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いいピアノを弾きたい

シューベルト 即興曲142ー3

2011年05月24日 | 音楽教室
この子守唄のような優しい旋律の主題と5つの変奏曲、シューベルトの傑作のひとつでしょうね。
この曲を練習している生徒さんは8月に出産予定です。
レッスンをしていて 大きなおなかにもうひとり女の子が育っていると思うと、緊張します。
この子が全身を耳にして シューベルトを聴いているはずだから おかしな音を聞かせちゃいけない。
 
おなかの中にいる時 お母さんがずっとショパンのノクターンを聴いていたという友人は(男性)それが今も分身のように思っているようだし、(そのノクターンの演奏者が誰だか大きな問題だと思いますが(笑)、)そして彼は素晴らしい音楽家になりましたが、
音楽として流れるのと、ママが弾いていた、というのはまた違うかもしれません。より影響が大きい?
シューベルトは技術的に簡単そうに聞こえるらしいけれど 難しい箇所があちこちにあるし、まずその世界を再現するには相当なキャリアを必要とします。
難解には聞こえないのに! 譜読みは慎重にしないと たまにどこかの和音を違う音で弾いてくる生徒さんも多いです。間違った音で練習したらいかーん!とミスタッチなのか譜を読み違えているのか、私も必死です。(笑)
前回のレッスンでは第3変奏のb-mollはただ暗いだけなので、赤ちゃんがおびえるのではないか(笑)と一瞬心配したけれど、左手の和音の変化をよ~く聴いて味わって弾いてから右手の旋律をのせてくださいといったら 今週は 「ああよかったこの曲は哀しいけれどそれだけでなくこんなにも美しいのだ!」と感じるくらい曲が整ってきて、ほっと一安心したのでした。この曲はぜひとも赤ちゃんに悲しみの中にある美しいものまで聴いてもらいたいとシューベルトに成り代わって(爆)願いました。
第4変奏曲は 鱒 のようなリズムをへたに 中途半端に弾かれると リズム感の悪い子になっては困る(余計なお世話ですよね^^;)と判断し パスして第5変奏曲を練習してもらうことにしました。賢明な判断だと思います。

ママの練習するシューベルトを聴きながらこの世に生まれてくるなんて…!
…儚いまでの美しさを堪能していただきたい。