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保育園・NPO法人の会計・税務~認定NPOの寄付金税額控除制度の創設~

2011-10-13 | 保育園の経営・会計・税務

みなさん、こんばんは。
さて、今日は認定NPOに関する税制改正の最後の項目、寄付金税額控除制度の創設についてです。
従来、個人が認定NPO法人に対して、特定非営利活動のための寄付を行った場合には、寄付金の額から2,000円を差し引いた額を所得金額から控除できる、寄付金控除(所得控除)という制度が設けられていました。
今回の改正では、同じように寄付金の額から2,000円を差し引いた額の40%相当額を所得税額から控除できる、認定NPO法人寄付金特別控除(税額控除)という制度が創設されました。
寄付をした個人はこの二つの制度から有利な方を選択することができます。
選択できるといっても、二つの制度は何がどう違うんだと感じられる方も多いかと思いますので、個人の所得税の計算の仕方から確認しておきたいと思います。
例えば、年収800万円のサラリーマンの方の場合、
まず、①年収から一定の給与所得控除額を差し引いて、給与所得の額を求めます。
年収800万円-給与所得控除額200万円=給与所得600万円
次に、②給与所得の額から社会保険料を支払ったことや親族を扶養していることによる、所得控除額(ここでは100万円とします)を差し引いて、課税所得金額を求めます。
給与所得600万円-所得控除額100万円=課税所得金額500万円
最後に、③課税所得金額に税率を乗じることによって所得税額が求められます。
なお、所得税率は、超過累進税率となっており、課税所得金額を以下のように分けて計算することになります。
195万円以下の金額×5%=9.7万円
195万円超330万円以下の金額×10%=13.5万円
330万円超500万円までの金額×20%=34万円
合計57万円
寄付金控除(所得控除)は、②の所得控除額100万円に加えられるもので、認定NPO法人寄付金特別控除(税額控除)は、③の所得税額57万円から控除できるものということになります。
仮に10万円を寄付したとすると、所得控除では、所得金額が490万円、所得税額が55万円となり、約2万円分税額が減ります。
一方、税額控除では、所得税額から約4万円を控除できるわけですから、税額控除を選択した方が有利だということが分かります。
このように、所得が非常に大きい方(=適用される税率が非常に高い方)でない限り、税額控除を選択した方が有利になるケースが多いといえます。
(ただし、所得控除、税額控除には、それぞれ適用限度額が設けられていますので、必ずしも税額控除が有利になると言い切れるわけではありません。)
そのため、今回の税額控除制度の創設には、寄付のすそ野を広げる効果というのも期待されているわけです。

   

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