アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

女性の活躍する職場

2010-08-31 | メールニュース
皆さん、おはようございます。アジア人財カンパニーの井上です。本日はメールニュース第39号をお届けにあがりました。先月も同じことを書きましたが、それにしても暑い。
こんな暑さの中、実は当社は来春卒業の学生の採用活動をしています。どんな人材がいいのだろう、そんなことを考えて以下の文を書きました。

―・・・――・・・――・・・――・・・――・・・――・・・――
女性の活躍する職場
―・・・――・・・――・・・――・・・――・・・――・・・――
学習院大学名誉教授である篠沢秀夫氏の本を読んでいたら、こんなことが書いてあった。日本の神話は二つの点で他の民族の神話と大きく異なっている。まず、中心的な神様(天照大神のこと)が女性であること、そして天照大神は天国(高天が原)で仕事(機織り)をしていることである。このことは日本人の女性観や労働観の原点をよく示していると思う。

ほかの国の神話や宗教であれば、神様は性別がないか男性であり、楽園にいて仕事などしない。仕事とは人間に与えられた罰である。しかし、日本では女性も神様。そして働く。勤労は美徳なのだ。罰などではない。

これを踏まえて現代日本の「女性と労働」について考えてみたい。
確かに日本では、社会通念として、「女性なんだからそんなにも外で働かなくても」との意識が強い。例えば、男性社員が連日残業しているのを見てもあまり気にしないが、女性の残業を見ると、ちょっとかわいそうだ、くらいに感じる。高級管理職の立場にある女性が、会議だ、テレフォンカンファレンスだと、毎日のように終電で帰るさまを見れば、あの人はあれで幸せなんだろうか、などと余計なおせっかいを焼いてしまう。

男性である私の言い訳と言われても構わないが、日本人は男女の役割分担をより強く意識しているのだと思う。男女それぞれに、だいたいこういう仕事が似合う、というイメージを持っている。別の言い方をすると、日本人は、男性と女性では得意分野が異なることを無意識のうちに理解しているのだと思う。

「男女の能力に差はないのだから、男性と同じ仕事をして当然」という主張はこれに逆行している。私は賛成しない。たぶんそう言っている人は、何を指して「能力」と言っているのか説明できないと思う。しかし「能力」を「得意分野」に置き換えれば簡単なことだ。「男女の得意分野には差がある。だから違う仕事をして当然。」

多々ある業界をくまなく見れば、日本でも女性が活躍している業界は多いことがわかる。例えば、私の会社は人材紹介と日本語教育を事業としているが、これらはまさに女性が得意とする分野だ。人材業界では一般にどの会社でも女性社員の比率が高く、管理職でも女性が目立つ。女性が社長であることも珍しくない。日本語教育の世界に至っては、現場の先生はもちろん、管理職や校長まで女性が圧倒的である。みな、ほんとうによく働く。まさに勤労は美徳だ。

女性は他者の気持ちを汲み取る能力が、男性よりはるかに優れているそうだ。だから女性は、人そのものに付加価値をつけるタイプの仕事、つまり教育やカウンセリングを得意とする。そういった業界では女性が活躍する。女性は男性以上に、役に立ちたい、喜ばれたい、という気持ちが強いらしい。

「日本では働きたくない。なぜなら女性は活躍できないから。」これはある外国人女性が言った言葉である。確かに日本全体で見れば、女性の社会進出は遅れているのだろう。しかし、業界を選べば全く別の日本が見えてくると思う。投資銀行やシステムコンサルティングだけが仕事ではないし、一流企業で役員になることだけが社会進出ではない。ふさわしい場を選んだ日本の女性は、活躍している。


最新の画像もっと見る