「どうか無事に100km走れますように、そしてどうか・・・」
私は仏壇の両親に2つの願い事をした・・・。
第29回四万十川ウルトラマラソン、
コロナ明けで、開催は実に4年ぶりである。
前日、
仕事の合間に受付会場安並体育館に向かう。
体育館内は閑散としてとても広く感じる。
それもそのはず、いつもならあるはずの学生達がペイントした持ち帰り自由の四万十川の石を並べたブースや、
応援ファックスが展示されたブースなどいくつかのブースが見当たらなかった。
そういえば、送られてきた封書にも地元学生からの応援メッセージが同封されていなかったりもした。
コロナ明けで大会事務局のスタッフが刷新されたとか、来年の第30回で終わりじゃないかとか、地元民ならではの噂話を耳にしてきた。
ボランティア不足を給水所を減らす事で凌いでいたり、
今回のウルトラ、どうやら以前同様のものと思わないほうがよさそうだ・・・。
「あらあら、監督じゃないですかぁ~!」
聞き覚えのあるその声は、今回ボランティアとして受付で働いている同級生の飛脚。
彼女は飛脚を通り越して、何やら200kmを越えるレースとかに参戦するとんでもないランナーに変身しているらしい。
学生時代毎日のように遊んだ仲間、歳をとっても共通の趣味から大会などで再会出来たりと・・人生面白いもんだ。
職場に戻り、仕事に精を出す。
自営業の私、今回初めて午後の3時で早めに営業を切り上げた。
過去、前日の疲れからリタイアした経験がたくさんある。
少し余力を残さなくては・・。
受付会場でもらったものはこんな感じ。
今回で12回目、夜は初めてゆったりと過ごすことができた。
嫁は応援隊を頑張るようで、応援ボードらしきものを作製中。
昔から図画工作が苦手な嫁が重い腰をあげている、これは・・・頑張らねば。
当日、
AM4:00すぎ、いつもの嫁友達キクの車ではなくて嫁カーで出発。
途中、2人の同級生を拾う。
100kmの部に参加する同級生は私を含めて3人、
私、セイシ、そしてチーム飛脚女応援隊長または宴会部長のアベ。
隊長アベは15年前の応援隊からランナーとなり、フル、60km、と距離を伸ばし、
ついに今回、念願の100km初参戦となった。
「アタシ、一人で喋ってうるさいでね~、黙ります!」
車の中からハイテンションな彼女、先月一緒に走った堂ヶ森往復42kmでの走力は確かなものだった。
車が渋滞したところで下車し、スタート会場へ向かう。
ハイテンションな隊長、スタート地点で記念撮影。
そういえば、15年前、自分もこんな感じだったな~。
気温が高く、予想最高気温は25℃、
今回はタイマツの炎に群がるようなことはない。
開会式スタート会場は旧蕨岡中学校。
過疎によって市街地の学校へと統合された中学校、
100kmのコース沿いの学校も同じようなところが多い。
地域の学生が少なくなったこともボランティア不足の原因でもある。
全国の猛者が集まるスタート会場は少し緊張感が漂う。
同級生以外の飛脚も集まって記念撮影。
一条太鼓に応援されながらスタート地点に向かう。
随分と前の方に並んでしまった。
「打ち上げどうする?場所確保してない?じゃあ先にゴールした人が・・」などとリラックスムード。
スタート!
100kmのスタート地点はいつも感動する。
ランナーの列は壮大で、今日一日だけは100kmへの想いを共有する。
暗闇の中、明るい照明と大声援に包まれながら100kmの旅へと向かう。
今回はキロ7分、峠の上りまでは脚を使わない予定。
タイマツの灯りは内川地区からキャンドルへと・・・あれ?キャンドルは無し。
残念だが人手のかかるようなことを期待するのはもう止めよう。
そんな中、例年送迎でお世話になるキク・マユのコンビが仮装で現れた。
マリオ・・・、何しとんじゃ!?
とりあえずキノコなんかゲットしている場合ではない、あと99km走らねば・・。
5km付近の第一給水所あたりから少しずつ明るくなりはじめる。
山道は肌寒い、でもそれくらいがちょうどいい。
仮設トイレは定期的に現れるが、どこも列をなしている。
しばらくはスルーする。
「やあ」
先に行ったはずのセイシが後ろから現れた。トイレに並んだらしい。
トイレのロスタイムは案外大きい。
12kmあたり、目の前の山「堂ヶ森」が見える。
ここまでは6分40から7分前半あたりで進んでいて全く問題ない。
徐々に坂道になり、17km過ぎ、峠に入る。
問題ない、走れる。いい感じ。
「飛脚の人ですか?」
声に振り向くとブログから知り合いになったランナーさん、ご夫婦で参戦らしい。
私「やっと会えましたね~(笑)」
こんな交流もうれしい事、こんな私的なレポートでもやってた甲斐があったのかと・・・。
19km、給食エイド。
大混雑の理由は、例年の21km頂上から2kmも手前になったこと。
少しの事ではあるが、上り坂の途中ではランナー渋滞が起きてしまう。
この峠の区間では給水所も減らされていたが、事前にパンフで気が付いていたので特に問題ではない・・・。
隊長アベを発見、食べたくないという固形物おにぎりを食べるように促す。
20km地点通過「2.34.13」。
例年よりも少し遅いくらいで問題なし、脚も残っている。
峠の頂上。これから9kmの下りになる。
長い下りでも脚を使わないようにキロ7分で進む。
・・が、ペースが落ち着かない。
キロ6分になったり8分になったり、GPSの精度なのだろうか・・、
やたらと抜かれるがあまり気にしないようにする。
30kmあたりの給水所、我慢できずにトイレの列に並んだ。
接客業の仕事では、忙しくなるとトイレを忘れることがしばしばある。
そんな事から腎臓の数値もいいわけではないので無理にでも済まさなくては・・。
これが誤算、長い列に並んだせいで結果16分もロスしてしまった。
33km、四万十川に合流するが、一度止まった脚はもう7分半が切れなくなってしまった。
36km、第一関門。
え?約30分ちょっとしか残していない・・・、
しまった、ゆっくり行きすぎた・・・。
その先は昭和大橋の給水所、何だか疲労も激しいが・・・、
さあ、再出発。
何と、ここで14時間のペースランナーに追い抜かれてしまった。
14時間はゴールの制限時間、ぺーサーは多くのランナーを引き連れて進んでいる。
何だか気持ちも切れそうだが、
あきらめるには早すぎる・・・。
■後編につづく■
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