piano class emi.i.

いいピアノを弾きたい

みみをすます ということ

2011年05月20日 | 音楽教室
作曲家、ピアニストの町田育弥さんのピアノとソルフェージュの本が今春 音楽之友社から出版されました。
以前(4、5年前)演奏会で再会したときに「構想を考えている」と話してくれて、確かブログにも書いた記憶がありますが それが長い歳月を経てとうとう1、2巻まで出版されました。
素晴らしい仕事をされました。(…仕事、ということばはあてはまらないかも。)
小さな子供にピアノを教える身として改めて考えさせられ、反省もし、アイデアもいただいています。


ご近所に住んでいるので、いち早く第1巻の原稿をいただいた時から チェロ奏者の雨田光弘さんの猫の絵がふんだんに使われているこの教材は 「ふつうの」導入書とは全く違うアプローチで丁寧に優しさ溢れ 私には「詩集」のように思えます。

巻頭ページの
はじめに
のあとの
みみをすますということ から引用いたします。

「…子どもたちに何かを教えようとするとき、私たち大人が常に意識したいのは、子どもの能力や意欲が、第3者によって安易に与えられる類いのものではないということです。子どものさまざまなスキルや表現力は、自身に深くみみをすます経験と、好奇心や期待感を原動力とする試行錯誤の積み重ねによって、自力で獲得するしかないものです。教えればわかる、習えばできる、という程度のことは取るに足らないものなのです。」

考える時間、感じる時間が大事だということは 大人になったとき大切さを実感します。
時間がないから、間違っているものを直す方が大変だから、という理由で中途半端に答えを教えてしまいがちです…。
長い将来を想像するとうまくその子にあった方法を 私たち大人も考えなくてはいけないのです。 

ゆっくり考え自分で答えを導きだすゆとりが 教える側の大人になければ その芽を摘み取っているのかもしれない。
芽を摘み取っちゃいけないです。

どうぞ 楽譜屋さんで手に取って町田くんの理想の時間の流れを共有してみてください。