会見~は週末のテレビを独占していた。
週明けの相場は取引どころではない。他の証券会社の営業マンから次々と電話が鳴る・・・ 「いやぁ~参りました」とか「うちは大丈夫ですから」とか。やがて山一の担当者から電話。
「あ~、井上さんですか・・・ いやぁ~ご存知の通りですが・・・ こんな形でお騒がせして・・・ 本当に申し訳ございません・・・ 担当しているお客さんのところに順番に電話を入れてるんです・・・ ではまたあとで参りますんで・・」電話を切る。

場が退けて午後4時、その人が私たちの会社にやってきた。私の部署の部長や課長に深々と頭を下げ、「ご迷惑にならぬよう、最後までキッチリいたしますで・・・」
たしかそう言っていた。営業職としてのプロ意識がそうさせたのだろう。
仕事をやり終えた数ヵ月後、彼は転職して行った。

と思ってリーマンブラザーズの段ボール社員(?) に憤慨していたら、やっぱりいましたプロが。あの会社にも。
先週26日の「プロの意地」という短いコラムにこんなことが書かれている。
『破綻したリーマン・ブラザーズの債権調査部隊が踏ん張っている。世界の顧客に毎週送ってきた市場分析レポートを出し続けているのだ。職探しに奔走する社員も大勢いる。そんな中で「市場が荒れているからこそ分析する」とプロの意地を見せた。毎号百ページを誇ったが「破綻第一号」となる先週末のリポートは三ページという痛々しさだ。それでも、自らが主役となった市場の混乱を、専門家の目で淡々と解説した。』

素晴らしい!あの日あの瞬間に会社が消滅したわけじゃない。相場があるから分析する、クライアントがいるからレポートを出す。そんな姿勢こそプロというものだろう。たった三ページでも拍手。
リーマンの名前はいずれ消えるが、資産の引き取り手を見つけ看板を架け替え、そして仕事は続いていく・・・

段ボール社員あり、プロフェッショナルあり。
悲喜(退き)こもごもの秋の夕暮れ、と言ったところか。

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